宝石♢男子

西神 幸徒

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第22話 シュラバの三角カンケー⁉︎

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 さて。いいかんじの雰囲気になったところで、コホンとあたしはせきばらい。

「これで一件落着ってことでその……あたしからひとつお願いしてもいいかしら?」

 タイミング的には、ちょっとずるいかもしれないけど……!
 言うならいま、いましかないわ‼︎

「チトセ、あたしと友達になって‼︎」

 右手をさしだして、あたしはまっすぐにチトセの目を見た。
 緊張の瞬間――たった数秒のはずなのに、とってもながくかんじるわ……!

「わ、わたくしでよければぜひ、ま、まずはお友達からお願いしますわ!」
「え! ほんとのほんとに⁉︎ すーっごくうれしいわ‼︎」

 よろこびのあまり、ぎゅっと手をにぎったらね?
 チトセも強く、にぎりかえしてくれたのよ⁉︎
 もうあまりにも感激しちゃって、それでふと、思ったの!

「もう、こんなことなら、最初から友達になってくれたってよかったじゃない!」
「か、カナメさん――か、顔が近いですわ⁉︎」

 ズイッと近づいて、不満のこもった目でチトセをジーっと見つめる。

「あたしと仲よくなりたいけど、友達になるのはいやって、ずーっと言いはってたじゃない? あれはいったい、どういうことだったのよ?」

 あたしはただ、疑問に思ったから聞いただけなのよ?
 それなのに、チトセはなぜかこれ以上ないってくらい、顔をカーっと赤くしてね?
 蚊のなくような声で、つぶやいたの。

「と、友達よりも、もっとずっと仲よしになりたかったから……ですわ」

 あたしを見るチトセの目は、涙がにじんでウルウル。
 強くなにかをうったえかけているような、そういう目をしていたの。
 そこで、あたしは気づいたわけよ!

「なるほど。フツーの友達なんかじゃ、もの足りないってことね?」
「――ちょっ、カナメ、なに言いだすのさ⁉︎ オレという美少年がありながら‼︎」
「……おまえ、修羅場の三角関係になりたいのか……っ⁉︎」

 シュラバの三角カンケー? ってのが、なんなのかはちょっとわからないけど。

「ふたりとも、なにをそんなにあわててんのよ?」

 そうよ、こんなにおめでたいこと、そうそうないじゃない‼︎

「いいわよチトセ。友達なんて関係、スッとばしちゃいましょ!」
「そ、それはつまり、わたくしとカナメさんはたったいまから……っ⁉︎」

 あたしはチトセの両手をにぎって――ずっとあたためてきたあの言葉を、はっきりまっすぐ、伝えたの‼︎

「そう! たったいまから、あたしたちは親友よ‼︎」

 あたしがそう宣言した瞬間、ガーネットが、へなへなと床にくずれ落ちちゃって⁉︎
 ブラックまで、頭をかかえてため息をつくんだもの!
 こ、これはどういう反応なの? 
 やっぱり、親友はさすがに急だったかな? って、心配したんだけどね?
 チトセったら、プッとふきだしたかと思ったら、腹をかかえて笑いだしたの!

「な、なによみんなして、あたしそんなに変なこと言った⁉︎」
「いいえ、もちろんなりましょう! 親友に……っふふふ‼︎ そうよね、わたくしがバカでしたわ。カナメさんのこういう、にぶくてかわいらしいところがわたくし、だいすきなのですわ!」
「た、助かった……カナメがにぶくて本当によかった! 神様ありがとう‼︎」
「……ふぅ、最悪の事態はまぬがれたようだな」
「なによみんなして、にぶいにぶいって! わざわざ言われなくたってそんなの、あたしが一番わかってるんだから‼︎ 何度も言われると腹がたつんだけど⁉︎」

 わっと逃げだしたガーネットとブラックを追いかけて、屋上をかけまわった。
 空はもう、うっすらと夜の紺色にそまりつつある。

「こらぁ、逃げるな‼︎ あたしのチョップをくらいなさい‼︎」

 そんなあたしたちを見て、さんざん笑ったチトセは、すっきりしたいい笑顔。
 ひろったままだったシャーペンをかえしたら、スッと胸ポケットにさしてくれたの。

「おソロのシャーペン、ふりまわしたりしてごめんなさい。もう二度と、あんなひどいことはいたしませんわ。大切に、大切にしますね――……」
「そのことはもういいの、わかってくれたみたいだし!」

 チトセは、ちょっぴり涙のうかんだ瞳で、こくんとうなずくと、

「じゃあ、また明日。学校でね、チトセ!」
「ええ、みなさんそれではまた。ごきげんよう――!」

 執事たちを引きつれて、屋上をさっていった。
 もちろん、宝石箱はちゃーんとかえしてもらったわ!
 三人がかりとはいえ、町はずれの館まで運ぶのは、すっごく大変だったけどね……!

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