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炎国への旅路編
39話 強制出国の理由
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「何故ですか。私は問題を起こされた方です。何もしていないじゃないですか!」
「今回は色々なことが重なったんだ。そうならないためにキョウを付けたのに、キョウの言うことを聞かなかった奥様が悪い。」
そ、そんなぁ。私が悪いのですか?せめて・・・
「もう一度港に寄って下さい。せめて転移ポイントの登録をした「それだ。」・・・い」
ザックさんが私の言葉を遮ってきました。
「まさか、転移を使われるなんて思いもよらなかった。入国の時にサインした書類に、炎国では決まったところ以外転移を使用してはならないと記載されてあっただろ?その転移を行ったことが問題になったんだよ。」
え?あの書類にそんなことが書いてあったのですか?2枚の紙に渡り、みっしりと記載されてあったので、早く入国したくて流し読みをしていました。
それでは、炎国に転移で行くことが叶わないってことではないですか。
「戻れないことが理解してくれたら、船内に入ってっくれ。」
ザックさんに言われ、諦めて船内に入ります。念願の炎国に行ったのに、まさか丸一日も過ごすことができなかったなんて、あんまりです。
来たときと同じ部屋に通され、ソファに座るよに言われました。座ろうとすれば、クストに抱き上げられ、膝の上に座らされます。
「まずは奥様が居なくなった後のことだ。奥様、子鬼を治療しただろ?」
子鬼?あの怪我をしていた少年のことでしょうか。
「ええ。怪我をして泣いていたので、癒やしの光で治癒しました。」
「それが問題を大きくしたんだよ。光の魔術を使えるのは炎国では光の巫女という一族のみが使えるんだ。その光の巫女は炎国にとって重要な存在だ。
だから、子鬼はその巫女が攫われたと騒ぎたてて、役人が出てくる羽目になったんだよ。キョウが巫女では無く奥様が攫われたと言ったことで事なきを得たが、そうじゃなかったら、他国民である旦那もマリアも狐の侍女も引っ捕らえられていたぞ。」
そうだったのですか、でも、それで追い出されるのは何か違うと思います。それに転移を使ったのは私を攫った人たちですのに納得が行きません。そもそも、船員が私の話をしなければよかったのでは?
「やはり納得が行きません。私が光魔術が使えることをここの船員が私を攫った人に話したそうではないですか。それが、私が攫われた原因ではないのですか?」
「ユーフィア。それは本当のことか!」
「この船の船員が客の情報をもらした?ちっ!」
「私を攫ったのはマルス帝国の者たちです。確かにその人たちは巫女様という人を攫いたかったようです。ドア越しに話しているのが聞こえたのですが、『確かに船員が光の魔術で治癒をしてもらったと言っていたしな。』と言っていました。」
「ちょっと、待ってろ!調べてくる!」
ザックさんは慌てて部屋を出ていきました。
「マルス帝国だと!ユーフィア、大丈夫だったのか?何もされていないか?」
クストが後ろからギュウギュウに抱きしめてきますが、もう少し緩めて欲しいのですが
「大丈夫よ。どうやら、裏でサウザール公爵が動いているようだったけど、それにしては軍部が動いていないのが、少し不可解ね。」
「本当に奥様、お怪我はありませんか?」
「ありがとう。マリア、大丈夫よ。」
「奥様、お茶と軽食をどうぞ。」
セーラがお茶とおにぎりを出してくれました。おにぎりです。目の前には白い三角のおにぎりが!
思わず手にとりカブりつきます。シンプルな塩味ですが、とても美味しいです。とても懐かしいです。
「セーラ。ありがとう。」
「奥様がこの穀物を気にしていらしたので、旅館の人に頼んで、どうにかして持って帰れないかとお願いしましたら、この様にして下さいました。変わった形ですよね。」
わざわざ頼んでくれたのね。うれしいわ。お茶も紅茶ではなく緑茶です。ほのかな甘味と苦味がおにぎりに合います。もう食べてしまいました。はぁ、もう少し味わって食べればよかったです。
「セーラ、ごちそうさま。美味しかったわ。」
そうして、くつろいでいますとザックさんが戻って来ました。
「奥様、わかったぞ。南のドドール国の船だ。水と食料の補給で寄ったところで、船員同士が立ち話をしているところに割り込んで来たらしい。船員達は光の魔術を使えるヤツは珍しいから話を聞いてきたんだろうと思って話してしまったらしい。すまなかった。」
ザックさんが頭を下げて謝ってきましたが、ドドール国?聞いたことがありません。しかし、そんな国までサウザール公爵の手が、マルス帝国の影が、伸びているなんて、一体何をしようとしているのでしょう。
「いいえ、私はマルス帝国の手に捕まっても逃げるすべは用意していますから大丈夫ですが、その光の巫女様という人が今回捕まらなくてよかったです。何やら、実験に使用されると言っていましたから。」
「は?実験?」
「多くの奴隷の方を犠牲にして実験を行っていると言っていました。」
「まじかよ。だから、帝国は好きじゃない。誰かあの帝国潰してくれないかなぁ。そう言えば、あの海はどうなっているんだ?」
「あの海?」
どの海のことでしょう?
「奥様が通ってきた凍りついた海だ。キョウがこれ以上進んだら、船も俺たちの凍りつくから進むなと言っていたんだが、あれは何だ?元に戻るのか?」
ああ、氷雪弾の余波で作られた凍った海のことですか。
「私もよくわからなくて、多分、魔力を消費されれば元に戻るはずです。そんなに大きな魔石は使っていないのですけど。」
「よくわからない物を使わないでくれ、この船にいる間は何もしないでくれ。クラーケンに襲われようが、海賊に襲われようが、この部屋から出るな!絶対だぞ!」
そう言ってザックさんは部屋を出て行きました。確かに、試し撃ちをしていない物を使用しとことは認めますが、そこまで強く言わなくてもいいのではないのでしょうか?
「今回は色々なことが重なったんだ。そうならないためにキョウを付けたのに、キョウの言うことを聞かなかった奥様が悪い。」
そ、そんなぁ。私が悪いのですか?せめて・・・
「もう一度港に寄って下さい。せめて転移ポイントの登録をした「それだ。」・・・い」
ザックさんが私の言葉を遮ってきました。
「まさか、転移を使われるなんて思いもよらなかった。入国の時にサインした書類に、炎国では決まったところ以外転移を使用してはならないと記載されてあっただろ?その転移を行ったことが問題になったんだよ。」
え?あの書類にそんなことが書いてあったのですか?2枚の紙に渡り、みっしりと記載されてあったので、早く入国したくて流し読みをしていました。
それでは、炎国に転移で行くことが叶わないってことではないですか。
「戻れないことが理解してくれたら、船内に入ってっくれ。」
ザックさんに言われ、諦めて船内に入ります。念願の炎国に行ったのに、まさか丸一日も過ごすことができなかったなんて、あんまりです。
来たときと同じ部屋に通され、ソファに座るよに言われました。座ろうとすれば、クストに抱き上げられ、膝の上に座らされます。
「まずは奥様が居なくなった後のことだ。奥様、子鬼を治療しただろ?」
子鬼?あの怪我をしていた少年のことでしょうか。
「ええ。怪我をして泣いていたので、癒やしの光で治癒しました。」
「それが問題を大きくしたんだよ。光の魔術を使えるのは炎国では光の巫女という一族のみが使えるんだ。その光の巫女は炎国にとって重要な存在だ。
だから、子鬼はその巫女が攫われたと騒ぎたてて、役人が出てくる羽目になったんだよ。キョウが巫女では無く奥様が攫われたと言ったことで事なきを得たが、そうじゃなかったら、他国民である旦那もマリアも狐の侍女も引っ捕らえられていたぞ。」
そうだったのですか、でも、それで追い出されるのは何か違うと思います。それに転移を使ったのは私を攫った人たちですのに納得が行きません。そもそも、船員が私の話をしなければよかったのでは?
「やはり納得が行きません。私が光魔術が使えることをここの船員が私を攫った人に話したそうではないですか。それが、私が攫われた原因ではないのですか?」
「ユーフィア。それは本当のことか!」
「この船の船員が客の情報をもらした?ちっ!」
「私を攫ったのはマルス帝国の者たちです。確かにその人たちは巫女様という人を攫いたかったようです。ドア越しに話しているのが聞こえたのですが、『確かに船員が光の魔術で治癒をしてもらったと言っていたしな。』と言っていました。」
「ちょっと、待ってろ!調べてくる!」
ザックさんは慌てて部屋を出ていきました。
「マルス帝国だと!ユーフィア、大丈夫だったのか?何もされていないか?」
クストが後ろからギュウギュウに抱きしめてきますが、もう少し緩めて欲しいのですが
「大丈夫よ。どうやら、裏でサウザール公爵が動いているようだったけど、それにしては軍部が動いていないのが、少し不可解ね。」
「本当に奥様、お怪我はありませんか?」
「ありがとう。マリア、大丈夫よ。」
「奥様、お茶と軽食をどうぞ。」
セーラがお茶とおにぎりを出してくれました。おにぎりです。目の前には白い三角のおにぎりが!
思わず手にとりカブりつきます。シンプルな塩味ですが、とても美味しいです。とても懐かしいです。
「セーラ。ありがとう。」
「奥様がこの穀物を気にしていらしたので、旅館の人に頼んで、どうにかして持って帰れないかとお願いしましたら、この様にして下さいました。変わった形ですよね。」
わざわざ頼んでくれたのね。うれしいわ。お茶も紅茶ではなく緑茶です。ほのかな甘味と苦味がおにぎりに合います。もう食べてしまいました。はぁ、もう少し味わって食べればよかったです。
「セーラ、ごちそうさま。美味しかったわ。」
そうして、くつろいでいますとザックさんが戻って来ました。
「奥様、わかったぞ。南のドドール国の船だ。水と食料の補給で寄ったところで、船員同士が立ち話をしているところに割り込んで来たらしい。船員達は光の魔術を使えるヤツは珍しいから話を聞いてきたんだろうと思って話してしまったらしい。すまなかった。」
ザックさんが頭を下げて謝ってきましたが、ドドール国?聞いたことがありません。しかし、そんな国までサウザール公爵の手が、マルス帝国の影が、伸びているなんて、一体何をしようとしているのでしょう。
「いいえ、私はマルス帝国の手に捕まっても逃げるすべは用意していますから大丈夫ですが、その光の巫女様という人が今回捕まらなくてよかったです。何やら、実験に使用されると言っていましたから。」
「は?実験?」
「多くの奴隷の方を犠牲にして実験を行っていると言っていました。」
「まじかよ。だから、帝国は好きじゃない。誰かあの帝国潰してくれないかなぁ。そう言えば、あの海はどうなっているんだ?」
「あの海?」
どの海のことでしょう?
「奥様が通ってきた凍りついた海だ。キョウがこれ以上進んだら、船も俺たちの凍りつくから進むなと言っていたんだが、あれは何だ?元に戻るのか?」
ああ、氷雪弾の余波で作られた凍った海のことですか。
「私もよくわからなくて、多分、魔力を消費されれば元に戻るはずです。そんなに大きな魔石は使っていないのですけど。」
「よくわからない物を使わないでくれ、この船にいる間は何もしないでくれ。クラーケンに襲われようが、海賊に襲われようが、この部屋から出るな!絶対だぞ!」
そう言ってザックさんは部屋を出て行きました。確かに、試し撃ちをしていない物を使用しとことは認めますが、そこまで強く言わなくてもいいのではないのでしょうか?
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