聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜

白雲八鈴

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195 傘を差してあげます

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「じゃ、誰ならその龍神に勝てる?」

「龍神はすい属性だから、属性がいいわ。麒麟を使うといいわね」

 これって五行思想ってものじゃない?それも麒麟!麒麟がいるの!
 というか土剋水ってことだよね。土の属性の聖痕の持ち主がいるっていうの?私は知らないなぁ。

「誰かねー。確か双子がそうだったはず。普通は攻撃力が弱くて補助に回すのだけど、龍神との戦いは主戦力だった」

 双子ってことはヒューとアストだね。

「他は?」

「後は補助に回す感じ、全属性使えるチートがいればいいのに、全属性使えるキャラが居なかったんだよね」

 全属性は心当たりはある。神父様だ。正にチート。それにしてもこれだけ聖騎士がいるのに戦えるのがヒューとアストだけってキツすぎない?

「ねぇ、それだと二人だけで戦うことになるけど、ここには沢山の聖騎士がいるのに駄目ってこと?」

「駄目。全然駄目。今回は防御力の高さが求められるの。防御力が低いと一撃で終わり……ねぇ。これだけ答えたのだから私を外に出してくれない?」

 彼女は情報と交換として外に出ることを求めてきた。けれど、そんなことをすれば、私はルディどころか神父様からも怒られてしまう。

「この部屋って窓が無いからわからないかもしれないけれど、外に出ても土砂降りの雨だから止めたほうがいいよ」
「ん?土砂降りの雨?」

 すると彼女の顔が真っ青になってきた。どうしたのだろう?

「まさか玄武もいるの?バッドエンドまっしぐらじゃない!」

 そう言って彼女は立ち上がって、私の肩を掴んできた。

「ねぇ雨が降り始めて何日目?」

「4日目だけど?」

「4日……4日も経っているっていうの?あと3日で王都は水に沈むのよ!こんなところでのんきにお菓子を食べている暇なんてないじゃない!」

 あと3日で王都が水に沈むのか。確かにこの雨はヤバいかなぁとは思っていた。
 この国の地形はいくつかの大きな湖が存在している。そして、海が近くにはなく、南に大きな山々が連なっている。そこに北側を雪で塞がれてしまえば、山脈からの川の水とこの大雨の水は行き場を失って、地面が吸い込まなくなった水は溜まっていくしか無い。
 最初に任務に行った場所もそうだけれど、多くの湖が点在するということは、何度も水に沈み、地盤が弱いところに水が溜まっていき、湖になっていったことがわかる地形なのだ。
 だから、彼女の言っていることもあながち嘘ではないだろう。

「もう少しお菓子を置いていくから、ここに居てくれる?私には貴女を外に出す権利はないから。その代わり貴女の言ったことを上に伝えておくよ」

 何やら扉の外が騒がしくなってきたので私は重力の聖痕を使って天井に開いた穴に飛び込み素早く板を元の位置に戻した。と、同時に彼女が監禁されている部屋の扉が開かれた。

 危なかった。
 彼女が騒ぎ出したことで、扉の前にいた人が、彼女が暴れても抑えられる人を喚び出したのだろう。

「朧。第6部隊に行ってくれる?」

「そろそろ第13部隊にお戻りになっては如何ですか?」

 確かにルディが報告を終えて戻ってはいそうなのだけど、残り3日しかないとなれば、急がないといけない。

「朧も話を聞いていたよね?」

「半分程は理解できませんでしたが」

「残り3日しかないということは実質1日で決着をつけないといけないの。はっきり言って時間がない」

「あの理解不能な世迷い言をご主人さまは信じるのですか?」

 世迷い言かぁ。どの辺りがわからなかったのだろう?
 しかし、今は説明をしている暇はない。

「あとで皆がいるときに説明するから、取り敢えず第6部隊のヒュー様とアスト様のところに連れて行って!」

 私は第6部隊の詰め所がどこにあるかわからないからね。




 そして、私は第13部隊のぽつんと一軒家に連行されていた。そう連行。

 土砂降りの雨の中、雨に濡れないように重力の聖痕で私の周りの重力を反重力場にすることで雨を受けないようにして外に出れば、魔王様が待ち構えていらっしゃいました。

 この状況に朧は早々に白旗を振り、私をルディに差し出した。この裏切り者!

 しかし、反重力場をまとった私に手が弾かれルディが触れることが出来ずにいると、雨が一瞬やみ魔王様の背後の背景が歪みだした。

「ご主人。その聖痕の術を解かれては如何ですか?」

 宙に浮いた私と離れたことにより土砂降りの雨に打たれている朧に諭されたけれど、私は首を横に振る。

「え?雨に濡れるから嫌だし」

「傘を差してあげますから」

 この世界の傘は高級品で貴族しか使わない代物だ。だから私は傘なんて今まで差したことなんてなかったのだ。

「用意がいいね朧」

「恐らくこの様になると思っていましたから」

 朧もだいぶん私に慣れてきたようだった。

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