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273 あの先はどこに繋がっている?
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漆黒の空に更に濃く深いキズが入った。そのキズから黒いモヤが出てきている。でも、月の無い夜空に黒いキズが入っていても、黒いモヤが出ていても人々は気が付かない。
「改めて目にしますと根堅州国に繋がっていそうなほど、気味の悪さがありますね」
茨木が空に顕れた常闇を死後の世界に繋がっていそうだと表現した。あの世。ある意味あっているのかもしれない。その先は別の世界に繋がっているのだから。
ん?確かに別の世界から世界は力を得ようとした。そして魔物が顕れ始めた。そう、元々はこの世界に魔物なんてものは存在していなかった。
「あれ?今は常闇が大きくなると酒吞たちがいた日ノ本に繋がる。だったら、この見せられている常闇は、どこと繋がっている?」
私の疑問に息を呑む音が重なって聞こえた。
「言われて見れば、現在と過去とでは違いますね」
神父様の声が唸っているように低い。そして、その先を言葉にするのを止めてしまった。
「魔物がいなかったが、常闇によって魔物がもたらされた。今は魔物がいるのが当たり前になっている。……これはもしかして」
ルディも途中で言葉を止めてしまった。恐らく答えの一つにたどり着いてしまったのだろう。
「別の世界っていうのを喰ったってやつか。ずいぶんイカれているじゃねぇか」
酒吞は皆が言うことを止めてしまった言葉を口にした。それも面白いと言わんばかりに、声を弾ませている。
そう世界は力を急速に補うために、他の世界を取り込んだのではないのだろうか。
力も、そこに存在する魔のモノも。
そして、再び地上に視線をむけると、ただ一人その異変を感じた銀髪の男性が叫んでいる。でも全周囲に向かって叫んでいるので、何を叫んでいるのかわからない。きっとこのスラムの要である月の聖女と食料確保に必要な緑の女性を守れと言っているのだと思う。
「そう言えば、さっきの王都は結界に守られていたから、何も被害がなかったけど、ここが襲われたら酷いことになりそうだな」
ファルが眼下に視線を向けて心配している声で言っている。だけど見せつけられている事は既に終わった過去のことなので、変えられない。
上の階層で魔物が王都に初めて出現したところを見せつけられた。獣人達は祭りのように楽しんでいたところを襲われたのだけど、そこは聖王の結界に阻まれて、魔物は王都には侵入しては来なかった。
そう、何も起こらなかったのだ。ただ、獣人達は聖王が住まう王城に向かって、歓声を上げていた。聖王が居れば己達の身の安全は守られているのだと。
「これも対比として見せられるのでしょう。安全な王都と危機的な状況の人の姿を」
神父様はダンジョンの意を汲み取ったかのようなことを言った。でも、私もそう思う。このダンジョンは人と獣人の格差を、対立を、理不尽さを繰り返し見せているのだから。
漆黒の天から落ちてきた魔のモノは咆哮を上げながら、実った食物を採取している人々を襲いだした。
「もしかして、武器が無いのか?」
ファルは下の光景を目にして言った。
「確かに今まで剣を奮っている姿は見ていませんね。あのような乗り物があるのに、武器がないなんて不思議ですね」
神父様は見たことがない飛行船や荷車があるのに、身を守る剣がないのはおかしいと首を捻っている。
「別におかしなことじゃねぇだろう?」
「そうですね」
しかし、酒吞と茨木は不思議なことではないと言う。そう、これは私達が暮らしている時代と見せつけられている時代は、世界が違っていると言って良い。
「どういうことだ?」
「あ?アマテラスはわかるだろう?」
ふぉ!酒吞が私に答えを振ってきた。わかるけど、これが合っている確証はない。
「これも獣人と人族の格差ってことでしょう?人が従順に従っていたのは、抵抗する力を全て削がれていたから」
武器は生きていく上では必要なものだ。しかし、彼らの手にあるのは生きていく上で最低限必要なナイフだ。刃渡りが短い短剣だ。それを振り回しているかといえば、手の震えで落としてしまっている。
「武器となる物は与えられなかったのもそうなんだけど、精神的にも押さえつけられていたんだろうね」
これは獣の姿の魔物が襲ってくる姿に、怯え以上の何かが見られた。
魔物を見たことがなければ、アレ等はただの獣と思うはずだ。ならば、得意の火の魔術で追い返せばいいと考えるはず。しかし、人々は敵対行動を避けるように、逃げ惑う者、腰が抜けて動けなくなる者、死を受け入れる者。
「獣の姿に異常なほどの恐怖心をもつ程に、人々は圧迫された生活を送ってきたってことかな?」
「改めて目にしますと根堅州国に繋がっていそうなほど、気味の悪さがありますね」
茨木が空に顕れた常闇を死後の世界に繋がっていそうだと表現した。あの世。ある意味あっているのかもしれない。その先は別の世界に繋がっているのだから。
ん?確かに別の世界から世界は力を得ようとした。そして魔物が顕れ始めた。そう、元々はこの世界に魔物なんてものは存在していなかった。
「あれ?今は常闇が大きくなると酒吞たちがいた日ノ本に繋がる。だったら、この見せられている常闇は、どこと繋がっている?」
私の疑問に息を呑む音が重なって聞こえた。
「言われて見れば、現在と過去とでは違いますね」
神父様の声が唸っているように低い。そして、その先を言葉にするのを止めてしまった。
「魔物がいなかったが、常闇によって魔物がもたらされた。今は魔物がいるのが当たり前になっている。……これはもしかして」
ルディも途中で言葉を止めてしまった。恐らく答えの一つにたどり着いてしまったのだろう。
「別の世界っていうのを喰ったってやつか。ずいぶんイカれているじゃねぇか」
酒吞は皆が言うことを止めてしまった言葉を口にした。それも面白いと言わんばかりに、声を弾ませている。
そう世界は力を急速に補うために、他の世界を取り込んだのではないのだろうか。
力も、そこに存在する魔のモノも。
そして、再び地上に視線をむけると、ただ一人その異変を感じた銀髪の男性が叫んでいる。でも全周囲に向かって叫んでいるので、何を叫んでいるのかわからない。きっとこのスラムの要である月の聖女と食料確保に必要な緑の女性を守れと言っているのだと思う。
「そう言えば、さっきの王都は結界に守られていたから、何も被害がなかったけど、ここが襲われたら酷いことになりそうだな」
ファルが眼下に視線を向けて心配している声で言っている。だけど見せつけられている事は既に終わった過去のことなので、変えられない。
上の階層で魔物が王都に初めて出現したところを見せつけられた。獣人達は祭りのように楽しんでいたところを襲われたのだけど、そこは聖王の結界に阻まれて、魔物は王都には侵入しては来なかった。
そう、何も起こらなかったのだ。ただ、獣人達は聖王が住まう王城に向かって、歓声を上げていた。聖王が居れば己達の身の安全は守られているのだと。
「これも対比として見せられるのでしょう。安全な王都と危機的な状況の人の姿を」
神父様はダンジョンの意を汲み取ったかのようなことを言った。でも、私もそう思う。このダンジョンは人と獣人の格差を、対立を、理不尽さを繰り返し見せているのだから。
漆黒の天から落ちてきた魔のモノは咆哮を上げながら、実った食物を採取している人々を襲いだした。
「もしかして、武器が無いのか?」
ファルは下の光景を目にして言った。
「確かに今まで剣を奮っている姿は見ていませんね。あのような乗り物があるのに、武器がないなんて不思議ですね」
神父様は見たことがない飛行船や荷車があるのに、身を守る剣がないのはおかしいと首を捻っている。
「別におかしなことじゃねぇだろう?」
「そうですね」
しかし、酒吞と茨木は不思議なことではないと言う。そう、これは私達が暮らしている時代と見せつけられている時代は、世界が違っていると言って良い。
「どういうことだ?」
「あ?アマテラスはわかるだろう?」
ふぉ!酒吞が私に答えを振ってきた。わかるけど、これが合っている確証はない。
「これも獣人と人族の格差ってことでしょう?人が従順に従っていたのは、抵抗する力を全て削がれていたから」
武器は生きていく上では必要なものだ。しかし、彼らの手にあるのは生きていく上で最低限必要なナイフだ。刃渡りが短い短剣だ。それを振り回しているかといえば、手の震えで落としてしまっている。
「武器となる物は与えられなかったのもそうなんだけど、精神的にも押さえつけられていたんだろうね」
これは獣の姿の魔物が襲ってくる姿に、怯え以上の何かが見られた。
魔物を見たことがなければ、アレ等はただの獣と思うはずだ。ならば、得意の火の魔術で追い返せばいいと考えるはず。しかし、人々は敵対行動を避けるように、逃げ惑う者、腰が抜けて動けなくなる者、死を受け入れる者。
「獣の姿に異常なほどの恐怖心をもつ程に、人々は圧迫された生活を送ってきたってことかな?」
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