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炎国への旅路編
16話 アリスって誰?
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「おう。改めて、俺は金狼獣人の長をしているシドだ。長ったらしい名前があるが、面倒だから別にいいだろ?」
え?こういうときは正式な名を名乗らないのですか?
「ユーフィアと申します。この度は「ああ、いい。」」
止められてしまいました。
「かたっ苦しい挨拶は好かん。フィーディス商会への紹介状は書いてあるから持っていくといい。直接、西の港町エルトの商会のヤツに渡すといいだろう。」
そう言って、白い封筒を隣の女性に渡し、女性がマリアに渡しています。
「俺のマリアは役に立っているか?」
シドさんがそんな事を私に聞いてきました。役に立つだなんてそんな言葉でマリアを表すことはできません。
「マリアは役に立つとか立たないとかではなく、私を支えてくれる大切な侍女です。」
「ほう。」
シドさんは目を細めながら、私を見ています。
「奥様。私のことをその様に言っていただけるなんて、とても嬉しいです。これからも精一杯お仕えしていきます。」
マリアが涙目で私の手を握ってきました。そして、セーラがクストを押しのけて来て
「セーラはこのセーラはどうなのですか?お役に立っていますか?」
「セーラも私の大切な侍女ですよ。」
「奥様!」
セーラに抱きつかれました。突き飛ばされたクストがセーラの首根っこを掴み引き剥がそうとしていますが、セーラも私にしがみつき離れようとしません。
「くくく。ははは。これは面白い。あの黒狼の若造が、あのマリアが、そしてあの王狐の娘が、一人の人族の娘にいいようにされている。これが変革をもたらす者か。いやいや。懐かしい感じだ。クロードを思い出す。」
変革をもたらす者、いつかのエルフに言われた言葉です。
「人族の娘、いやユーフィアと言ったか。我らが初代ソルラファールの言葉を伝えよう。」
初代の言葉?いきなり何を言われるのでしょう。
「『一人の変革をもたらした者は、我らと共に国を作り上げ、国を民を守る為に自ら命を落とした。そして、もう一人の変革をもたらした者は、新たな地で国を作り国と民を守りきった。その者達はどちらも変革者であったために命が狙われた。
変革をもたらす者の宿命なのだろうか、それとも神のいたずらなのだろうか、時がくればいずれわかるだろう。
変革をもたらす者が選択を迫られたとき、アリスの言葉を探せ必ず生きる道は必ずあるはずだ。』以上だ。」
アリス?アリス!さっき使った転移門の『案内役はアリスでした』のアリスですか!
「アリスって誰ですか?」
「知らん。」
え?そのソルラファールさんって言う人の遺書か何かにヒントは無いのですかね。
「誰か他に知っている人はいないのですか?」
「多分、クロードは知っていたと思うぞ?」
「クロードさんは何処にいるのですか?」
「あ?何言ってんだ?クロードはそこの若造のじいさんだ。」
え?
私はクストを見ます。転移門で爆笑していたお祖父様ですか?あ!だからですか。アリスと言う人を知っていたから、その声が流れてきたので笑っていたのですね。
でも、クストからの話しを聞く限りお祖父様は過去の方の印象を受けましたが・・・。
「一応聞きますが、クロードさんはご存命ですか?」
「討伐戦で戦死だ。まぁ。相当のじいさんだったから寿命で死んでも戦死でもあまり変わらんかったと思うぞ。」
そうですか。遺品から探すしかないのですかね。
「ナヴァル家に帰れば遺品はありますか?」
「ない。」
え!無いのですか!
「自分の物は全部処分して戦地に行ったから戻って来る気もなかったんだろうな。」
「そう言えば、クロードと最後に会った時に言っていたな。『俺は戦場で死ぬらしいから会うのはこれで最後だ。』とな。自分の死の未来がわかっていたのだろう。」
そうシドさんが教えてくれました。
しかし、これではアリスと言う人の事が全くわからないままです。
「ユーフィア、ごめん。俺は役たたずだ。」
「クストが謝ることではありません。もともと知らなかったことではありませんか。問題ありません。」
「でも、あのエルフの時のような事があったら俺は嫌だ。」
まぁ、私もそれは遠慮したいです。一族皆殺し犯にはなりたくないです。
「ああ、あの嬢ちゃんなら知っているかもしれんぞ。」
「誰ですか!知っているって言う人は!」
私は前のめりで尋ねます。その人が唯一の手がかりです。
「あー。名前が出てこないなぁ。」
「お父様、歳ですか?」
見た目にはマリアより若そうですよ。口にはしませんが、
「あの人族なのに暴力的な娘。」
「あ゛?もしかしてラースの血が入っていたりするか?」
クストには心当たりがあるようです。
「おお、そうだ。ラースの魔眼の娘だ。」
ラースの魔眼?確かオーウィルディア様という冒険者の方も魔眼を持っていると言ってましたよね。魔眼を持っている方は珍しいのに、そのお嬢さんも魔眼を持っているのですね。
「で、どなたなのです?」
私の質問にクストが答えてくれました。
「シェリー・カークスだ。」
え?こういうときは正式な名を名乗らないのですか?
「ユーフィアと申します。この度は「ああ、いい。」」
止められてしまいました。
「かたっ苦しい挨拶は好かん。フィーディス商会への紹介状は書いてあるから持っていくといい。直接、西の港町エルトの商会のヤツに渡すといいだろう。」
そう言って、白い封筒を隣の女性に渡し、女性がマリアに渡しています。
「俺のマリアは役に立っているか?」
シドさんがそんな事を私に聞いてきました。役に立つだなんてそんな言葉でマリアを表すことはできません。
「マリアは役に立つとか立たないとかではなく、私を支えてくれる大切な侍女です。」
「ほう。」
シドさんは目を細めながら、私を見ています。
「奥様。私のことをその様に言っていただけるなんて、とても嬉しいです。これからも精一杯お仕えしていきます。」
マリアが涙目で私の手を握ってきました。そして、セーラがクストを押しのけて来て
「セーラはこのセーラはどうなのですか?お役に立っていますか?」
「セーラも私の大切な侍女ですよ。」
「奥様!」
セーラに抱きつかれました。突き飛ばされたクストがセーラの首根っこを掴み引き剥がそうとしていますが、セーラも私にしがみつき離れようとしません。
「くくく。ははは。これは面白い。あの黒狼の若造が、あのマリアが、そしてあの王狐の娘が、一人の人族の娘にいいようにされている。これが変革をもたらす者か。いやいや。懐かしい感じだ。クロードを思い出す。」
変革をもたらす者、いつかのエルフに言われた言葉です。
「人族の娘、いやユーフィアと言ったか。我らが初代ソルラファールの言葉を伝えよう。」
初代の言葉?いきなり何を言われるのでしょう。
「『一人の変革をもたらした者は、我らと共に国を作り上げ、国を民を守る為に自ら命を落とした。そして、もう一人の変革をもたらした者は、新たな地で国を作り国と民を守りきった。その者達はどちらも変革者であったために命が狙われた。
変革をもたらす者の宿命なのだろうか、それとも神のいたずらなのだろうか、時がくればいずれわかるだろう。
変革をもたらす者が選択を迫られたとき、アリスの言葉を探せ必ず生きる道は必ずあるはずだ。』以上だ。」
アリス?アリス!さっき使った転移門の『案内役はアリスでした』のアリスですか!
「アリスって誰ですか?」
「知らん。」
え?そのソルラファールさんって言う人の遺書か何かにヒントは無いのですかね。
「誰か他に知っている人はいないのですか?」
「多分、クロードは知っていたと思うぞ?」
「クロードさんは何処にいるのですか?」
「あ?何言ってんだ?クロードはそこの若造のじいさんだ。」
え?
私はクストを見ます。転移門で爆笑していたお祖父様ですか?あ!だからですか。アリスと言う人を知っていたから、その声が流れてきたので笑っていたのですね。
でも、クストからの話しを聞く限りお祖父様は過去の方の印象を受けましたが・・・。
「一応聞きますが、クロードさんはご存命ですか?」
「討伐戦で戦死だ。まぁ。相当のじいさんだったから寿命で死んでも戦死でもあまり変わらんかったと思うぞ。」
そうですか。遺品から探すしかないのですかね。
「ナヴァル家に帰れば遺品はありますか?」
「ない。」
え!無いのですか!
「自分の物は全部処分して戦地に行ったから戻って来る気もなかったんだろうな。」
「そう言えば、クロードと最後に会った時に言っていたな。『俺は戦場で死ぬらしいから会うのはこれで最後だ。』とな。自分の死の未来がわかっていたのだろう。」
そうシドさんが教えてくれました。
しかし、これではアリスと言う人の事が全くわからないままです。
「ユーフィア、ごめん。俺は役たたずだ。」
「クストが謝ることではありません。もともと知らなかったことではありませんか。問題ありません。」
「でも、あのエルフの時のような事があったら俺は嫌だ。」
まぁ、私もそれは遠慮したいです。一族皆殺し犯にはなりたくないです。
「ああ、あの嬢ちゃんなら知っているかもしれんぞ。」
「誰ですか!知っているって言う人は!」
私は前のめりで尋ねます。その人が唯一の手がかりです。
「あー。名前が出てこないなぁ。」
「お父様、歳ですか?」
見た目にはマリアより若そうですよ。口にはしませんが、
「あの人族なのに暴力的な娘。」
「あ゛?もしかしてラースの血が入っていたりするか?」
クストには心当たりがあるようです。
「おお、そうだ。ラースの魔眼の娘だ。」
ラースの魔眼?確かオーウィルディア様という冒険者の方も魔眼を持っていると言ってましたよね。魔眼を持っている方は珍しいのに、そのお嬢さんも魔眼を持っているのですね。
「で、どなたなのです?」
私の質問にクストが答えてくれました。
「シェリー・カークスだ。」
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