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第三章 大陸冒険編
天才か、馬鹿か
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食後のティータイムだ。
ロンの紅茶には、砂糖を多めに入れてやった。
「ロンは、魔法が使えるのか?」
「うん。剣と魔法は、教えてもらったんだ」
「師匠がいるのか?」
「うん。ユーゴさんみたいに、黒髪の人だよ。ハオさんっていうんだ」
龍族の師匠? ハオさん……誰だろうか。
「どこで知り合ったんだ?」
「俺、小さい頃から船が好きで、いつも港に見に行ってたんだ。その船の船長が、ハオさんだったんだ」
あの船長か。リーベン島行きの船で、初めて遁術を見た時の衝撃を思い出す。
「俺、いつも背中に剣を背負ってたから、ハオさんが空いた時間に、剣技と遁術を教えてくれたんだ」
「え……? ロン、お前、遁術が使えるのか? ということは、錬気術が使えるということだよな?」
「うん。剣にも纏わせられるよ」
ロンは、刃こぼれした剣に、錬気を纏わせてみせた。
綺麗に纏わせている。こいつは、とんでもない子供なのかもしれない。
「この辺の街道沿いなら、Cランクの魔物くらいしかいないだろう。なんで、餓死寸前だったんだ?」
「……料理の仕方なんて、知らないよ。生でなんて食えないし……火遁を使ったら、獲物が燃えて無くなっちゃうし。山も、どこにあるか分からないから、木の実なんかを見つけることもできないし……」
つくづく、無謀で不器用な奴だな……。
街道沿いで倒れていたなら、他の誰かに見つけてもらえただろうに。
だが、そのおかげで、オレ達はこんな逸材を見つけることができたわけだ。
あぁ、逸材、か。
エマの店の用心棒を、ロンに頼めないだろうか。騎士団に入団するのが夢だというなら、まずはオリバーさんの所に連れて行ってみよう。
「その刃こぼれした剣は、もう限界だな。ロン、新しい刀が欲しくないか?」
「そりゃ、欲しいけど、いくらすると思ってるんだよ……」
「レトルコメルスに着いたら、買ってやる。最初だ、二級品の下位くらいでいいだろう」
「そんな! 二級品なんて、貰えるわけないよ!」
「いいって。これも何かの縁だ。お前は、きっと良い騎士になる」
「ロン、買ってもらったらいいよ! ユーゴは、一生遊んで暮らせるくらいお金を持ってるんだから!」
「……そうなんだ」
まだ、寝るには早い。こいつなら、自然エネルギーで飛べるかもしれないな。
「ロンに、浮遊術を教えてみようか」
仙術の呼吸法を教える。
遁術を使えるだけあって、飲み込みが早い。
「おぉ! 浮いた!」
「え……? ロン、打ち上がらなかったね……」
「そうだな……。飛んで行かなかったのは、里長くらいだったぞ……」
少し練習しただけで、もう自由自在に飛んでいる。とんでもないセンスを持っているのかもしれない。
「風のエネルギーだけじゃない。火も水も、陽の光や音の速さ、色々な自然エネルギーがある。それを、遁術に組み込めば、とんでもない威力になるぞ」
「そっか。明日やってみるよ!」
なんだか、弟子ができたみたいだ。
能力が高い分、教え甲斐がある。
「エミリー、オレはもう一つテントを張って、ロンと寝るから、そっちのテントを使ってくれ」
「うん、分かった」
ロンは、寝るまで飛び回って遊んでいた。
オレが横にいれば、寝ていても大丈夫だろう。スレイプニルくらいなら問題ない。
明日に備えて、早めに就寝した。
◇◇◇
次の日の朝、昨日握っておいたおにぎりを食べる。ロンにも、オレの分を一つ分けてやった。
「さて、行くか。夕方前には着きたいな」
「俺も、飛んでみるよ」
皆で飛び立った。
ロンは、昨夜練習しただけだというのに、ある程度のスピードで、ついてきている。
「ロン、あんた、すごいね……」
「あぁ、大したもんだ」
「でも、スタミナが持つだろうか……」
そう言いつつ、普通に喋りながらついてきているのだから、大したもんだ。
「ロンは、強化術も使えるんだな」
「うん、基礎は教えてもらった。守護術と、治療術もね」
「ロンがすぐに覚えるから、ハオさんも、教えるのが楽しかったんだろうな」
「うん。いっぱい褒めてくれるから嬉しかった。褒められたくて、頑張ったっていうのもあるかな」
「そうか。強化術や守護術、治療術にも、自然エネルギーを組み込めば、別物になるぞ。また、やってみてくれ」
「うん! 楽しいね!」
「後は、錬気で空を駆ける練習だな。これができるとできないとでは、精度が全く異なるからな」
「うん、ハオさんからも聞いている。なかなか、難しいんだよね……」
「あぁ、最難関だよ。がんばれ」
「うん!」
道中の魔物を、自然エネルギーの風遁で切り刻んだり、錬気を纏わせた剣で斬ったり、ロンの強さには驚かされた。
錬気で空を駆ける練習も指導したが、これは、なかなか難しいようだ。オレ達も、苦労したからな。
しかし、こいつなら、走ればかなりの速度で走れるだろう。
「ロン、お前、まさかレトルコメルスまで、歩いて行こうとしていたのか……?」
「うん。どれくらいかかるのかも分からないし、他の人達も、みんな歩いてたし。……そもそも、方向もよく分からないし」
街道に沿って走ればいいだろうに……。こいつは、天才なのか、馬鹿なのか……。
まあ、無謀で無鉄砲な奴なのは間違いない。
途中から、ロンを背負うことに切り替えて、夕方にはレトルコメルスに着いた。
「オレ達と一緒なら、手形所持者用のゲートも通れるかな?」
「どうだろうね……。とりあえず行ってみよう」
オレとエミリーは、門衛に狩猟者カードを提示した。
ロンの説明をしようと思ったが、ロンも狩猟者カードを出した。
「え!? お前、Aランクなのか!?」
「うん。取っておいた方がいいかな、と思って。当面の、生活費も稼いだし」
「……12歳で、Aランクか」
「いやいや、ユーゴさん達は、SSランクじゃないか。憧れるよ」
「餓死しないように、野営の知識と技術を身につけないとな……」
「うん、本当に大事だね……」
「私達、トーマスがいて本当に良かったね……」
うん、全くだ。
大きな門扉を潜る。
無事に、レトルコメルスに到着した。
「トーマスとジュリアは、まだ着いていないみたいだな」
「どうする? 二人を待つのに、二泊する?」
「そうしよう。多分、明日には着くだろうしな」
とりあえず、ロンの服を見に行こう。
洗いはしたが、死にかけていただけあって、かなり汚い。
「エミリー、風呂に入って『冒険野郎』に集合な。オレは、ロンと一緒に服を見てくる」
「うん、分かった!」
ロンに、絹のシャツとズボンを二枚ずつ、下着を数着買って部屋に戻り、風呂に入った。
「ここのサウナも、いいだろ?」
「うん。こんなに良いものがあったんだね」
「シャツと下着は、毎日着替えろよ? 臭いと、仕事が貰えないぞ」
「……それは、大変だ。毎日、風呂に入って着替えるよ」
ロンは、綺麗なシャツに袖を通した。髪の毛も整え、普通の子供に戻ったようだ。
ロンの紅茶には、砂糖を多めに入れてやった。
「ロンは、魔法が使えるのか?」
「うん。剣と魔法は、教えてもらったんだ」
「師匠がいるのか?」
「うん。ユーゴさんみたいに、黒髪の人だよ。ハオさんっていうんだ」
龍族の師匠? ハオさん……誰だろうか。
「どこで知り合ったんだ?」
「俺、小さい頃から船が好きで、いつも港に見に行ってたんだ。その船の船長が、ハオさんだったんだ」
あの船長か。リーベン島行きの船で、初めて遁術を見た時の衝撃を思い出す。
「俺、いつも背中に剣を背負ってたから、ハオさんが空いた時間に、剣技と遁術を教えてくれたんだ」
「え……? ロン、お前、遁術が使えるのか? ということは、錬気術が使えるということだよな?」
「うん。剣にも纏わせられるよ」
ロンは、刃こぼれした剣に、錬気を纏わせてみせた。
綺麗に纏わせている。こいつは、とんでもない子供なのかもしれない。
「この辺の街道沿いなら、Cランクの魔物くらいしかいないだろう。なんで、餓死寸前だったんだ?」
「……料理の仕方なんて、知らないよ。生でなんて食えないし……火遁を使ったら、獲物が燃えて無くなっちゃうし。山も、どこにあるか分からないから、木の実なんかを見つけることもできないし……」
つくづく、無謀で不器用な奴だな……。
街道沿いで倒れていたなら、他の誰かに見つけてもらえただろうに。
だが、そのおかげで、オレ達はこんな逸材を見つけることができたわけだ。
あぁ、逸材、か。
エマの店の用心棒を、ロンに頼めないだろうか。騎士団に入団するのが夢だというなら、まずはオリバーさんの所に連れて行ってみよう。
「その刃こぼれした剣は、もう限界だな。ロン、新しい刀が欲しくないか?」
「そりゃ、欲しいけど、いくらすると思ってるんだよ……」
「レトルコメルスに着いたら、買ってやる。最初だ、二級品の下位くらいでいいだろう」
「そんな! 二級品なんて、貰えるわけないよ!」
「いいって。これも何かの縁だ。お前は、きっと良い騎士になる」
「ロン、買ってもらったらいいよ! ユーゴは、一生遊んで暮らせるくらいお金を持ってるんだから!」
「……そうなんだ」
まだ、寝るには早い。こいつなら、自然エネルギーで飛べるかもしれないな。
「ロンに、浮遊術を教えてみようか」
仙術の呼吸法を教える。
遁術を使えるだけあって、飲み込みが早い。
「おぉ! 浮いた!」
「え……? ロン、打ち上がらなかったね……」
「そうだな……。飛んで行かなかったのは、里長くらいだったぞ……」
少し練習しただけで、もう自由自在に飛んでいる。とんでもないセンスを持っているのかもしれない。
「風のエネルギーだけじゃない。火も水も、陽の光や音の速さ、色々な自然エネルギーがある。それを、遁術に組み込めば、とんでもない威力になるぞ」
「そっか。明日やってみるよ!」
なんだか、弟子ができたみたいだ。
能力が高い分、教え甲斐がある。
「エミリー、オレはもう一つテントを張って、ロンと寝るから、そっちのテントを使ってくれ」
「うん、分かった」
ロンは、寝るまで飛び回って遊んでいた。
オレが横にいれば、寝ていても大丈夫だろう。スレイプニルくらいなら問題ない。
明日に備えて、早めに就寝した。
◇◇◇
次の日の朝、昨日握っておいたおにぎりを食べる。ロンにも、オレの分を一つ分けてやった。
「さて、行くか。夕方前には着きたいな」
「俺も、飛んでみるよ」
皆で飛び立った。
ロンは、昨夜練習しただけだというのに、ある程度のスピードで、ついてきている。
「ロン、あんた、すごいね……」
「あぁ、大したもんだ」
「でも、スタミナが持つだろうか……」
そう言いつつ、普通に喋りながらついてきているのだから、大したもんだ。
「ロンは、強化術も使えるんだな」
「うん、基礎は教えてもらった。守護術と、治療術もね」
「ロンがすぐに覚えるから、ハオさんも、教えるのが楽しかったんだろうな」
「うん。いっぱい褒めてくれるから嬉しかった。褒められたくて、頑張ったっていうのもあるかな」
「そうか。強化術や守護術、治療術にも、自然エネルギーを組み込めば、別物になるぞ。また、やってみてくれ」
「うん! 楽しいね!」
「後は、錬気で空を駆ける練習だな。これができるとできないとでは、精度が全く異なるからな」
「うん、ハオさんからも聞いている。なかなか、難しいんだよね……」
「あぁ、最難関だよ。がんばれ」
「うん!」
道中の魔物を、自然エネルギーの風遁で切り刻んだり、錬気を纏わせた剣で斬ったり、ロンの強さには驚かされた。
錬気で空を駆ける練習も指導したが、これは、なかなか難しいようだ。オレ達も、苦労したからな。
しかし、こいつなら、走ればかなりの速度で走れるだろう。
「ロン、お前、まさかレトルコメルスまで、歩いて行こうとしていたのか……?」
「うん。どれくらいかかるのかも分からないし、他の人達も、みんな歩いてたし。……そもそも、方向もよく分からないし」
街道に沿って走ればいいだろうに……。こいつは、天才なのか、馬鹿なのか……。
まあ、無謀で無鉄砲な奴なのは間違いない。
途中から、ロンを背負うことに切り替えて、夕方にはレトルコメルスに着いた。
「オレ達と一緒なら、手形所持者用のゲートも通れるかな?」
「どうだろうね……。とりあえず行ってみよう」
オレとエミリーは、門衛に狩猟者カードを提示した。
ロンの説明をしようと思ったが、ロンも狩猟者カードを出した。
「え!? お前、Aランクなのか!?」
「うん。取っておいた方がいいかな、と思って。当面の、生活費も稼いだし」
「……12歳で、Aランクか」
「いやいや、ユーゴさん達は、SSランクじゃないか。憧れるよ」
「餓死しないように、野営の知識と技術を身につけないとな……」
「うん、本当に大事だね……」
「私達、トーマスがいて本当に良かったね……」
うん、全くだ。
大きな門扉を潜る。
無事に、レトルコメルスに到着した。
「トーマスとジュリアは、まだ着いていないみたいだな」
「どうする? 二人を待つのに、二泊する?」
「そうしよう。多分、明日には着くだろうしな」
とりあえず、ロンの服を見に行こう。
洗いはしたが、死にかけていただけあって、かなり汚い。
「エミリー、風呂に入って『冒険野郎』に集合な。オレは、ロンと一緒に服を見てくる」
「うん、分かった!」
ロンに、絹のシャツとズボンを二枚ずつ、下着を数着買って部屋に戻り、風呂に入った。
「ここのサウナも、いいだろ?」
「うん。こんなに良いものがあったんだね」
「シャツと下着は、毎日着替えろよ? 臭いと、仕事が貰えないぞ」
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