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最終章 命を救う魔剣
新生活とガルシアからの知らせ
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***ランス伯爵
クリビアは私の娘ラミアの家庭教師として住み込みで働いてもらうことになった。
彼女はノースポール公爵家でいつまでも世話になり続けることはできないと思っていたらしく、私のその提案はタイミング的に丁度よかったようだ。
働いている間のクリーヴの世話はラミアの乳母カトリに頼んだ。
クリビア曰く、ラミアは頭が良くなんでもスポンジのように吸収するらしい。
そんなこと今まで聞いたことが無かったのでびっくりだ。
ラミアは私と同じストレートの黒髪をツインテールにした、青い瞳の活発な娘だ。
勉強より外で遊ぶ方が好きだと思っていたが、教える人によるのか大人しく勉強しているらしい。
クリビアを紹介した時、照れと嬉しさが混じったような顔をしていたから彼女を気に入ってくれたんだろう。
安心した。
ここで働く者たちにはクリビアの事を私の恋人だと紹介した。
彼女の悪い噂に関しては全て事実無根だから信じないようにと釘を刺したから彼女を見下したり雑に扱う者はいないだろう。
もしいたら、すぐに解雇するつもりだ。
執務室の時計を見ると午前十一時。昼食まであと一時間。
「今ラミアの勉強の時間だろう? ちょっと見に行ってみようかな」
「旦那様、今までそんなことしたことありませんし、お勉強のお邪魔になるのではないかと。ラミアお嬢様も変に思われますよ」
「でも少しは休憩を挟んだほうがいいのではないか? そうだ、新しく買った紅茶を私が持って行こう」
「生憎それは既にお出ししております」
「……なんだ、随分気が利くな……。そうだ、焼き菓子があっただろう」
「もうすぐ御昼食の時間です」
「いいじゃないか、少しくらい」
「旦那様、あと少し辛抱したらクリ……ラミアお嬢様の可愛らしいお顔を見ることができますよ」
「辛抱とはなんだ」
「コホン……、失礼しました」
執事は今にも笑い出しそうな顔をして咳払いした。
時計が十二時を回ると廊下からバタバタバタと軽快な足音が聞こえてきて続けざまに扉がバッと開いた。
「パパー!」
勢いよく入って来たラミアの後ろにはクリビアが歩いて来ている。
バラだ。彼女の背中に無数の赤、白、ピンクのバラが見える。
胸がドキドキして執事に聞こえやしないかと焦った。
嬉し過ぎていくら真顔に戻そうとしても自然と笑顔になってしまう。
この世の全てが美しく、優しく、好意的なものに見える。
年のいった執事までも可愛く見え、さっきまで灰色でつまらなかった執務室がピンク色の天国に変わった。
「……パ! ねぇパパったら!」
「!」
いっきに現実に引き戻され、執務机の目の前で頬を赤くして青い目をキラキラさせているラミアに微笑んだ。
「どうした、ラミア」
「今日ね、大陸の歴史を勉強したの。私、行ったことないから行ってみたくなっちゃった」
「そうだったな。いつか連れて行ってやる」
「やったぁ」
ラミアが嬉しそうに机に両手をついてぴょんぴょん飛び跳ねていると、メイドが手紙を持って来た。
読み終わると同時に大きなため息が漏れ、クリビアが心配そうに聞いた。
「どうしたのですか」
「ガルシアのアルマ医師からなんだが。マリウスの姉を診てくれている医師だよ」
「ああ」
「ジュリアナが先日息を引き取ったそうだ」
「まあ!」
長い間ずっと意識が無く植物状態だった彼女の最後は微笑んでいるかのように安らかな顔だったと手紙には書いてあった。
「私は何の力にもなれなかった……。本当に残念だ。マリウスも必死に声掛けしたり、関節が固くならないよう彼女の体を動かしたりしていたのに。さぞ悲しんでいることだろう」
「たった一人の肉親ですものね。可哀想に。これからマリウスはどうなるのかしら。一人で生きていくなんてそんなの駄目よ」
「アルマ医師はいきなり放り出すような男ではないが、もし彼が面倒を見ないとなれば……」
「あの、無理なお願いかもしれませんけど……」
「ん?」
「許していただけるなら、ここに彼を連れてきてもいいでしょうか。もともと私の弟として一緒に暮らそうと思っていたんです。邸で何かお仕事を頂ければ、彼もお役に立てると思います」
クリビアとマリウスを引き離したのは私だ。
手紙を読み終わった時点でこの邸に連れて来たほうがいいのではとチラッと思った。
彼女だって喜ぶに違いないし。
そして数日後、私はクリビアと、自分も一緒に行きたいー! と駄々をこねるラミアに見送られて、彼を迎えにはりきってガルシアへ出発した。
クリビアは私の娘ラミアの家庭教師として住み込みで働いてもらうことになった。
彼女はノースポール公爵家でいつまでも世話になり続けることはできないと思っていたらしく、私のその提案はタイミング的に丁度よかったようだ。
働いている間のクリーヴの世話はラミアの乳母カトリに頼んだ。
クリビア曰く、ラミアは頭が良くなんでもスポンジのように吸収するらしい。
そんなこと今まで聞いたことが無かったのでびっくりだ。
ラミアは私と同じストレートの黒髪をツインテールにした、青い瞳の活発な娘だ。
勉強より外で遊ぶ方が好きだと思っていたが、教える人によるのか大人しく勉強しているらしい。
クリビアを紹介した時、照れと嬉しさが混じったような顔をしていたから彼女を気に入ってくれたんだろう。
安心した。
ここで働く者たちにはクリビアの事を私の恋人だと紹介した。
彼女の悪い噂に関しては全て事実無根だから信じないようにと釘を刺したから彼女を見下したり雑に扱う者はいないだろう。
もしいたら、すぐに解雇するつもりだ。
執務室の時計を見ると午前十一時。昼食まであと一時間。
「今ラミアの勉強の時間だろう? ちょっと見に行ってみようかな」
「旦那様、今までそんなことしたことありませんし、お勉強のお邪魔になるのではないかと。ラミアお嬢様も変に思われますよ」
「でも少しは休憩を挟んだほうがいいのではないか? そうだ、新しく買った紅茶を私が持って行こう」
「生憎それは既にお出ししております」
「……なんだ、随分気が利くな……。そうだ、焼き菓子があっただろう」
「もうすぐ御昼食の時間です」
「いいじゃないか、少しくらい」
「旦那様、あと少し辛抱したらクリ……ラミアお嬢様の可愛らしいお顔を見ることができますよ」
「辛抱とはなんだ」
「コホン……、失礼しました」
執事は今にも笑い出しそうな顔をして咳払いした。
時計が十二時を回ると廊下からバタバタバタと軽快な足音が聞こえてきて続けざまに扉がバッと開いた。
「パパー!」
勢いよく入って来たラミアの後ろにはクリビアが歩いて来ている。
バラだ。彼女の背中に無数の赤、白、ピンクのバラが見える。
胸がドキドキして執事に聞こえやしないかと焦った。
嬉し過ぎていくら真顔に戻そうとしても自然と笑顔になってしまう。
この世の全てが美しく、優しく、好意的なものに見える。
年のいった執事までも可愛く見え、さっきまで灰色でつまらなかった執務室がピンク色の天国に変わった。
「……パ! ねぇパパったら!」
「!」
いっきに現実に引き戻され、執務机の目の前で頬を赤くして青い目をキラキラさせているラミアに微笑んだ。
「どうした、ラミア」
「今日ね、大陸の歴史を勉強したの。私、行ったことないから行ってみたくなっちゃった」
「そうだったな。いつか連れて行ってやる」
「やったぁ」
ラミアが嬉しそうに机に両手をついてぴょんぴょん飛び跳ねていると、メイドが手紙を持って来た。
読み終わると同時に大きなため息が漏れ、クリビアが心配そうに聞いた。
「どうしたのですか」
「ガルシアのアルマ医師からなんだが。マリウスの姉を診てくれている医師だよ」
「ああ」
「ジュリアナが先日息を引き取ったそうだ」
「まあ!」
長い間ずっと意識が無く植物状態だった彼女の最後は微笑んでいるかのように安らかな顔だったと手紙には書いてあった。
「私は何の力にもなれなかった……。本当に残念だ。マリウスも必死に声掛けしたり、関節が固くならないよう彼女の体を動かしたりしていたのに。さぞ悲しんでいることだろう」
「たった一人の肉親ですものね。可哀想に。これからマリウスはどうなるのかしら。一人で生きていくなんてそんなの駄目よ」
「アルマ医師はいきなり放り出すような男ではないが、もし彼が面倒を見ないとなれば……」
「あの、無理なお願いかもしれませんけど……」
「ん?」
「許していただけるなら、ここに彼を連れてきてもいいでしょうか。もともと私の弟として一緒に暮らそうと思っていたんです。邸で何かお仕事を頂ければ、彼もお役に立てると思います」
クリビアとマリウスを引き離したのは私だ。
手紙を読み終わった時点でこの邸に連れて来たほうがいいのではとチラッと思った。
彼女だって喜ぶに違いないし。
そして数日後、私はクリビアと、自分も一緒に行きたいー! と駄々をこねるラミアに見送られて、彼を迎えにはりきってガルシアへ出発した。
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