宝石♢男子

西神 幸徒

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第18話 運命のバトル、大事な家族を守りぬけ‼︎(1)

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 小鳥の鳴く声がして、朝日がすごくまぶしくかんじるわ。
 もうすこしだけ、寝ていたいけど――。

「カナメ、おきて。カナメってば!」
「んん……ん⁉︎ ガーネットあんた、なおったのね! よかった、本当によかったわ‼︎」
「もう大げさー。べつにたいしたことないし!」
「バカ、すっごく心配したんだから‼︎」

 すっかり元気になったガーネットを見たあたしは、ちょっぴり泣いちゃいそうなくらい。
 心の底から、ホッとしたの――……。

 そして、きたる運命の放課後。
 あたし、ガーネット、ブラックの三人で旧校舎にしのびこんだ。
 いまはもうつかわれていないだけあって、かべは穴だらけだし、ナゾの落書きがあちこちにあるし……すきま風はすごいわで、なんだか幽霊でもでそうな雰囲気。
 さびついていまにもくずれそうな、鉄製の階段をのぼったさきでまっていたのは――。

「カナメさん、きてくださるなんてうれしいですわ!」

 やっぱり、チトセだった。
 しかも、黒いスーツのムキムキ執事たちが、ズラッとならんでいる。
 チトセがパチン、と指をならすと、執事たちがサッと両脇によけたの!
 すると、彼らのうしろに置かれていたのは、ぬすまれた宝石箱じゃない‼︎

「このっ――‼︎」
「まって、いきなり暴力はだめよ……まずは話を聞かせてもらおうじゃない」

 いまにも飛びかかりそうなブラックをおさえて、あたしはキッとチトセをにらんだ。
 でも、チトセはヨユーの表情をくずさない。

「昨夜、わたくしの執事たちが館におじゃましたのですが、ガーネットさんだけいなかったらしいですわね? どこかへおでかけだったのかしら?」
「え? オレフツーにいたけ――っびぇ‼︎」

 あぶないあぶない、ガーネットの手の甲をギリリとつねって、どうにかとめたわ。
 元気になったとたん、よけいなことしゃべろうとするんだから……ったく。

「それがなんだっていうのよ?」

 がんばれ、あたしの表情筋……顔にでるな、すなおな感情‼︎
 くすんだガーネットが、別人みたいになっていたおかげで、さらわれずにすんだのは極秘なんだからね……‼︎

「おかげで、宝石箱ごと人質を運ぶはめになり、手間もいいところですわ。さ、面倒なので、さっさと交換してしまいましょう?」

 こっちは家族の命を救いにきてるってのに……!
 面倒ってなによ? そのエラソーな態度はなに?

「いますぐ、ガーネットさんをこちらへわたしなさい。かわりにわたくしは、宝石箱をかえしてさしあげますわ? ふふ、これで公平ですわね!」

 はあ? 公平? 宝石箱をぬすんだくせに……?
 ジョーダンもいい加減にしてもらわないと困るわ。
 ブレザーをぬぎすて、シャツのそでを腕まくりしながら、あたしは正々堂々と真正面からチトセに近づいた。

「ずっと聞きそびれていたんだけど……ガーネットを手にいれてどうするつもりなの?」
「そうですわね。まずは全身バラバラにカットして、ネックレスにブレスレット、イヤリングやヘアアクセもいいですわ。きれいにジュエリー加工して、お父さまのお店にならべてさしあげますので、心配なさらないで?」

 無理やり恋人にでもする気なのかな? なんて……。
 想像したあたしが、バカだったわ――っ‼︎

「なんなのよそれ、なんでそんな極悪非道なことができるのよ――⁉︎」

 チトセの爆弾発言を聞いた瞬間、あたしの頭のなかで、カチッとスイッチがはいった音がした。

 ――こうなったあたしはもう、とめられないんだから‼︎

 正面の守りにはいった執事のかべに、真っ向からつっこんでやったわ‼︎
 同時に、真横からはブラックが――まずはまわしげりでひとりノックダウン。
 さらにふたり、三人、四人とあたしの投げ技が決まって、執事の数がみるみるへっていく……ぜんぜん手ごたえないじゃない、その筋肉はかざり?
 順調も順調、バッタバッタと執事どもを投げ飛ばしていた――そのとき。

 ギンっ――と、にぶくひびくような、いやな音がしたの。
 とっさに音のしたほうを見ると……そんな、ウソでしょ?
 ブラックが、腕でシャーペンのさきを受けとめているじゃない‼︎
 しかも相手は、チトセだし――あれって、あたしがあげた白ねこのシャーペンよね⁉︎

 いったん敵と距離をおいて、あたしは迷わずブラックにかけよった。
 ガーネットも、ぴったりあたしのうしろにくっついてきて、心配そうな表情。
 そしていざ、ブラックの腕を見て、氷水をぶっかけられたみたいにヒヤッとした。

「なによこれ……皮膚が再生しないわ。それに、それに‼︎ 腕がすこし欠けちゃってるじゃない、なんでなの⁉︎」

 ダイヤモンドのモース硬度は、最高レベルの10……地球上で一番かたいはずでしょ⁉︎
 それなのに、シャーペンのさきなんかで傷がつくなんてことあるの?

「……ダイヤモンドはたしかにかたい。が、急な衝撃には弱い性質がある。とがったもので一点を思いきりつかれれば、欠けることくらいあるだろうよ……っ!」
「そ、そんな、平気なの⁉︎」

 欠けてしまった腕をおさえながら、それでもブラックは立ちあがった。

「……平気だ。痛みはそうでもない。予想外で、おどろいたのは事実だがな」

 あたしの制服のはしを、かるく引っぱって、ガーネットがこそっと言ったの。

「……宝石の体についた傷は、二度となおらないんだよ……皮膚とちがってね」


 
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