聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜

白雲八鈴

文字の大きさ
242 / 462

242 聖女は一人

しおりを挟む
「はぁ。で、王妃に聖女が選ばれるのは何故?まるで聖女がこの国の王みたい」

 私は妹もどきに、妹からは得られなかった情報を聞いてみる。妹ユイの話は殆どが推しの話だったため、聖女に関する話は殆どなかった。

「ああそれ?聖女はその力でここを押さえているからね」

「ここを押さえている?意味がわからない」

 こことはどういう意味だろう。ダンジョンということ?それとも常闇?

「魔力を持たない聖女って、魔力を長期間溜められないだけで、本当は持っているの」

「は?矛盾していること言っているけど?」

 ますます意味がわからなくなってきた。あの聖女は本当は魔力を持っているってこと?
 それに長期間溜められないって、まるで袋に穴が空いているみたい。

「魔力の器が無限大ってこと。だから、何人分でも魔力を受け入れられるの。魔力の器が無限大だから本人は魔力を溜める感覚がわからず、垂れ流し。だけど、それがこの国には必要なんだよね」

 ああ、魔力を溜めるところが、大きすぎて、自分では把握できないから、口を閉じずに開きっぱなしってことか。
 だけど、その垂れ流す魔力が必要なのか。

「何故、必要なの?」

「蓋が開かないように、膨大な魔力で押さえ込むのに必要」

 妹もどきはくすくすと笑いながら答える。大量な魔力で封印の力が増すという意味?

「何を押さえて込んでいるの?」

「なんだと思う?」

 ちっ。ここに来て逆に質問されてしまった。全部は開示はしないということだろうか。

 考えうることは、あの手だ。常闇を強制的に開いたときに発せられた悲鳴。世界と考えていたけど、この話の流れからするとそうではなさそう。

 この国の王は聖女を伴侶とする。正確には聖女を伴侶とした者が王となる。

 普通であれば、聖女の彼女は白銀の王様の隣に立つべき存在。しかし、白銀の王様は貴族たちの中では死んだのも同然。表立って王としているのは王家の影の長。だから、彼女は白銀の王様の隣には立てない。

 ここまではいい。

 だから、貴族共はルディを王にすべく、聖女の彼女を婚約者に当てようとした。ルディの魔力は普通ではない。そのルディの膨大な魔力を何かを押さえ込むために使おうとした。

 でも、これってルーナの聖女の話だ。では太陽ソールの聖女はどうなのだろう。

「ちょっと、情報が足りないから、質問していいかな?」

「何?お姉ちゃん?」

 妹もどきは普通に私を姉と言う。この記憶は本当に何が元になっているのだろう。

「聖女が二人いた場合、もう一人も他人の魔力を食って、垂れ流すのかな?」

 すると、妹もどきはケラケラと笑い出した。

「お姉ちゃん。聖女は一人だけだよ。もし、もう一人聖女がいるなら、それは聖女じゃない」

「聖女じゃない?聖女じゃないの?」

 妹もどきからとんでも無い言葉が笑いと共に紡がれた。

「それは誰もが恋い焦がれる使徒。天からの贈り物。世界に祝福を与える『異物』。聖女は誰しも願う。己の時代に祝福が訪れることに」

 ……なんか微妙に貶されている?異物って。

 しかし、聖女の像の意味がこれでわかったような気がする。民を見ることがない聖女の像。天に祈るように上を向いている聖女。それは太陽ソールの聖女の出現を願っていたという意味だったのだ。

「その異物がいれば、聖女は幸せになるってこと?」

「幸せ?それは違うかな?魔力が使いたい放題になるだけ、それ以外は変わらないと思う」

「ん?だったら、何故聖女は異物の存在を願うの?」

 すると妹もどきは妹がすることのないニヤリと意地が悪るそうな笑みを浮べた。

「聖女の代わりに重しになる存在だからだよ。と同時に異物の影響を受けて、異物の世界と繋がり更に異物が入り込み、重しが増す」

「ふーん。その異物が蓋を開けるとは思わないわけ?」

 すると妹もどきが、ぴたりと足を止めた。その目は私の言葉が信じられないと動揺しているように見える。

「異物が、蓋を開けで押し込んでいるモノを解放するとは考えないと決めつけているんだね」

「解放する?私を?」

 妹もどきは、動揺しているため、自分が何を言ったのか理解していないようだ。

「そう解放。でもきっと解放すると世界が崩壊するというリスクがあるのかな?聖王様?」 

 妹もどきの姿が揺らめき、その姿が消えた。消えたと同時に周りの景色もゆらめき、小さな光が漂う暗闇へと変化した。

「あ、まだ聞きたいことがあったのに、消えてしまった」

 まぁいいか。きっと、一番最下層に行けばまた会えるだろう。と私はそのまま暗闇の中足を進めたのだった。

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした

楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。 仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。 ◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪ ◇全三話予約投稿済みです

【完結】すり替わられた小間使い令嬢は、元婚約者に恋をする

白雨 音
恋愛
公爵令嬢オーロラの罪は、雇われのエバが罰を受ける、 12歳の時からの日常だった。 恨みを持つエバは、オーロラの14歳の誕生日、魔力を使い入れ換わりを果たす。 それ以来、オーロラはエバ、エバはオーロラとして暮らす事に…。 ガッカリな婚約者と思っていたオーロラの婚約者は、《エバ》には何故か優しい。 『自分を許してくれれば、元の姿に戻してくれる』と信じて待つが、 魔法学校に上がっても、入れ換わったままで___ (※転生ものではありません) ※完結しました

【完結】小公爵様の裏の顔をわたしだけが知っている

おのまとぺ
恋愛
公爵令息ルシアン・ド・ラ・パウルはいつだって王国の令嬢たちの噂の的。見目麗しさもさることながら、その立ち居振る舞いの上品さ、物腰の穏やかさに女たちは熱い眼差しを向ける。 しかし、彼の裏の顔を知る者は居ない。 男爵家の次女マリベルを除いて。 ◇素直になれない男女のすったもんだ ◇腐った令嬢が登場したりします ◇50話完結予定 2025.2.14 タイトルを変更しました。(完結済みなのにすみません、ずっとモヤモヤしていたので……!)

転生貧乏令嬢メイドは見なかった!

seo
恋愛
 血筋だけ特殊なファニー・イエッセル・クリスタラーは、名前や身元を偽りメイド業に勤しんでいた。何もないただ広いだけの領地はそれだけでお金がかかり、古い屋敷も修繕費がいくらあっても足りない。  いつものようにお茶会の給仕に携わった彼女は、令息たちの会話に耳を疑う。ある女性を誰が口説き落とせるかの賭けをしていた。その対象は彼女だった。絶対こいつらに関わらない。そんな決意は虚しく、親しくなれるように手筈を整えろと脅され断りきれなかった。抵抗はしたものの身分の壁は高く、メイドとしても令嬢としても賭けの舞台に上がることに。  これは前世の記憶を持つ貧乏な令嬢が、見なかったことにしたかったのに巻き込まれ、自分の存在を見なかったことにしない人たちと出会った物語。 #逆ハー風なところあり #他サイトさまでも掲載しています(作者名2文字違いもあり)

嫌われていると思って彼を避けていたら、おもいっきり愛されていました

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のアメリナは、幼馴染の侯爵令息、ルドルフが大好き。ルドルフと少しでも一緒にいたくて、日々奮闘中だ。ただ、以前から自分に冷たいルドルフの態度を気にしていた。 そんなある日、友人たちと話しているルドルフを見つけ、近づこうとしたアメリナだったが “俺はあんなうるさい女、大嫌いだ。あの女と婚約させられるくらいなら、一生独身の方がいい!” いつもクールなルドルフが、珍しく声を荒げていた。 うるさい女って、私の事よね。以前から私に冷たかったのは、ずっと嫌われていたからなの? いつもルドルフに付きまとっていたアメリナは、完全に自分が嫌われていると勘違いし、彼を諦める事を決意する。 一方ルドルフは、今までいつも自分の傍にいたアメリナが急に冷たくなったことで、完全に動揺していた。実はルドルフは、誰よりもアメリナを愛していたのだ。アメリナに冷たく当たっていたのも、アメリナのある言葉を信じたため。 お互い思い合っているのにすれ違う2人。 さらなる勘違いから、焦りと不安を募らせていくルドルフは、次第に心が病んでいき… ※すれ違いからのハッピーエンドを目指していたのですが、なぜかヒーローが病んでしまいました汗 こんな感じの作品ですが、どうぞよろしくお願いしますm(__)m

[完結]私を巻き込まないで下さい

シマ
恋愛
私、イリーナ15歳。賊に襲われているのを助けられた8歳の時から、師匠と一緒に暮らしている。 魔力持ちと分かって魔法を教えて貰ったけど、何故か全然発動しなかった。 でも、魔物を倒した時に採れる魔石。石の魔力が無くなると使えなくなるけど、その魔石に魔力を注いで甦らせる事が出来た。 その力を生かして、師匠と装具や魔道具の修理の仕事をしながら、のんびり暮らしていた。 ある日、師匠を訪ねて来た、お客さんから生活が変わっていく。 え?今、話題の勇者様が兄弟子?師匠が王族?ナニそれ私、知らないよ。 平凡で普通の生活がしたいの。 私を巻き込まないで下さい! 恋愛要素は、中盤以降から出てきます 9月28日 本編完結 10月4日 番外編完結 長い間、お付き合い頂きありがとうございました。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

「結婚しよう」

まひる
恋愛
私はメルシャ。16歳。黒茶髪、赤茶の瞳。153㎝。マヌサワの貧乏農村出身。朝から夜まで食事処で働いていた特別特徴も特長もない女の子です。でもある日、無駄に見目の良い男性に求婚されました。何でしょうか、これ。 一人の男性との出会いを切っ掛けに、彼女を取り巻く世界が動き出します。様々な体験を経て、彼女達は何処へ辿り着くのでしょうか。

処理中です...