21 / 23
第21話 チトセの真実(2)
しおりを挟む
「じつはわたくし、ちいさいころから、乙女チックなものがだいすきな子でしたの。お洋服はいつも、レースたっぷりのワンピースやミニスカートがお気にいりでしたわ……でも、そのせいで高学年になるにつれて、男子たちにからかわれるようになり――……」
『男のくせに、女の服着てるとかありえねぇ』とか、『気持ちわりー』とか。
いろいろ、ひどいことを言われたみたい。
「なによそいつら、そんないじめっ子ども、あたしがいたらはったおしてやったのに‼︎」
「……はったおしたじゃありませんか、まさかこれも覚えていらっしゃらないの?」
「カナメ、おまえ……バカなのか? 脳筋にもほどがあるぞ……」
ぐうの音もでないわ、ブラック‼︎
ていうかマジなのね、あたしやっちゃってたのね⁉︎
「バーン‼︎ と空き教室の扉をあけて、登場したと思ったら、目にもとまらぬはやさでいじめっ子たちをちぎっては投げ、ちぎっては投げ――まっすぐな目で、わたくしにこう言いましたの!」
『男子も女子も関係ない‼︎ だれもが自分のすきな服を、楽しく着るべきだわ‼』
「『あんたはそのままでいい、自分をつらぬきなさい‼︎』って、何度思いかえしても、あのときのカナメさんはサイコーにかっこよかったですわ……!」
「えー! ずるいずるい、オレもそのカナメ超見たかったー‼︎」
「……はっきり覚えていないけど。あたしのしわざだってことは、断言できるわ」
あたしって、昔っから弱いものいじめとか、がんばっているひとをバカにするやつらがだいっきらいなの!
それで、そういう現場を見かけるたびに、ちょくちょく解決してまわっていたのよね。
いじめっ子とか不良とか、何人もシバきたおし……じゃない、心をいれかえるお手伝いをさせてもらってきたというか、ね?
チトセを救った一件も、たぶんそのうちのひとつだと思うわ!
「そうですわよ、カナメさん! あの日、わたくしの心を救ったのはまぎれもなく、あなたでまちがいありませんことよ‼︎」
チトセは、ぽあぽあっとほおを赤くそめて、モジモジモード。
「それからというもの、寝ても覚めても頭にうかぶのは、カナメさんのことばかり。はなればなれはたえられなくて、あなたと同じこの学園に入学を決めたのですわ……!」
「そこまであたしを想ってくれていたなんて、うれしいわ、チトセ……けど」
「カナメさん……?」
今回のガーネットをねらった事件……あたしと仲よくなりたくて、からまわりしちゃったんだってことは、よくわかっているつもりよ。
チトセなりに、いろいろ考えて、がんばったんだってこともね?
でも、そのせいでみんなに迷惑をかけてしまったことも、また事実。
そのへん、チトセがどうかんじているのか、はっきりさせないとね。
「ガーネットをさらって売りさばこうとしたこと、宝石箱をぬすんだこと、ブラックにケガをさせたこと……いろいろあるけど今回のことを、チトセはどう思っているの?」
「そ、それはその、本当にごめんなさい‼︎」
チトセが深く頭をさげて――涙が雨みたいに、床にぽつぽつしみを描いていく……。
「わたくし、わからなかったのですわ! カナメさんとお近づきになるには、どうしたらいいのか……頭にカーっと血がのぼって、そうなったらもう自分の気持ちがとめられなくて、ひどいことばかりしてしまって――それに、それにっ」
チトセは、くやしさともどかしさがいりまじったような、フクザツな表情で――。
「人工宝石男子のわたくしは、天然石の宝石男子とくらべて、能力面でおとりますわ。マイナスエネルギーを吸ったり、浄化でリフレッシュするのが苦手ですの……わかっていたのに、自分のマイナスエネルギーさえコントロールできず、爆発をくりかえしては大放出のありさま……これでは、宝石男子失格ですわね」
「チトセ……そこまで思いつめていたなんて」
チトセはたしかに、やっちゃいけないことをたくさんしたわ。
けど、だからってあたしがいつまでもゆるさなかったら、どうなると思う?
きっと最悪な関係のまま、あっという間に学園生活がおわっちゃうわ!
そんなの、悲しすぎると思わない?
「あたしはチトセのことをゆるすわ。ガーネット、ブラック、ふたりはどうする? チトセをゆるす? ゆるさない?」
だまって話を聞いていたふたりに、あたしは真剣に問いかけた。
「オレはゆるすよ! あやまってくれたし、それにチトセはオレと同じ、『カナメ最推し』なわけでしょ⁉︎ これからはファンどうし、カナメについて語りあいたいし‼︎」
「……俺は、そうだな。あんたの家、宝石商なんだろ? 腕の傷をきれいにみがきなおしてくれるなら、それでぜんぶチャラにしてやる」
チトセはまるい目をさらにまるくして、ぱちくりしてからこう言った。
「みなさん、本当に、本当にごめいわくをおかけしました……! わたくしも、今回のことで学びましたわ。猪突猛進するまえに、立ちどまって考えるべきでした……ひとにメーワクをかけたり、傷つけるような方法で、カナメさんがふりむいてくれるはずが、ありませんものね?」
「そのとーりよ! チトセも、あたしたち宝神ファミリーも、みーんなしあわせが一番なんだから‼︎ そのへん、ちゃんと覚えておきなさいよね!」
チトセの涙を指先でぬぐってあげたら、ぶわっとほっぺを赤くして不器用な笑顔。
でも、怒っている顔より、泣いている顔より、ずっとずーっと‼︎
「笑っているほうが、チトセはかわいいわ!」
照れているのかな、赤いほっぺを両手でつつんで、モジモジしちゃってる。
みんなにゆるしてもらえて、チトセもすっかり安心したみたいね!
『男のくせに、女の服着てるとかありえねぇ』とか、『気持ちわりー』とか。
いろいろ、ひどいことを言われたみたい。
「なによそいつら、そんないじめっ子ども、あたしがいたらはったおしてやったのに‼︎」
「……はったおしたじゃありませんか、まさかこれも覚えていらっしゃらないの?」
「カナメ、おまえ……バカなのか? 脳筋にもほどがあるぞ……」
ぐうの音もでないわ、ブラック‼︎
ていうかマジなのね、あたしやっちゃってたのね⁉︎
「バーン‼︎ と空き教室の扉をあけて、登場したと思ったら、目にもとまらぬはやさでいじめっ子たちをちぎっては投げ、ちぎっては投げ――まっすぐな目で、わたくしにこう言いましたの!」
『男子も女子も関係ない‼︎ だれもが自分のすきな服を、楽しく着るべきだわ‼』
「『あんたはそのままでいい、自分をつらぬきなさい‼︎』って、何度思いかえしても、あのときのカナメさんはサイコーにかっこよかったですわ……!」
「えー! ずるいずるい、オレもそのカナメ超見たかったー‼︎」
「……はっきり覚えていないけど。あたしのしわざだってことは、断言できるわ」
あたしって、昔っから弱いものいじめとか、がんばっているひとをバカにするやつらがだいっきらいなの!
それで、そういう現場を見かけるたびに、ちょくちょく解決してまわっていたのよね。
いじめっ子とか不良とか、何人もシバきたおし……じゃない、心をいれかえるお手伝いをさせてもらってきたというか、ね?
チトセを救った一件も、たぶんそのうちのひとつだと思うわ!
「そうですわよ、カナメさん! あの日、わたくしの心を救ったのはまぎれもなく、あなたでまちがいありませんことよ‼︎」
チトセは、ぽあぽあっとほおを赤くそめて、モジモジモード。
「それからというもの、寝ても覚めても頭にうかぶのは、カナメさんのことばかり。はなればなれはたえられなくて、あなたと同じこの学園に入学を決めたのですわ……!」
「そこまであたしを想ってくれていたなんて、うれしいわ、チトセ……けど」
「カナメさん……?」
今回のガーネットをねらった事件……あたしと仲よくなりたくて、からまわりしちゃったんだってことは、よくわかっているつもりよ。
チトセなりに、いろいろ考えて、がんばったんだってこともね?
でも、そのせいでみんなに迷惑をかけてしまったことも、また事実。
そのへん、チトセがどうかんじているのか、はっきりさせないとね。
「ガーネットをさらって売りさばこうとしたこと、宝石箱をぬすんだこと、ブラックにケガをさせたこと……いろいろあるけど今回のことを、チトセはどう思っているの?」
「そ、それはその、本当にごめんなさい‼︎」
チトセが深く頭をさげて――涙が雨みたいに、床にぽつぽつしみを描いていく……。
「わたくし、わからなかったのですわ! カナメさんとお近づきになるには、どうしたらいいのか……頭にカーっと血がのぼって、そうなったらもう自分の気持ちがとめられなくて、ひどいことばかりしてしまって――それに、それにっ」
チトセは、くやしさともどかしさがいりまじったような、フクザツな表情で――。
「人工宝石男子のわたくしは、天然石の宝石男子とくらべて、能力面でおとりますわ。マイナスエネルギーを吸ったり、浄化でリフレッシュするのが苦手ですの……わかっていたのに、自分のマイナスエネルギーさえコントロールできず、爆発をくりかえしては大放出のありさま……これでは、宝石男子失格ですわね」
「チトセ……そこまで思いつめていたなんて」
チトセはたしかに、やっちゃいけないことをたくさんしたわ。
けど、だからってあたしがいつまでもゆるさなかったら、どうなると思う?
きっと最悪な関係のまま、あっという間に学園生活がおわっちゃうわ!
そんなの、悲しすぎると思わない?
「あたしはチトセのことをゆるすわ。ガーネット、ブラック、ふたりはどうする? チトセをゆるす? ゆるさない?」
だまって話を聞いていたふたりに、あたしは真剣に問いかけた。
「オレはゆるすよ! あやまってくれたし、それにチトセはオレと同じ、『カナメ最推し』なわけでしょ⁉︎ これからはファンどうし、カナメについて語りあいたいし‼︎」
「……俺は、そうだな。あんたの家、宝石商なんだろ? 腕の傷をきれいにみがきなおしてくれるなら、それでぜんぶチャラにしてやる」
チトセはまるい目をさらにまるくして、ぱちくりしてからこう言った。
「みなさん、本当に、本当にごめいわくをおかけしました……! わたくしも、今回のことで学びましたわ。猪突猛進するまえに、立ちどまって考えるべきでした……ひとにメーワクをかけたり、傷つけるような方法で、カナメさんがふりむいてくれるはずが、ありませんものね?」
「そのとーりよ! チトセも、あたしたち宝神ファミリーも、みーんなしあわせが一番なんだから‼︎ そのへん、ちゃんと覚えておきなさいよね!」
チトセの涙を指先でぬぐってあげたら、ぶわっとほっぺを赤くして不器用な笑顔。
でも、怒っている顔より、泣いている顔より、ずっとずーっと‼︎
「笑っているほうが、チトセはかわいいわ!」
照れているのかな、赤いほっぺを両手でつつんで、モジモジしちゃってる。
みんなにゆるしてもらえて、チトセもすっかり安心したみたいね!
56
あなたにおすすめの小説
勇者と聖女の息子 アレン ランダムスキルを手に入れて愉快に冒険します!
月神世一
児童書・童話
伝説のS級冒険者である父と、聖女と謳われた母。
英雄の血を引く少年アレンは、誰もがその輝かしい未来を期待するサラブレッドだった。
しかし、13歳の彼が神から授かったユニークスキルは――【ランダムボックス】。
期待に胸を膨らませ、初めてスキルを発動した彼の手の中に現れたのは…プラスチック製のアヒルの玩具? くしゃくしゃの新聞紙? そして、切れたボタン電池…!?
「なんだこのスキルは…!?」
周りからは落胆と失笑、自身は絶望の淵に。
一見、ただのガラクタしか出さないハズレスキル。だが、そのガラクタに刻まれた「MADE IN CHINA」の文字に、英雄である父だけが気づき、一人冷や汗を流していた…。
最弱スキルと最強の血筋を持つ少年の、運命が揺らぐ波乱の冒険が、今、始まる!
この町ってなんなんだ!
朝山みどり
児童書・童話
山本航平は両親が仕事で海外へ行ってしまったので、義父の実家に預けられた。山間の古風な町、時代劇のセットのような家は航平はワクワクさせたが、航平はこの町の違和感の原因を探そうと調べ始める。
笑いの授業
ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。
文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。
それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。
伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。
追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
魔法使いアルル
かのん
児童書・童話
今年で10歳になるアルルは、月夜の晩、自分の誕生日に納屋の中でこっそりとパンを食べながら歌を歌っていた。
これまで自分以外に誰にも祝われる事のなかった日。
だが、偉大な大魔法使いに出会うことでアルルの世界は色を変えていく。
孤独な少女アルルが、魔法使いになって奮闘する物語。
ありがたいことに書籍化が進行中です!ありがとうございます。
魔法使いたちへ
柏木みのり
児童書・童話
十四歳の由は、毎日のように、魔法使いとそうでない人々がごく普通に一緒に暮らす隣の世界を姉の結花と伯母の雅代と共に訪れ、同じく十四歳の親友ジャンと魔法化学の実験に没頭する日々を送っていた。ある晩、秘密の実験中に事故が起き、由の目の前で光の炸裂と共にジャンは忽然と消え去った。
ジャンに何が起きたのか。再会は叶うのか。
「9日間」「はるのものがたり」「春の音が聴こえる」と関連した物語。
(also @なろう)
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる