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253 絡みつく死の鎖
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嫌なことが頭に浮かんでいたため、気づくのに遅れてしまった。視界の端に何か動く物が!!
反射的に浮いている体を勢いよく天井に……くっ!足に黒い鎖が!
なぜ、死の鎖が私に絡みつく!
「アンジュ!どうした!」
ルディの声を聞きながら、鎖を観察してみても、次の鎖が来ない。普通であれば、世界は逃さないために、複数の鎖を投じてくるはずだ。
なんだ?これは?
足に絡みつく鎖を引っ張ってみてもやはり取れないし、ちぎれない。死の鎖で間違いないようだ。
「アンジュ。鎖から手を放しなさい」
神父様の声に瞬間的に鎖から手を放す。と同時に、金色の何かが鎖を断ち切った。断ち切った?
神父様に視線を向けると、黄金の勇者の剣を鞘に収めるところだ。
もしかして、勇者の剣だから切れた?あの死の鎖が?
「ちょっと進むのを待って欲しい。おかしなことが起きた」
色々混乱している私は、天井に張り付いていた体を、皆が立っている石の地面に下ろした。と思ったらルディに抱えられてしまった。
「アンジュ。何があったんだ?」
「ルディ。死の鎖に捉えられたんだけど、それがちょっとおかしくて、進むのはちょっと待って欲しい」
「おい!アンジュ!死の鎖ってあれだろ?常闇の中から飛び出てきたヤバイやつ」
流石に一度、死の鎖にぐるぐる巻にされたファルは焦りを覚えたらしい。
「まぁ、神父様の聖剣で切れたからいいのだけど……聖剣……聖剣だから切れた?」
そうだ。私の聖騎士と称した人たちの持つ聖剣は普通じゃない。異界の神と異界の神獣の力を吸い取った世界の力で構成された大木が元だ。もし、これが世界の力だけなら、世界が生み出した死の鎖は切れなかったと予想できる。それはどちらも世界の力だからだ。
しかし、ここで異界の神と神獣の力が加わることで、世界の力をも凌駕する聖剣が出来上がってしまった。
ならば、世界が獲物と認識するためにつけられた死の鎖を断ち切ることも可能ということ。
……なんて恐ろしい聖剣を作ってしまったんだ!
ただ、ここで問題になるのが、なぜ、死の鎖が今出てきたのかということだ。以前はどうだったのだろう。
「神父様は死の鎖が見えるよね。なら、前回はどうだったの?死の鎖は出てきた?」
「いいえ。そんな物は見ていませんね。ただ、先程魔ねずみを倒したときにいくつか死の鎖は私や後ろの異形に絡みつこうとしていましたね」
あれ?そうだったの?私は全然気づかなかった。きっと、酒吞の巨体で見えなかったのだろう。
ならば、ますますわからなくなってしまった。前回神父様とファルがこのダンジョンに入ったときは鎖は存在せず、今回になって現れた理由。
第一階層では見られなかった。しかし、第二階層と第三階層の入口で見られた。その共通点は……魔物とは言えない雑魚を倒したこと。それなら理由づけできる。第二階層で魔ねずみを討伐したのは神父様と鬼の二人。そして、第三階層のアレを始末したのは私。ルディとファルには鎖の存在は見られなかったのも理由づけできる。
なんかヤバい方向に向かっている気がする。私はさほど強くない魔物の存在に蠱毒のツボみたいだと感じた。
その直感は侮れないかもしれない。
前回居なくて、今回いる存在は、私と鬼の二人だ。ただ、世界の異物として認識される鬼の二人は除外していいと思う。絶対にこのダンジョンに入るとは限らない異形だからだ。
となれば、天使の聖痕を持つ私の存在だ。そう元々このダンジョンに入る条件が王族と聖女という固有名詞を言われたのだ。
精霊の指輪は王族がするというよりも、信頼できるものに渡すという意味合いが強いので、付き人の枠だろう。
王族と聖女を蠱毒のツボの中に入れる意味合いは何か。恐らくこの先に待っているのは死だ。
死。
王族の死。聖女の死。
聖女は次代の王が立つまで、生かされる。
「神父様。神父様の母親の聖女の死は何処でした?」
「アンジュ!」
「おい!アンジュ!」
ルディとファルが何を言っているのかと、私の言葉を止めようとする。しかし、これは重要だ。
「ルディの母親の死は、それには準ずることはなかったということだよね。だから、毒杯で自ら生命を絶った」
「そうですね。あれはエリスのささやかな抵抗だったのでしょうが、結果としては変わりませんでしたよ」
「そこはいいから、本来の聖女の死についてってこと!」
「王城の地下に祭壇の間というところがあります。王を失った聖女はそこで死を迎えることが決められています」
ん?おかしな言葉が出てきた。王を失った聖女とは何?
「それは先に聖女が死んだ時には、使われない?」
「さぁ?私が知る限り、聖女より王の方が先に死んでいますね。200年前の聖女以外はと付け加えますが」
……聖女より王の方が早く死んでいる?は?どういうこと?どちらかと言えば、聖女の方が早死するリスクが高いでしょう!
「アンジュ。アンジュが言ったのですよ。根こそぎ魔力を取られれば、それは早死もするでしょうと」
言った。キルクスで確かに言った。まさか、魔力を与える王にも、それが適応されていたなんて……王こそ世界の生贄なんじゃないの?
この国の闇はとても深かった。
反射的に浮いている体を勢いよく天井に……くっ!足に黒い鎖が!
なぜ、死の鎖が私に絡みつく!
「アンジュ!どうした!」
ルディの声を聞きながら、鎖を観察してみても、次の鎖が来ない。普通であれば、世界は逃さないために、複数の鎖を投じてくるはずだ。
なんだ?これは?
足に絡みつく鎖を引っ張ってみてもやはり取れないし、ちぎれない。死の鎖で間違いないようだ。
「アンジュ。鎖から手を放しなさい」
神父様の声に瞬間的に鎖から手を放す。と同時に、金色の何かが鎖を断ち切った。断ち切った?
神父様に視線を向けると、黄金の勇者の剣を鞘に収めるところだ。
もしかして、勇者の剣だから切れた?あの死の鎖が?
「ちょっと進むのを待って欲しい。おかしなことが起きた」
色々混乱している私は、天井に張り付いていた体を、皆が立っている石の地面に下ろした。と思ったらルディに抱えられてしまった。
「アンジュ。何があったんだ?」
「ルディ。死の鎖に捉えられたんだけど、それがちょっとおかしくて、進むのはちょっと待って欲しい」
「おい!アンジュ!死の鎖ってあれだろ?常闇の中から飛び出てきたヤバイやつ」
流石に一度、死の鎖にぐるぐる巻にされたファルは焦りを覚えたらしい。
「まぁ、神父様の聖剣で切れたからいいのだけど……聖剣……聖剣だから切れた?」
そうだ。私の聖騎士と称した人たちの持つ聖剣は普通じゃない。異界の神と異界の神獣の力を吸い取った世界の力で構成された大木が元だ。もし、これが世界の力だけなら、世界が生み出した死の鎖は切れなかったと予想できる。それはどちらも世界の力だからだ。
しかし、ここで異界の神と神獣の力が加わることで、世界の力をも凌駕する聖剣が出来上がってしまった。
ならば、世界が獲物と認識するためにつけられた死の鎖を断ち切ることも可能ということ。
……なんて恐ろしい聖剣を作ってしまったんだ!
ただ、ここで問題になるのが、なぜ、死の鎖が今出てきたのかということだ。以前はどうだったのだろう。
「神父様は死の鎖が見えるよね。なら、前回はどうだったの?死の鎖は出てきた?」
「いいえ。そんな物は見ていませんね。ただ、先程魔ねずみを倒したときにいくつか死の鎖は私や後ろの異形に絡みつこうとしていましたね」
あれ?そうだったの?私は全然気づかなかった。きっと、酒吞の巨体で見えなかったのだろう。
ならば、ますますわからなくなってしまった。前回神父様とファルがこのダンジョンに入ったときは鎖は存在せず、今回になって現れた理由。
第一階層では見られなかった。しかし、第二階層と第三階層の入口で見られた。その共通点は……魔物とは言えない雑魚を倒したこと。それなら理由づけできる。第二階層で魔ねずみを討伐したのは神父様と鬼の二人。そして、第三階層のアレを始末したのは私。ルディとファルには鎖の存在は見られなかったのも理由づけできる。
なんかヤバい方向に向かっている気がする。私はさほど強くない魔物の存在に蠱毒のツボみたいだと感じた。
その直感は侮れないかもしれない。
前回居なくて、今回いる存在は、私と鬼の二人だ。ただ、世界の異物として認識される鬼の二人は除外していいと思う。絶対にこのダンジョンに入るとは限らない異形だからだ。
となれば、天使の聖痕を持つ私の存在だ。そう元々このダンジョンに入る条件が王族と聖女という固有名詞を言われたのだ。
精霊の指輪は王族がするというよりも、信頼できるものに渡すという意味合いが強いので、付き人の枠だろう。
王族と聖女を蠱毒のツボの中に入れる意味合いは何か。恐らくこの先に待っているのは死だ。
死。
王族の死。聖女の死。
聖女は次代の王が立つまで、生かされる。
「神父様。神父様の母親の聖女の死は何処でした?」
「アンジュ!」
「おい!アンジュ!」
ルディとファルが何を言っているのかと、私の言葉を止めようとする。しかし、これは重要だ。
「ルディの母親の死は、それには準ずることはなかったということだよね。だから、毒杯で自ら生命を絶った」
「そうですね。あれはエリスのささやかな抵抗だったのでしょうが、結果としては変わりませんでしたよ」
「そこはいいから、本来の聖女の死についてってこと!」
「王城の地下に祭壇の間というところがあります。王を失った聖女はそこで死を迎えることが決められています」
ん?おかしな言葉が出てきた。王を失った聖女とは何?
「それは先に聖女が死んだ時には、使われない?」
「さぁ?私が知る限り、聖女より王の方が先に死んでいますね。200年前の聖女以外はと付け加えますが」
……聖女より王の方が早く死んでいる?は?どういうこと?どちらかと言えば、聖女の方が早死するリスクが高いでしょう!
「アンジュ。アンジュが言ったのですよ。根こそぎ魔力を取られれば、それは早死もするでしょうと」
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この国の闇はとても深かった。
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