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炎国への旅路編
28話 観光は入国理由にはならない?
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ザックさんに船から降りる前に言われていた建物に向かいます。この港には他国からの入国審査を行う場所があり、そこで入国証明をもらわなければならないそうです。後ろからは、文句を言っているキョウさんを引きずりながらマリアが付いてきています。
ザックさんに教えられた赤い看板が入り口に掲げられた建物に入り中を見ますと、小さな部屋に事務机のような机が一つあり、一人の女性が座っていました。ほっそりとした色白の素肌に赤い目がとても印象的で長い黒い髪からは2本の白い角が見えています。
鬼族の女性のようです。凶暴だと聞いていましたが、見た感じそのような印象は全くうけません。
「炎国への入国は始めてでしょうか。」
鬼族の女性が私達にそう尋ねてきました。
「そうだ。ここで入国審査があると聞いてきたのだがあっているか?」
「はい。」
クストの質問に女性が肯定しますが、その女性の目線が外されたかと思いましたら、目の前から女性が消えていました。そして、後ろからなにかが破壊される音が響いてきます。
振り返ると先程まで目の前にいた女性がマリアに回し蹴りをして、マリアはその蹴りを受け止めている状態でした。何がおこったのでしょう。
「お犬様、キョウ様に何をしてくれてやがるのですか?」
落ち着いた感じで話してくれていた鬼族の女性が一転してドスの効いた声でマリアに問いかけています。それにしてもキョウ様ってどう言うことなのでしょう。
「直ぐに何処かに行こうとするキョウを掴まえていただけですよ。サラとザックからも了承を得ていることなので何も問題ありません。」
「サラ様とザック様からも?」
「マリアはガレーネだ。控えろ。」
「ガレーネ!失礼しました。」
鬼族の女性はマリアとキョウさんに頭を下げ元いた机の席に座りました。ここでも金狼族の英雄の名前は有名なのですね。
「それでは改めまして、こちらにはどのようなご用件で参られたのでしょうか。」
女性は先程の事など無かったかのように落ち着いた感じで入国審査に移りました。
「観光だ。」
「観光ですか?」
鬼族の女性は怪訝な表情をして、クストの言葉を繰り返しました。観光だと何か問題があるのでしょうか。
「案内人はそこにいるキョウだ。問題はないはずだ。」
「どの辺りの観光を予定されていますか?」
どの辺りと言われましても、まだ何も決まっていません。あっ。この女性なら知っているでしょうか。
「まだ、場所は決まっていないのですが、炎国の桜は美しいと聞きましたので、そのような場所を知っているのなら教えて欲しいのです。」
「桜・・・なぜ他国民が桜の事を知っているのです。桜と言うのは初代様が作られた木です。それなのにこの国に来たことがない者が何故知っているのです。」
あ、そうでした。桜はこの世界には存在しないのでした。どうしましょう。鬼族の女性の視線が凄く痛いです。
「その女性はラースの嬢ちゃんの知り合いだ。」
後ろからザックさんの声が聞こえてきました。
「ザック様。」
振り返ると呆れた顔のザックさんが入り口に立っています。
「やっぱり、こうなっているよな。炎国にただ来たいってだけじゃ。簡単には入国させてもらえないぞ。」
う。炎国に行きたいだけじゃダメなのですか?なぜ、観光じゃ入れてもらえないのですか?あの少女は現に炎国に行っているではないですか。
「じゃ、なぜシェリーさんは入国できたのですか?」
「シェリー様の入国理由は買い物です。」
鬼族の女性が教えてくれましたが、買い物・・・ただそれだけで入国できるのですか?
「それも大量に購入されて、大金を落としていってくれます。若しくは初代様と直接取り引きをされて、この国には無い物を用意してくださいます。それにあのシェリー様です。それだけで、入国理由になります。」
え?意味がわからないのですが?シェリーさんってだけで入国できるって。
「そうですか、シェリー様のお知り合いですか。それなら、キョウ様が案内するという形をとってくださるのであれば、許可を出させていただきます。」
どれだけあの少女の名前に影響力があるのですか?
「え?それってさぁ。俺に責任が乗っかってこないか?そんなの嫌だぞ。」
「キョウ。大丈夫だ。小遣いはマリアに渡してある。」
「そうですよ。キョウ。奥様の為に観光案内をしてくれるだけでいいのです。それから、サラからこれを渡されました。引き受けてくれるのなら、差し上げます。」
マリアがサラさんから預かって来たという袋をキョウさんの目の前にぶら下げています。
「案内してやるからくれ!」
キョウさんは食いつくように袋を見つめながら了承しました。いったいあの袋の中身は何が入っているのでしょう。
ザックさんに教えられた赤い看板が入り口に掲げられた建物に入り中を見ますと、小さな部屋に事務机のような机が一つあり、一人の女性が座っていました。ほっそりとした色白の素肌に赤い目がとても印象的で長い黒い髪からは2本の白い角が見えています。
鬼族の女性のようです。凶暴だと聞いていましたが、見た感じそのような印象は全くうけません。
「炎国への入国は始めてでしょうか。」
鬼族の女性が私達にそう尋ねてきました。
「そうだ。ここで入国審査があると聞いてきたのだがあっているか?」
「はい。」
クストの質問に女性が肯定しますが、その女性の目線が外されたかと思いましたら、目の前から女性が消えていました。そして、後ろからなにかが破壊される音が響いてきます。
振り返ると先程まで目の前にいた女性がマリアに回し蹴りをして、マリアはその蹴りを受け止めている状態でした。何がおこったのでしょう。
「お犬様、キョウ様に何をしてくれてやがるのですか?」
落ち着いた感じで話してくれていた鬼族の女性が一転してドスの効いた声でマリアに問いかけています。それにしてもキョウ様ってどう言うことなのでしょう。
「直ぐに何処かに行こうとするキョウを掴まえていただけですよ。サラとザックからも了承を得ていることなので何も問題ありません。」
「サラ様とザック様からも?」
「マリアはガレーネだ。控えろ。」
「ガレーネ!失礼しました。」
鬼族の女性はマリアとキョウさんに頭を下げ元いた机の席に座りました。ここでも金狼族の英雄の名前は有名なのですね。
「それでは改めまして、こちらにはどのようなご用件で参られたのでしょうか。」
女性は先程の事など無かったかのように落ち着いた感じで入国審査に移りました。
「観光だ。」
「観光ですか?」
鬼族の女性は怪訝な表情をして、クストの言葉を繰り返しました。観光だと何か問題があるのでしょうか。
「案内人はそこにいるキョウだ。問題はないはずだ。」
「どの辺りの観光を予定されていますか?」
どの辺りと言われましても、まだ何も決まっていません。あっ。この女性なら知っているでしょうか。
「まだ、場所は決まっていないのですが、炎国の桜は美しいと聞きましたので、そのような場所を知っているのなら教えて欲しいのです。」
「桜・・・なぜ他国民が桜の事を知っているのです。桜と言うのは初代様が作られた木です。それなのにこの国に来たことがない者が何故知っているのです。」
あ、そうでした。桜はこの世界には存在しないのでした。どうしましょう。鬼族の女性の視線が凄く痛いです。
「その女性はラースの嬢ちゃんの知り合いだ。」
後ろからザックさんの声が聞こえてきました。
「ザック様。」
振り返ると呆れた顔のザックさんが入り口に立っています。
「やっぱり、こうなっているよな。炎国にただ来たいってだけじゃ。簡単には入国させてもらえないぞ。」
う。炎国に行きたいだけじゃダメなのですか?なぜ、観光じゃ入れてもらえないのですか?あの少女は現に炎国に行っているではないですか。
「じゃ、なぜシェリーさんは入国できたのですか?」
「シェリー様の入国理由は買い物です。」
鬼族の女性が教えてくれましたが、買い物・・・ただそれだけで入国できるのですか?
「それも大量に購入されて、大金を落としていってくれます。若しくは初代様と直接取り引きをされて、この国には無い物を用意してくださいます。それにあのシェリー様です。それだけで、入国理由になります。」
え?意味がわからないのですが?シェリーさんってだけで入国できるって。
「そうですか、シェリー様のお知り合いですか。それなら、キョウ様が案内するという形をとってくださるのであれば、許可を出させていただきます。」
どれだけあの少女の名前に影響力があるのですか?
「え?それってさぁ。俺に責任が乗っかってこないか?そんなの嫌だぞ。」
「キョウ。大丈夫だ。小遣いはマリアに渡してある。」
「そうですよ。キョウ。奥様の為に観光案内をしてくれるだけでいいのです。それから、サラからこれを渡されました。引き受けてくれるのなら、差し上げます。」
マリアがサラさんから預かって来たという袋をキョウさんの目の前にぶら下げています。
「案内してやるからくれ!」
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