聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜

白雲八鈴

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74 捕獲!!

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 ブチッ!!コンコロコロ····。

 私は眼下に転がっていくモノを呆然と眺めている。
 最悪だ。私の目に床を転がるボタンが映っている。そして、壁にぶつかり止まって、床に倒れたボタン。それも床には3個のボタンが落ちている。

 わかっている。原因は私の子豚化だ。本当なら将校オフィシエに昇級したときに、一回り大きなサイズを申請すればよかったのに、いつの間にかルディが今までと同じサイズを申請していたのだ。
 しかし、私は太り続けた。いや、栄養不足が解消され成長期(?)と相まって私はここ2ヶ月で太った。縦よりも横に広がったと言っていい。子豚化だ。

 数日前から大分キツイなとは思っていた。しかし、まだ着れる。
 そこにトドメを差したのが、先日の酒吞と茨木との戦いだ。戦いの最中に内ボタンが数個ぶっ飛んだのがわかったけど、そんな事を気にしている場合ではなかった。王都に戻れば購入すればいいと思い、そして今日、上着のボタンの上3個が弾け飛んだ。私、太りすぎた。

 では、別の服を着ればいいじゃないかということだけど、それは駄目なのだ。ルディとの朝の攻防の末、事務局に行く権利を得たので、新しい隊服を購入しようとしているのに、事務局へゴスロリスタイルでいくわけにもいかない。そのために隊服を着ようとしていた。←今ここ。

 はぁ。困った。ルディは王城に向って行ってしまったのでいない。ファルの部屋はこの4階にあるだろう事はわかるけど、どの部屋かは知らない。
 裁縫道具があれば直せるかもしれないけれど、私が持っていた裁縫道具は、教会で聖水の儀を指名された時に下の子にあげてしまった。

 もう、途方に暮れるしかない。
 ····ん?教会?確かこの4階で5歳上のリザ姉とすれ違ったことがある。着れなくなった隊服があるかもしれない。もしくは裁縫道具を持っているかも!
 今はまだ勤務時間にはかなり早い時間帯だ。もしかしたら、出待ちすれば会えるかも!
 もしくはファルでもいい!



 そして、私は中廊下に繋がる部屋の扉に張り付き、廊下を通る人の気配を伺う。部屋の中から見れば怪しい人物だ。しかし、廊下で出待ちしていると、『何だ?コイツ』という視線を受けるのは必然だろう。何故なら、将校オフィシエで着崩して隊服を着ている者は私が伺い見る限りいなかったのだ。
 騎士シュヴァリエならよくいるのになぁ。

 何人か人は通り過ぎているけど、知らない人ばかりだ。···ん!知らない人だけど、リザ姉を知っている人が廊下を歩いている。
 どうする?私は全く面識が無いけれど、この人ならリザ姉の部屋がどこにあるか知っているはずだ。取り敢えず当たって砕けてみよう。

 気配を消して、部屋の扉をそーっと開き、背後から近づき右腕をガシリと掴んだ。捕獲!!
 私に驚いている顔を向けてくる人に切実に訴えた。

「リザ姉の部隊長さん!リザ姉の部屋がどこか教えてください!」

 あの会議室で団長コマンドールとは反対側に座っていた人だ。髪は紺青こんじょう色と言っていいだろうか。紫色を帯びた青い色の髪に金色の目の白い隊服を着た男性の背後にリザ姉とキルクスの教会で見かけた人がいたから、この部隊長はリザ姉の部屋を知っているはずだ。

 右腕を引き離さなされそうだったので、折れた風の左手も加え抱え込む。逃がすものか!

「問題が発生したので、リザ姉と連絡が取りたいです!」

「お前、第13部隊の者だろう!あの部隊長に言え!」

 普通はそうすべき事なのだろうけど、今は居ないのでどうしようもない。だから、逃さないよ。

「ルディは王城に呼び出されたのでここにはいません!なので部隊長さんにお願しているのです!」

「お前には恥じらいというものが無いのか!」

 ····恥じらい?これは他の部隊の者に頼ってはならないってこと?しかし、そんな事を気にしていたら、今の現状は何も解決しない。だって、第13部隊に女性の将校オフィシエは私だけなのだから、裁縫道具さえ借りれないよ。

「私はリザ姉の部屋を教えて欲しいって言っているだけなのに、駄目なのですか」

 だから、逃がすわけないでしょ!逃げようとする男性の捕獲した右腕に更に力を込めて引き留める。
 しかし、男性は逃げようと····ブチッ!!コンコロコロ····。

 デジャヴ。先程見た光景が私の目に映った。

「はぁ、もう誰でもいいので子豚化している私の体裁を整える為に、女性の将校オフィシエを紹介してください。リザ姉にはこだわりません」

「取り敢えず、腕を離せ」

 眉間にしわを寄せながら言われてしまったので、渋々、捕獲した腕を解放した。はぁ、別の人にすれば良かったのだろうか。

「そもそもリザネーとは誰のことだ?」

 ····はっ!リザ姉の名前····いや、いくら思い出そうとしても、聞き取れない私には、リザ姉のフルネームなんて記憶になかった。あるのは、私と同じ平民なので家名は無いということぐらいだ。

「オレンジ色の髪をこの辺りで揃えいる、明るい青色の目をして、部隊長さんの後ろに立っていた女性です!私の中ではリザ姉しか記憶にありません」

 私は顎の横で手を振り、髪の長さを示した。名前はリザしか覚えていないと言い切った。

「ああ、リザネイエのことか」

 やっぱり、リザ姉で合っているじゃない。紺青こんじょう色の髪の男性は隊服の上着を脱ぎ私の肩に掛けた。何故に?
 意味がわからず首を傾げていると、更に眉間のシワが深く刻まれたしかめっ面で言われた。

「前を留めろ」

 ああ、すみません。お見苦しいものを····。

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