- Mix blood -

久悟

文字の大きさ
67 / 260
第三章 大陸冒険編

ジュリア・スペンサー

しおりを挟む
「アタシ、ちょっと家に帰って準備してくるよ。ママにも挨拶しないとね。ジュリア・スペンサーに戻る準備だ!」
「あぁ、分かった。オレ達は街で買い物をしながら待ってる」
「後で合流する!」

 ジュリアはそう言うと、小走りで自宅へと戻って行った。

「さて、どうする? この国の武具でも見に行かないか?」
「あぁ、いいね。そうしよう」
「私、かわいい服が見たいな! あと、サウナ用の水着も新しくしないと。なんだか最近キツくなってきたんだよね」

 そうだ、ジュリアの水着姿も拝めるのか。オレは思わず頬を綻ばせた。
 

 湖上の城から橋を渡り、中心街へと移動する。
 洗練されたお洒落な街並みだ。テラス席では、優雅に紅茶を楽しむ人々が多い。時間が緩やかに流れているような、落ち着いた雰囲気が漂っている。

「武器屋と防具屋が隣接しているな」

 防具屋にはプレートアーマーが多い。篭手なども金属製で、ガントレットと札に書かれている。

「オレ達は革の防具だけど、金属鎧って重くないのかな?」

 胸から腰までを覆う胸甲という金属鎧を、試しに持ち上げてみる。

「お、意外と軽いぞ?」
「でも、僕はやっぱり革の防具の方が好きだな。身体に馴染む感じがする」
「私も、こっちの方が動きやすくて好きだなぁ」
「でも、この軽い金属は魅力的だね。修理用にいくつか買っておこう」

 防具には、特に心惹かれるものはなかった。次は武器屋だ。

「両手剣が多いな。やっぱりオレは刀がいい。あれはもはや芸術品だ」
「うんうん、刀は本当に美しいよね。他の武器にはない曲線美がある」
「わ、これすごいね! ツーハンドソードだって。私の背丈くらいあるよ」
「両手大剣か。これを振り回すとなると、相当なパワーファイターなんだろうな」

 武器を眺めていると、準備を終えたジュリアがやって来た。

「ジュリア・スペンサーに変身完了だ!」
「おかえり。改めて、よろしくな」
「頼りにしてるよ、ジュリア」
「またジュリアと冒険できるんだね! ……ていうか、またその汚いバッグを持っていくの……?」
「これはアタシの財布なんだよ!」

 ジュリアは青い瞳に、エミリーと同じ色のレンズを入れている。

「ジュリアは回復術師なんだろ?」
「あぁ、そうだ」
「ジュリアって、何でもできるのに、自分はあくまでも回復術師だって言い張ってたよね? 今なら、その気持ち分かるよ。私もそうだから!」
「そう。アタシはあくまでも回復術師。ただし、『超攻撃的回復術師』だけどな!」

 は……?

「ん……? じゃあ、このパーティでの立ち位置はどうなるんだ?」
「エミリーがいるなら、アタシはアタッカーに回るよ。回復より、むしろ攻撃の方が得意だからな」

 それなら、もうアタッカーなんじゃ……。 
 そう思ったけど、すぐに理由が推測できた。きっと、彼女の師匠が回復術師だったんだろう。

「じゃあ、主にオレとジュリアで攻撃するってことになるのか。武器は何を使ってるんだ?」
「アタシの武器は……ここにはないな。このツーハンドソードより、さらに一回り大きい『ツヴァイハンダー』を使ってる」
「え、これより大きいのか!?」
「あぁ、アタシの背丈くらいあるぞ。ほら」

 ジュリアは、何もない空間から自分の背丈ほどもある両手大剣を取り出した。彼女は俺より一回り小柄だけど、女性としては背が高い方だ。それにしても、こんなスレンダーな身体で、こんな巨大な剣を振り回せるとは到底思えない。

「いつもは空間魔法にしまってる。こんなものをぶら下げて移動はできないからな」
「防具はプレートアーマーなの?」
「いや、アタシは『ブリガンディ』を好んで装備してる。魔物の革で作ったベストに、金属の小片を打ち込んで鎧にするんだ。ここの加工金属は丈夫で軽いからね。篭手も脛当ても革製だ。これだよ」
「それなら、僕でも整備できるね。……あれ? この革、コカトリスのものじゃない?」
「あぁ、そうだよ。昔、数人で討伐して、防具にしてもらったんだ」
「オレ達の防具もコカトリスだぞ」

 ジュリアにコカトリスの防具を渡して見せる。

「おぉ、本当だ! 龍族の防具も格好いいな!」
「コカトリスの革ならまだ予備がある。修理は任せてくれ」
「アタシもまだ持ってるんだ。トーマスに渡しておこうか」

 次は服屋だ。少し歩くと、お洒落な店を見つけた。

「ジュリアの服もシルクなのか?」
「あぁ、これが一番いい。蜘蛛の魔物の糸が練り込んであるからな」
「私達のと同じだ。……また一枚しか持ってないの? いつも使い捨てだったよね?」
「何で二枚もいるんだ? 汚れたら、捨てて新しいのを買えばいいだろ?」
「僕達は、いつも川で洗って乾かすために、二枚以上持っているんだ。それに、乾かなくても、エミリーの空間魔法に入れておいてもらえば、いつの間にか乾いてるからね」
「それにジュリア、オレ達は毎晩、素晴らしいものに入るんだ。一日の汗を流してスッキリした後、綺麗なシャツに袖を通す。それが最高なんだ。今晩、一緒に入ってみないか?」
「素晴らしいもの……? 風呂のたぐいか?」
「あぁ、そうだ。エミリーと一緒に、水着を選んでくれ。それと、洗い替え用のシャツもな」
「ジュリア、期待していいよ。本当にヤバいから」
「ほほう、楽しみにしておくとしよう」

 オレ達は服や野菜、調味料などを買い込み、仙神国を後にした。新たな仲間を加え、再びレトルコメルスへの帰路につく。
 この旅は、もっと面白くなりそうだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

エレンディア王国記

火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、 「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。 導かれるように辿り着いたのは、 魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。 王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り―― だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。 「なんとかなるさ。生きてればな」 手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。 教師として、王子として、そして何者かとして。 これは、“教える者”が世界を変えていく物語。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

助けた騎士団になつかれました。

藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。 しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。 一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。 ☆本編完結しました。ありがとうございました!☆ 番外編①~2020.03.11 終了

処理中です...