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二人の一日
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数か月が経ち、季節は冬。
思った通りソフィアは俺の部屋に頻繁に来るようになった。
入り浸ると言った方が正しい。
仕事帰りにうちに来て、そして遅くに帰って行く。
もう送っていかないぞと言うと、お金なら俺が残したのがまだたくさんあるらしく、それで辻馬車を拾って帰ると言い出す始末。
結局送ってやることになり、それはもう俺の生活の一部になっている。
休みの日になるとまるで遠足気分のようにパンと果物を持って、朝早いうちから訪ねてくる。
そして一緒に朝食を取るのだ。
いつの間にかそんなソフィアに合わせて俺も朝早く起きるようになり、部屋の掃除や、自分でもそれほど意識していなかった身だしなみもきちんとするようになった。
情けないことに、こういう状況が心の奥底では嬉しくて仕方ないのだ。
追い返すことなどできる訳がない。
椅子だってもう一脚買ってしまった。
午前中は何をするでもなく二人でただまったりして、昼過ぎには街に出てウィンドウショッピングやカフェに入ったりしてデートのような事をする。
夕食の食材を買って部屋に帰ると下の酒場の炊事場を借りて二人で夕飯を作る。
まるで新婚夫婦のようだ! ……いや、馬鹿なことを考えるな。
昔に戻ったようだ! そう、それが正しい。
一緒に楽しく暮らしていた日の感覚が蘇る。
ただ、ソフィアが腕を振るってくれる時、その手際の良さに罪悪感がないわけではない。
それは俺が突然いなくなったから自分でそうせざるを得なくなった結果なんだから。
しかしそんな罪悪感さえ贅沢なのだ。
平穏な時間が長く続くはずもなく、決行の時は刻一刻と近づく。
遊びではないから気を引き締めなければいけない。
フィルベールとアーロン、エクシオ侯爵が連絡を取り合うことが出来るようになったことで具体的な計画がいっきに進んだ。
マクガイアのエリス王女と接近できるフィルベールは主に内部で活動することになった。
そして王子と王女が生きていることを知ったランシア国王の使者がやって来て、国王がソフィアに自国へ来ているよう望んでいると言ったのだ。
もちろん俺だけじゃなくアーロンもそれに賛成だ。
夕食を一緒に食っている時、俺はそのことを彼女に伝えた。
「嫌よ。私たちの為に皆が命を懸けようとしているのに自分だけ安全な場所でのほほんとしているなんて耐えられない。それにソーハンと離れたくない。万が一死んでしまったら私も死ぬわ!」
「そんな感情的なことを言うんじゃない。大丈夫だ、俺は死なない。だが万が一死んだとしてもお前はランシアで新しい人生を始めることが出来る。お前の伯父はランシアの国王なんだぞ、絶対幸せになれる。チャンスをみすみす逃すな」
「そんなの関係ない! ランシアへ行ったらもう二度とソーハンと会えなくなるような気がするのよ。行くなら一緒に行こう?」
その誘いに俺が首を縦に振ることができるわけない。
「どうして分かってくれないの? 生きるも死ぬも一緒がいいのよ! 私はソーハンが好きなの。何度でも言うわ。アーロンの馬鹿があなたに親心なんて言ったけど、私はあなたの子どもになった事なんか一度もない。ソーハンだってそうでしょう?」
訴える様に言う彼女に、俺はそういう目で見ることはできないと言えば、俺の事を諦めてくれるだろうか。
「ソフィア、俺は本当は懸賞金を貰うつもりでお前を拾ったんだ」
「……」
「でも熱があるお前を看病して、そして一緒にいるうち段々情が湧いてきた。それはきっと家族のような、俺は孤児だから多分家族が欲しかったんだ」
「……」
「娘と言うより、妹の方が近いかな。年齢的には娘っていう方が近いかもしれないが」
ソフィアの目が怒りを滲ませたように段々赤みを帯びて潤んでくる。
もう少しで溢れ出しそうになるのを目を大きく見開いて我慢しているのを見ると、胸が締め付けられそうだ。
胃がキリキリ痛む。
心にもないことを言うのはこんなに苦しいものなのか。
だがこれで諦めてランシアへ行ってくれるかもしれない。
吐きそうな気分を抑えてグッと唇を噛みしめた。
「そう。私を諦めさせたいのね……わかった」
そうだ、それでいい。傷ついただろうけど彼女の為だ。
「でも行かない」
「え」
「私には兄が二人もいるのね。じゃあ年寄りの兄が誰かと結婚するまで心配だから一緒にいるわ! 結婚相手だって私が見繕ってあげる。女の趣味が凄く悪そうだから」
「はああ?」
思った通りソフィアは俺の部屋に頻繁に来るようになった。
入り浸ると言った方が正しい。
仕事帰りにうちに来て、そして遅くに帰って行く。
もう送っていかないぞと言うと、お金なら俺が残したのがまだたくさんあるらしく、それで辻馬車を拾って帰ると言い出す始末。
結局送ってやることになり、それはもう俺の生活の一部になっている。
休みの日になるとまるで遠足気分のようにパンと果物を持って、朝早いうちから訪ねてくる。
そして一緒に朝食を取るのだ。
いつの間にかそんなソフィアに合わせて俺も朝早く起きるようになり、部屋の掃除や、自分でもそれほど意識していなかった身だしなみもきちんとするようになった。
情けないことに、こういう状況が心の奥底では嬉しくて仕方ないのだ。
追い返すことなどできる訳がない。
椅子だってもう一脚買ってしまった。
午前中は何をするでもなく二人でただまったりして、昼過ぎには街に出てウィンドウショッピングやカフェに入ったりしてデートのような事をする。
夕食の食材を買って部屋に帰ると下の酒場の炊事場を借りて二人で夕飯を作る。
まるで新婚夫婦のようだ! ……いや、馬鹿なことを考えるな。
昔に戻ったようだ! そう、それが正しい。
一緒に楽しく暮らしていた日の感覚が蘇る。
ただ、ソフィアが腕を振るってくれる時、その手際の良さに罪悪感がないわけではない。
それは俺が突然いなくなったから自分でそうせざるを得なくなった結果なんだから。
しかしそんな罪悪感さえ贅沢なのだ。
平穏な時間が長く続くはずもなく、決行の時は刻一刻と近づく。
遊びではないから気を引き締めなければいけない。
フィルベールとアーロン、エクシオ侯爵が連絡を取り合うことが出来るようになったことで具体的な計画がいっきに進んだ。
マクガイアのエリス王女と接近できるフィルベールは主に内部で活動することになった。
そして王子と王女が生きていることを知ったランシア国王の使者がやって来て、国王がソフィアに自国へ来ているよう望んでいると言ったのだ。
もちろん俺だけじゃなくアーロンもそれに賛成だ。
夕食を一緒に食っている時、俺はそのことを彼女に伝えた。
「嫌よ。私たちの為に皆が命を懸けようとしているのに自分だけ安全な場所でのほほんとしているなんて耐えられない。それにソーハンと離れたくない。万が一死んでしまったら私も死ぬわ!」
「そんな感情的なことを言うんじゃない。大丈夫だ、俺は死なない。だが万が一死んだとしてもお前はランシアで新しい人生を始めることが出来る。お前の伯父はランシアの国王なんだぞ、絶対幸せになれる。チャンスをみすみす逃すな」
「そんなの関係ない! ランシアへ行ったらもう二度とソーハンと会えなくなるような気がするのよ。行くなら一緒に行こう?」
その誘いに俺が首を縦に振ることができるわけない。
「どうして分かってくれないの? 生きるも死ぬも一緒がいいのよ! 私はソーハンが好きなの。何度でも言うわ。アーロンの馬鹿があなたに親心なんて言ったけど、私はあなたの子どもになった事なんか一度もない。ソーハンだってそうでしょう?」
訴える様に言う彼女に、俺はそういう目で見ることはできないと言えば、俺の事を諦めてくれるだろうか。
「ソフィア、俺は本当は懸賞金を貰うつもりでお前を拾ったんだ」
「……」
「でも熱があるお前を看病して、そして一緒にいるうち段々情が湧いてきた。それはきっと家族のような、俺は孤児だから多分家族が欲しかったんだ」
「……」
「娘と言うより、妹の方が近いかな。年齢的には娘っていう方が近いかもしれないが」
ソフィアの目が怒りを滲ませたように段々赤みを帯びて潤んでくる。
もう少しで溢れ出しそうになるのを目を大きく見開いて我慢しているのを見ると、胸が締め付けられそうだ。
胃がキリキリ痛む。
心にもないことを言うのはこんなに苦しいものなのか。
だがこれで諦めてランシアへ行ってくれるかもしれない。
吐きそうな気分を抑えてグッと唇を噛みしめた。
「そう。私を諦めさせたいのね……わかった」
そうだ、それでいい。傷ついただろうけど彼女の為だ。
「でも行かない」
「え」
「私には兄が二人もいるのね。じゃあ年寄りの兄が誰かと結婚するまで心配だから一緒にいるわ! 結婚相手だって私が見繕ってあげる。女の趣味が凄く悪そうだから」
「はああ?」
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