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241 妹もどき
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私は眩しい光に思わず手をかざす。先程まで真っ暗だったのに、何が起こった。
目が慣れて、視界がはっきりと周りの景色を認識したところで私は一歩踏み出したまま固まってしまった。
先程まで砂利があり、凸凹した地面だったところが、黒いアスファルトの道路になっていた。
その道に沿うようにブロック塀や石の壁、若しくは表札兼郵便ポストだけが道路沿いにあり、あとは駐車スペースになっている。
その奥には黒い瓦の家や、ソーラーパネルが乗せられた家。記憶の奥底がチリチリとする風景が広がっていた。
そして、扉があるはずの後ろには、同じくアスファルトの道路が続いている。
「なにこれ」
いや、これが黒髪でスーツ姿でこの場に立っていれば、今までのことは夢だったのかもしれないと思っただろう。
しかし、私の視界には銀髪が揺れ、白い隊服を身にまとっていた。
普段からコスプレをしているイタい人になっている!
まぁ、これでわかった。神父様がダンジョンに過去を見せられていると言ったことが、これはきっと私の記憶の中の風景なのだろう。そう思い、黒い地面に一歩を踏み出し歩きだす。
周りの景色を見れば、家の近所だとわかる。あそこが同級生のアキちゃんの家だとか、あっちに小学校があるとか、覚えている。
「ハッハッハッハッ」
突然怪しく息をする音が聞こえてきた。それは背後からではなく、足元。
「あ……マロ」
黒い豆柴のマロだ。眉毛が茶色く丸いので、妹がマロと名付けたのだ。愛嬌のある顔を私に向けて、めいいっぱい尻尾を振っている。
「マロ。可愛い」
そう言ってしゃがみこんで、頭を撫ぜると、マロはコロンとひっくり返ってお腹を見せる。背中は黒いがお腹は白い毛並みでふわふわだ。そこをわしわしと撫ぜる。
「マロ。可愛いよね。大好きだよ」
はっ!マロ。大好きを言っている。もしかして、覚えていなかったけれど、正夢を見ていた?
私の脳みそよ。正夢は覚えていてこそ、正夢だ。
「あ!居た!お姉ちゃん!マロを捕まえてくれていたんだ」
私の進行方向から、傷んだ金髪を揺らしながら、駆けてくる妹のユイの姿があった。赤いリードを持っていることから、マロが脱走したのだろう……いやいやいや、これおかしすぎ!
妹が銀髪の私を姉と呼ぶのは百歩譲って良しとしよう。これは私の記憶なのだから。
問題は金髪の妹が赤いリードを持っていることだ。いや、赤いリードはマロのリードで間違いはない。
しかし、マロが居ることと金髪の妹が同じように存在しているのがおかしい。
妹がマロの散歩をしようとしていることもおかしい。
マロは妹が5歳の時に家にやってきた。やんちゃざかりのマロと、何も分かっていない妹は、互いにトラウマを植え付けあったのだ。
子犬のマロは妹を追いかけ回し、袖口を噛み、妹を振り回すように首を振る。マロ的には、じゃれあっているだけだったが、妹はギャン泣きだ。その時妹のスカートのポケットから、隠し持っていた小さな手鏡が落ちる。光を反射して落ちる鏡にマロは恐怖を感じ、妹を威嚇しだしたのだ。
それ以来、マロは妹に怯え、妹は犬嫌いになった。
そんな妹がマロの散歩に?妹が大学に行くころには、よたよたと歩くようになり、15歳で死んだマロが散歩を?
「お姉ちゃん。ありがとう」
妹の姿をした何かは、マロにリードを付けて、ありがとうと言った。
「誰?」
「お姉ちゃん。私だよ私。毎日顔を合わせているのに、酷いなぁ」
オレオレ詐欺みたいな言い方をしないで欲しい。
「そう?私にエロゲー勧めてくる妹っておかしいと思うけど?」
「そんなことないよ」
頬を膨らませて怒っており風の妹もどきを置いて、私は立ち上がって、進むべき道を歩く。
「待ってよ!一緒に帰ろうよ。今日はシチューだって」
「ふーん。そのエロゲーって、結末はどうなるわけ?」
シチューの話をされると、食べたくなるので、話を変える。そして、妹もどきに核心的なことを聞いてみた。答えてくれるかどうかわからないけど。
「それはゲームをやって、楽しんで欲しいなぁ」
やはり駄目だった。
「じゃぁさぁ。なぜ主人公の聖女は、たくさんの聖騎士を食っているわけ?」
「お姉ちゃん。言い方が酷い。恋のスパイスには、愛も必要ってこと」
「全然意味がわからない」
ゲーム的にはそれでいいのかもしれないけど、現実の彼女は未だに誰とも肌を合わせていない。そこに何かあるのかと思ったのだけど、違うのだろうか。
「これ言っちゃうとゲームするときに楽しめないからね」
「エロゲーする気ないから、教えてほしい」
ゲームではなくて、現実問題だからね。
「実は聖女には魔力が無いの」
妹もどきよ。それは知っている。その先だ。
「聖女は親密になった人から魔力を得て、戦うの。だから、たくさんの魔力が必要なら、たくさんの男の人と寝るってこと」
「最悪だ!絶対に聖女のセイの字が違うよね」
あれだ。太陽の聖女がいれば、月の聖痕から魔力を取りたい放題取れる。だけど、太陽の聖女が居ないと魔力がないので、他の人から奪う為に、肌を重ねる。
このエロゲーは最悪だった。
目が慣れて、視界がはっきりと周りの景色を認識したところで私は一歩踏み出したまま固まってしまった。
先程まで砂利があり、凸凹した地面だったところが、黒いアスファルトの道路になっていた。
その道に沿うようにブロック塀や石の壁、若しくは表札兼郵便ポストだけが道路沿いにあり、あとは駐車スペースになっている。
その奥には黒い瓦の家や、ソーラーパネルが乗せられた家。記憶の奥底がチリチリとする風景が広がっていた。
そして、扉があるはずの後ろには、同じくアスファルトの道路が続いている。
「なにこれ」
いや、これが黒髪でスーツ姿でこの場に立っていれば、今までのことは夢だったのかもしれないと思っただろう。
しかし、私の視界には銀髪が揺れ、白い隊服を身にまとっていた。
普段からコスプレをしているイタい人になっている!
まぁ、これでわかった。神父様がダンジョンに過去を見せられていると言ったことが、これはきっと私の記憶の中の風景なのだろう。そう思い、黒い地面に一歩を踏み出し歩きだす。
周りの景色を見れば、家の近所だとわかる。あそこが同級生のアキちゃんの家だとか、あっちに小学校があるとか、覚えている。
「ハッハッハッハッ」
突然怪しく息をする音が聞こえてきた。それは背後からではなく、足元。
「あ……マロ」
黒い豆柴のマロだ。眉毛が茶色く丸いので、妹がマロと名付けたのだ。愛嬌のある顔を私に向けて、めいいっぱい尻尾を振っている。
「マロ。可愛い」
そう言ってしゃがみこんで、頭を撫ぜると、マロはコロンとひっくり返ってお腹を見せる。背中は黒いがお腹は白い毛並みでふわふわだ。そこをわしわしと撫ぜる。
「マロ。可愛いよね。大好きだよ」
はっ!マロ。大好きを言っている。もしかして、覚えていなかったけれど、正夢を見ていた?
私の脳みそよ。正夢は覚えていてこそ、正夢だ。
「あ!居た!お姉ちゃん!マロを捕まえてくれていたんだ」
私の進行方向から、傷んだ金髪を揺らしながら、駆けてくる妹のユイの姿があった。赤いリードを持っていることから、マロが脱走したのだろう……いやいやいや、これおかしすぎ!
妹が銀髪の私を姉と呼ぶのは百歩譲って良しとしよう。これは私の記憶なのだから。
問題は金髪の妹が赤いリードを持っていることだ。いや、赤いリードはマロのリードで間違いはない。
しかし、マロが居ることと金髪の妹が同じように存在しているのがおかしい。
妹がマロの散歩をしようとしていることもおかしい。
マロは妹が5歳の時に家にやってきた。やんちゃざかりのマロと、何も分かっていない妹は、互いにトラウマを植え付けあったのだ。
子犬のマロは妹を追いかけ回し、袖口を噛み、妹を振り回すように首を振る。マロ的には、じゃれあっているだけだったが、妹はギャン泣きだ。その時妹のスカートのポケットから、隠し持っていた小さな手鏡が落ちる。光を反射して落ちる鏡にマロは恐怖を感じ、妹を威嚇しだしたのだ。
それ以来、マロは妹に怯え、妹は犬嫌いになった。
そんな妹がマロの散歩に?妹が大学に行くころには、よたよたと歩くようになり、15歳で死んだマロが散歩を?
「お姉ちゃん。ありがとう」
妹の姿をした何かは、マロにリードを付けて、ありがとうと言った。
「誰?」
「お姉ちゃん。私だよ私。毎日顔を合わせているのに、酷いなぁ」
オレオレ詐欺みたいな言い方をしないで欲しい。
「そう?私にエロゲー勧めてくる妹っておかしいと思うけど?」
「そんなことないよ」
頬を膨らませて怒っており風の妹もどきを置いて、私は立ち上がって、進むべき道を歩く。
「待ってよ!一緒に帰ろうよ。今日はシチューだって」
「ふーん。そのエロゲーって、結末はどうなるわけ?」
シチューの話をされると、食べたくなるので、話を変える。そして、妹もどきに核心的なことを聞いてみた。答えてくれるかどうかわからないけど。
「それはゲームをやって、楽しんで欲しいなぁ」
やはり駄目だった。
「じゃぁさぁ。なぜ主人公の聖女は、たくさんの聖騎士を食っているわけ?」
「お姉ちゃん。言い方が酷い。恋のスパイスには、愛も必要ってこと」
「全然意味がわからない」
ゲーム的にはそれでいいのかもしれないけど、現実の彼女は未だに誰とも肌を合わせていない。そこに何かあるのかと思ったのだけど、違うのだろうか。
「これ言っちゃうとゲームするときに楽しめないからね」
「エロゲーする気ないから、教えてほしい」
ゲームではなくて、現実問題だからね。
「実は聖女には魔力が無いの」
妹もどきよ。それは知っている。その先だ。
「聖女は親密になった人から魔力を得て、戦うの。だから、たくさんの魔力が必要なら、たくさんの男の人と寝るってこと」
「最悪だ!絶対に聖女のセイの字が違うよね」
あれだ。太陽の聖女がいれば、月の聖痕から魔力を取りたい放題取れる。だけど、太陽の聖女が居ないと魔力がないので、他の人から奪う為に、肌を重ねる。
このエロゲーは最悪だった。
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