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第20話 チトセの真実(1)
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「白状しますわ。わたくし、ずっと怖かったの。カナメさんが、ガーネットさんにとられちゃうんじゃないか。って……」
「あたしが、ガーネットにとられる? なにそれどういうことよ?」
「……はーあ、うすうすそうなんじゃないかとは思っていたが。まさかマジだったとはな……ったく」
ブラックのあきれかえった視線が、あたしのハートにつきささる――‼
でもまって、こっちは本当にわからないのよ。この状況。
「ああもう‼ ですからわたくしは、カナメさんの同担拒否ガチ恋ぜ――じゃなくて‼ か、カナメさんの大ファン、なのですわ……!」
「えっ、え? う、ウソでしょ⁉」
「ウソなんかじゃありません、真実ですわ‼ カナメさんのおバカ‼」
チトセがまさかの、あたしの大ファン⁉
そうか、そーいうことだったのね……お、おどろいたけど、納得だわ。
ガーネットがあたしにベタベタしてたら、ムカつくだろうし、そりゃじゃまよね?
だから買いとろうとしたのね?
手づくり弁当で、ユーワクしようとしたのね?
すべてはあたしから、ガーネットを遠ざけるためだったってわけね。
カットして売りさばこう……ってのは、さすがにやりすぎだけど。
そうしたくなったチトセの気持ちが、ぜんぜんわからないわけじゃない。
「わかったわ‼ チトセがあたしの大ファンだってことは、身にしみてわかった‼」
今回のかんちがい事件、身にしみるどころか骨身にしみたわ――‼
チラッとガーネットを見ると、つかれた顔をして、もはや苦笑い……。
そりゃそうよね、あたしを守ってボロボロになったりと、大変だったものね。
はやく館に帰って、ガーネットとブラックを浄化してあげなきゃ……セージの葉たりるかな?
どこの店にいけば買えるのかしら、あとでブラックに聞かなきゃ……。
と、ボーっとしていたあたしの手をにぎったのは、チトセだった!
「そのっ――じつはわたくし、まだカナメさんにかくしていることがあって……本当は、本当はお嬢様じゃありませんのー‼」
「……え? お、お嬢様じゃないってことは、じつはビンボーだったり……?」
「ではなく‼ わたくし本当は、宝石男子なのですわ‼」
「宝石、男子ですって……ちちち、チトセが⁉」
「ええ、しかも、フツーの宝石男子ではありませんの。わたくしの正体は、『人工宝石男子』のビスマス――この虹色の髪も瞳もすべて、わたくしはお父さまの手によって、つくられた宝石男子。なのですわ……!」
シーンとその場がしずまりかえって、屋上を風がふきぬけていく。
チトセが、宝石男子ってことはつまり、性別は男の子ってことでいいのよね……?
ちょっとまって、混乱のあまり頭が爆発しちゃいそう‼
「その、人工宝石男子ってなに⁉ それに、ビスマスって名前の宝石も、はじめて聞いたんだけど……!」
「オレ、ビスマスなら見たことあるよ! チトセみたいに、カラフルな虹色じゃなくて、もっと青っぽい色だったけどね?」
ガーネットの発言に、ブラックがうなずく。
「そうだな……ビスマスは天然ものより、人工的につくられたもののほうが、ずっときれいで、人気がある。段がおりかさなったような不思議なかたちの宝石で、虹色にかがやいているのが特徴だ……しかし、なるほど」
ブラックは、まじめな表情でチトセの全身をまじまじと見た。
「おまえの正体に気づかないわけだ――人工宝石男子、か……宝石男子を人間の手で生みだすなんて、にわかには信じがたい……おまえの父親、ただの宝石商じゃないな?」
「……じつを言うと、お父さまは研究施設をいくつもおもちで、宝石商のかたわら、科学者もこなす天才。なのですわ」
なるほど、宝石商も科学者もこなす天才お父さまが、人工宝石男子のビスマス――チトセを生みだしたってことなのね……?
まだまだ、わからないことだらけね。
でも、チトセが人間だろうが宝石男子だろうが、あたしはどっちでもかまわないわ!
だって、チトセはチトセ。でしょ?
「それにしても、チトセが男の子だったなんて、いまだに信じられないわ。だって、全方向どの角度から見ても、カンペキな美少女にしか見えないもの……‼」
「そ、そんなにほめても、なにもでませんことよ⁉」
「それそれ、オレも超びっくり‼ まさかチトセが美少女ならぬ、美少年だったとは――てゆーか、その制服めちゃくちゃにあってるし、男だって気づけってほうが無茶なかわいさだし‼」
そう、そうなのよ! ガーネットの言うとおり‼
胸元にはおおきなリボン、ミニスカートをひらっとさせて!
制服すがたのチトセは、アイドルみたいにかわいいの‼
この学園は、制服を自由にえらべる。
つまり、あたしがパンツスタイルをえらんだように、チトセもスカートをはいていた。そーいうわけだったのね……!
ああ、それにしてもあたしってば、なんで同じ小学校だったチトセを覚えてないの⁉
名前も性別も顔もはっきりしているいま――それでも思いだせないって、どんだけポンコツな脳みそしてんのよ‼
「ごめんなさいチトセ‼ あたしってほら、ひとの顔と名前を覚えるのが苦手って、まえに言ったじゃない? それもあってその、チトセがどうしてあたしの大ファンなのか、理由がぜんぜん思いあたらないのよね……」
これはもう、やるしかないのかジャパニーズ土下座……。
床にひざをついて、いまにも頭をさげようとしたあたしをとめたのは、チトセだった。
「やめてくださる? いまさらあやまられたって、なにも解決しないし、ちっともうれしくないですわ……土下座するカナメさんなんて、解釈不一致もいいところですし‼」
「かい、かいなに……?」
「そんなことより、わたくしがこれから話す『カナメさんとの運命の出会いエピソード』を聞きなさい‼ そして‼」
「……そ、そして?」
「わたくしとの思い出を、二度と忘れたりしないこと‼ わたくしの顔と名前を忘れるなんてもってのほか、一生永遠になし、ですわよ⁉」
あまりの気迫に、あたしはこくこくとうなずくしかない。
でも、そんなあたしのすなおな態度に、チトセは満足してくれたようで……!
とても大切そうに、小学校での思い出エピソードを話してくれたの。
「あたしが、ガーネットにとられる? なにそれどういうことよ?」
「……はーあ、うすうすそうなんじゃないかとは思っていたが。まさかマジだったとはな……ったく」
ブラックのあきれかえった視線が、あたしのハートにつきささる――‼
でもまって、こっちは本当にわからないのよ。この状況。
「ああもう‼ ですからわたくしは、カナメさんの同担拒否ガチ恋ぜ――じゃなくて‼ か、カナメさんの大ファン、なのですわ……!」
「えっ、え? う、ウソでしょ⁉」
「ウソなんかじゃありません、真実ですわ‼ カナメさんのおバカ‼」
チトセがまさかの、あたしの大ファン⁉
そうか、そーいうことだったのね……お、おどろいたけど、納得だわ。
ガーネットがあたしにベタベタしてたら、ムカつくだろうし、そりゃじゃまよね?
だから買いとろうとしたのね?
手づくり弁当で、ユーワクしようとしたのね?
すべてはあたしから、ガーネットを遠ざけるためだったってわけね。
カットして売りさばこう……ってのは、さすがにやりすぎだけど。
そうしたくなったチトセの気持ちが、ぜんぜんわからないわけじゃない。
「わかったわ‼ チトセがあたしの大ファンだってことは、身にしみてわかった‼」
今回のかんちがい事件、身にしみるどころか骨身にしみたわ――‼
チラッとガーネットを見ると、つかれた顔をして、もはや苦笑い……。
そりゃそうよね、あたしを守ってボロボロになったりと、大変だったものね。
はやく館に帰って、ガーネットとブラックを浄化してあげなきゃ……セージの葉たりるかな?
どこの店にいけば買えるのかしら、あとでブラックに聞かなきゃ……。
と、ボーっとしていたあたしの手をにぎったのは、チトセだった!
「そのっ――じつはわたくし、まだカナメさんにかくしていることがあって……本当は、本当はお嬢様じゃありませんのー‼」
「……え? お、お嬢様じゃないってことは、じつはビンボーだったり……?」
「ではなく‼ わたくし本当は、宝石男子なのですわ‼」
「宝石、男子ですって……ちちち、チトセが⁉」
「ええ、しかも、フツーの宝石男子ではありませんの。わたくしの正体は、『人工宝石男子』のビスマス――この虹色の髪も瞳もすべて、わたくしはお父さまの手によって、つくられた宝石男子。なのですわ……!」
シーンとその場がしずまりかえって、屋上を風がふきぬけていく。
チトセが、宝石男子ってことはつまり、性別は男の子ってことでいいのよね……?
ちょっとまって、混乱のあまり頭が爆発しちゃいそう‼
「その、人工宝石男子ってなに⁉ それに、ビスマスって名前の宝石も、はじめて聞いたんだけど……!」
「オレ、ビスマスなら見たことあるよ! チトセみたいに、カラフルな虹色じゃなくて、もっと青っぽい色だったけどね?」
ガーネットの発言に、ブラックがうなずく。
「そうだな……ビスマスは天然ものより、人工的につくられたもののほうが、ずっときれいで、人気がある。段がおりかさなったような不思議なかたちの宝石で、虹色にかがやいているのが特徴だ……しかし、なるほど」
ブラックは、まじめな表情でチトセの全身をまじまじと見た。
「おまえの正体に気づかないわけだ――人工宝石男子、か……宝石男子を人間の手で生みだすなんて、にわかには信じがたい……おまえの父親、ただの宝石商じゃないな?」
「……じつを言うと、お父さまは研究施設をいくつもおもちで、宝石商のかたわら、科学者もこなす天才。なのですわ」
なるほど、宝石商も科学者もこなす天才お父さまが、人工宝石男子のビスマス――チトセを生みだしたってことなのね……?
まだまだ、わからないことだらけね。
でも、チトセが人間だろうが宝石男子だろうが、あたしはどっちでもかまわないわ!
だって、チトセはチトセ。でしょ?
「それにしても、チトセが男の子だったなんて、いまだに信じられないわ。だって、全方向どの角度から見ても、カンペキな美少女にしか見えないもの……‼」
「そ、そんなにほめても、なにもでませんことよ⁉」
「それそれ、オレも超びっくり‼ まさかチトセが美少女ならぬ、美少年だったとは――てゆーか、その制服めちゃくちゃにあってるし、男だって気づけってほうが無茶なかわいさだし‼」
そう、そうなのよ! ガーネットの言うとおり‼
胸元にはおおきなリボン、ミニスカートをひらっとさせて!
制服すがたのチトセは、アイドルみたいにかわいいの‼
この学園は、制服を自由にえらべる。
つまり、あたしがパンツスタイルをえらんだように、チトセもスカートをはいていた。そーいうわけだったのね……!
ああ、それにしてもあたしってば、なんで同じ小学校だったチトセを覚えてないの⁉
名前も性別も顔もはっきりしているいま――それでも思いだせないって、どんだけポンコツな脳みそしてんのよ‼
「ごめんなさいチトセ‼ あたしってほら、ひとの顔と名前を覚えるのが苦手って、まえに言ったじゃない? それもあってその、チトセがどうしてあたしの大ファンなのか、理由がぜんぜん思いあたらないのよね……」
これはもう、やるしかないのかジャパニーズ土下座……。
床にひざをついて、いまにも頭をさげようとしたあたしをとめたのは、チトセだった。
「やめてくださる? いまさらあやまられたって、なにも解決しないし、ちっともうれしくないですわ……土下座するカナメさんなんて、解釈不一致もいいところですし‼」
「かい、かいなに……?」
「そんなことより、わたくしがこれから話す『カナメさんとの運命の出会いエピソード』を聞きなさい‼ そして‼」
「……そ、そして?」
「わたくしとの思い出を、二度と忘れたりしないこと‼ わたくしの顔と名前を忘れるなんてもってのほか、一生永遠になし、ですわよ⁉」
あまりの気迫に、あたしはこくこくとうなずくしかない。
でも、そんなあたしのすなおな態度に、チトセは満足してくれたようで……!
とても大切そうに、小学校での思い出エピソードを話してくれたの。
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