神守の少女、二度目の人生は好きに生きます〜因縁相手は勝手に自滅〜

雪水砂糖

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63 神殿にて

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 神殿は岩城家の別荘からほど近い場所にあり、到着すると神官様が出迎えてくださった。

 叔父様の話では、水無瀬家としてこの神殿にも多額の寄付を行い、事情を説明してあるという。

 私の結界の可能性を探るため、表向きは奉仕活動の一環として鉱山の作業員の治癒を行うが、実際は悪人に対する浄化の効果を検証すること、そしてさらにその裏では鉱山の不正を探ることも伝えてあるそうだ。

 そして、出迎えてくださった神官様が鉱山に同行してくださるという。その方はなんと、以前アオくんと佳乃と共に岩毛熊を討伐してくださった神官様の弟なのだという。
「兄から頼まれましてね。あの兄には昔から頭が上がらないんですよ。年も離れていますし。ははは」
 そう言いながらも、お兄様を慕っている様子がよく伝わってきた。

「兄には及びませんが、私もそこそこ戦えます。いざという時は任せてください」
 この神官様――上月(うえつき)様も、お兄様と同じ翡翠級だという。とても心強い。

「それにしても、結界の中に禍憑を閉じ込めて退治するなど、よく思いつきましたね」

「私は何度やっても神気を放出しての攻撃ができなくて……苦肉の策で結界に閉じ込めてみたら、できただけで狙ってやったわけではないのです……」

「なるほど。そして今度は、人に対してはどうなるか試してみるわけですね」

「はい。出発前に自領の討伐隊で試しました。禍憑に対してと同じで浄化を行うので、怪我人や弱っている人には治癒の効果が現れます。健康な人なら、身体を整える程度なんです」
 私は誤解を招かぬよう、慌てて説明を付け加えた。
「安心しなさい。君たちが鉱山の作業員を弄ぶような非道な真似をするとは思っていない。つまり――禍憑のように穢れを抱えた者に浄化を行えばどうなるか、それを確かめたいのだろう?」

「そうなんです!」叔父様が少し興奮気味に言った。
「私は以前から、人を陥れるような“悪人”は穢れを宿していて、禍憑の一歩手前のような存在ではないかと考えていました」

「面白い発想ですね。だとしたら、そういう人間を浄化するとどうなるとお考えですか?」

 叔父様はいたずらっぽく光矢に振った。
「光矢君、君はどう考える?」

「そうですね……。穢れが外側にまとわりついているだけなら、浄化で払われ、心身が健やかになると思います。ただ、根っからの悪人で穢れが血肉にまで染み込んでいたら――禍憑を浄化する時のように、肉体にダメージが及ぶのではないでしょうか」

「おお、まだ小さいのにとても賢いんだね。つまり、穢れが表面にある程度の人から、血肉にまで侵食している人まで、その深度によって浄化の結果が変わる、ということか。とてもいい考えだ」

「あのっ!もし浄化の結果、本当にダメージを受けた人がいた場合、どうすればいいですか?」
 私は話を聞いていて、不安に思ったことを口にした。

 すると叔父様が口を開いた。
「上月神官、鉱山の不正に関わっている可能性のある者の取り調べを、神殿をお借りして行うことはできますか」

「神殿で場所を提供することは可能です。ただ、その場合、瑞葉殿が治癒に失敗した――そんな不名誉な噂になるのでは?」

 そのとき、光矢が鞄からおもむろに神具を取り出した。
「そこで、これの出番です」

「それは……もしかして、浅井博士の新しい神具か?」
 神官様が目を輝かせて凝視した。

「はい。こちらは穢れを見ることができる神具の試作品です」
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