毒を持って制される!

ルル

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電灯も立たない細い路地裏。


暗闇を背に、今宵唯一の光を眺める。





(ーー満月か)




パァンッ




春の生温い風を浴びながら、ターゲットを仕留めた小気味よい音が聞こえた。


「終わったの?」


「あァ、今夜のエモノは最高にグロテスクだぜ」


「....ウッ、」


掲げられた1枚の写真は、あまり綺麗な状態とは言えない光景


....むしろ、夢でうなされそうな程。


「ハァーッハッハッ!!サヤちゃんよぉ、こんなんで戻してたら今度のデビュー戦で震えちまうぜ?」


「...ない。こんなのなんて事ない」


「そぉかい。まぁ、今夜は見せしめも兼ねてるから、ちょっと張り切り過ぎちまったがな」


「相変わらず悪趣味なオッサン」


「はぁ?!俺まだ36、」


「知らない」


背後で騒ぐ仲間を放って、自分の帰り支度だけを素早く済ませる。


(明る過ぎて、さっさと帰りたい)


綺麗なはずの満月は、どうにも眉間にシワが寄る。


真っ暗な中、一寸先も見えなくて良い。


私たちの世界は、ただ闇に覆われているだけの方が都合が良いんだ。


「早く帰るよ、明日からに備えたいんだ私は」


「おー、そっか。いよいよ見張り番卒業だもんな。中々感慨深いものがあるぜ...」


「まぁ、ね。...オッサンも身体に響くよ」


「だからオッサン呼び止めろ!」


明日は初めて潜入捜査からのターゲット討伐までを一人で行う。


知識も技術も何も問題無い。


私はこれでやっと、闇に染まる事ができるんだ。


「....でも、あんまムリすんなよ」


「子供扱いしないで」


「兄貴みてぇなもんだろ、何かあったらすぐ内線飛ばせよ!」


「うわぁッ、頭揺らすなッ!」


明日には、フォローをしてくれる仲間たちも近くに居ない。


明日からは、本当に1人。


私は出来る、完璧にこなしてみせる。


まずは潜入調査、抜かりなく行うだけだーー



.... To be continued.
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