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第3章

快進撃

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試合の翌日は、駅の売店に行き埼玉新聞を買うのが日課だった。
新聞が部員をヒーローのように報じてくれる。それが楽しみでせっせと買いに行った。

この年の南関東大会は、埼玉開催だった。そのため、埼玉は優勝校と準優勝校の2校に南関東大会の出場権が与えられる。

2回勝ったら、また準決勝と決勝のダブルヘッダーだ。
準決勝に勝てば南関東大会の出場権を得ることができる。とにかく準決勝を勝つことだけに集中した。

準決勝の相手は慶応志木。
3時間の打撃戦の末、16―9で相手を下した。

お昼を挟んで50分後にすぐ決勝戦だった。

監督(顧問のまめ先生)なりの配慮なのか、先発は1年生だった。
6回までに9点取られ、エースを投入するも時既に遅し、9―7で浦和南高校に敗退。

それでも南関東大会への切符を掴んだ。
南関東大会は神奈川、千葉、埼玉の3県の代表で争われるので、2つ勝てば優勝である。優勝したら南関東代表として全国大会に出場だ。

試合の帰り、私たちマネージャーは応援に来ていた校長先生の車に乗せてもらえることになった。私たちはちょっと緊張しながら、会話に注意しながら、熊谷―浦和間の長い道のりを帰っていった。校長先生の車に乗せてもらえるなんて、そんな生徒は他に居ないだろうな~というVIP感を味わいながら。

部室の貼り紙は
「目指せ!全国大会出場!」
に変わっていった。
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