- Mix blood -

久悟

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第二章 リーベン島編

弟子に託す 4

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 二日後、トーマスから二本の刀を受け取った。

「ありがとう、またお礼に行かないと」

 二本を腰に差すと、身体にずしりとした重みと、それ以上の高揚感が伝わってくる。
 龍胆を抜き、晴れ渡った空に向けて翳してみた。刀身が陽の光を反射し、まるで自ら発光しているかのように眩しく輝いている。
 練気を纏わせ、庭の岩に刃先を置いて少し押してみる。抵抗なく、龍胆がスーッと岩に吸い込まれていった。

「うん、凄い斬れ味だ」
「それ、出来るようになったんだね」
「私、昨日と今日の午前で、苦無の扱い方教わったんだ! 刀の試し斬りがてらミモロ山に行かない?」
「僕もヤマタノオロチの盾を使ってみたいな」
「そうだな、オレも二刀流の指南を少し受けたんだ。行こうか! どうせなら、ミモロ山まで空を駆けて行こう」

 オレたちは、ミモロ山まで一気に空中を駆けた。

「空中散歩ももうお手の物だね」
「さて、ここの大蛇は割りと硬いからな。試し斬りには丁度いい」
「大蛇に苦無が刺されば、威力は申し分無いってことか!」

 話しているうちに、早速、巨大な大蛇が鎌首をもたげて姿を現した。

「よし、攻撃を受けてみようかな」

 トーマスが前に出て、大蛇の放った風の刃を待ち受ける。

『守護術 堅牢・陣』

 三人を覆うように現れた半透明の障壁が、全ての風刃を火花を散らして弾き返した。

「うん、堅牢の質が全く違うのが分かるな」

 風刃が効かないと見るや、大蛇が牙を剥き、トーマスに飛びかかってきた。

『守護術 炎牢えんろう

「シャァァーッ!」

 トーマスの構える盾から炎の壁が吹き出し、大蛇の巨体を弾き飛ばした。なるほど、守護術に遁術を纏わせるカウンターか。

「こういう使い方もいいもんだ」
「やっぱり、盾があると守護術が段違いなんだな」
「いや、親方は戦闘で盾を使わないでしょ? 幅広の刀を盾にして使うんだ。てことは、刀を媒介として盾を張ったら良いって事なんだよ。親方の刀の幅はほぼ盾だからね……同じとはいかないけど。後、僕達は防具にも練気を纏ってるよ。守護術貫通されたら困るからね。刀と防具を媒介に張る感じがいいかな」
「なるほど、盾を持ってないっていう先入観か。媒介物を気にしてなかったな。左手の春雪と防具でやってみよう。防具にも練気を纏うのは怠ってたなぁ……」

 トーマスのアドバイスに、オレは目から鱗が落ちる思いだった。
 その時、エミリーが苦無を投げた。が、大きく外れ、大蛇の手前の地面に突き刺さる。まだ慣れていないのか、と思ったが。

「なるほど、こういう事ね」

 ん? 大蛇が動かない。

「影縫いだよ。影縛りは地面に練気と魔力流して敵の動きを止めるんだけど、これは苦無にそれを纏わせて周辺に刺すんだ。効果は落ちるけど、中、長距離で扱えるんだ」

 地面に突き刺さった苦無から黒い影が伸び、大蛇を縛り付けていた。
 そして、練気を纏わせたもう一本の苦無を投げると、それは大蛇の硬い鱗をいとも簡単に貫いた。二本の苦無は、まるで生きているかのようにエミリーの手元に戻ってくる。

「おいおい、刺さるなんてレベルじゃないな。どうやって手元に戻すんだ?」
「練気を糸状にして繋げとくんだよ! これいいなぁ。両手で持って短刀みたく使えるし。練気の糸で繋いで振り回してもいい。幅が広がったね。中距離攻撃はこれだね!」
「なるほどなぁ」

 木々の間を縫うように、もう一匹大蛇が現れた。

「じゃあ、オレが貰うよ」

 左手に春雪、右手に龍胆を抜き放つ。左手の春雪を正眼に、右手の龍胆を右側上段に構える。基本の『上下太刀の構え』だ。剛力のおかげで、二本の刀の重さは感じない。
 大蛇の風魔法が、空気を切り裂く音を立ててオレを襲った。

『守護術 堅牢』

 トーマスの助言通り、二本の刀と防具を媒介にして発動した守護術は、まるで鋼鉄の壁のように全ての攻撃を弾き飛ばした。
 オレは両手の刀を右上段に構え直し、地を蹴る。

『剣技 重ね剣風』

 二本の刀から同時に放たれた斬撃は、目にも止まらぬ速さで交差し、大蛇の胴をすり抜けた。一瞬の静寂の後、三つに分かたれた大蛇の巨体が、音を立てて地に沈んだ。

「なるほど、左の刀で防御、右の刀で攻撃か。オレには合ってるかもな」
「刀と防具を媒介にか。私の守護術も変わるね!」

 それぞれが新たな力をその手に掴んだ。俺たちの旅は、まだ始まったばかりだ。
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