- Mix blood -

久悟

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第三章 大陸冒険編

エミリーの恋 5

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 脱衣所の籠に服が入ってる。
 誰か入ってるのか……男の人だったら嫌だな……。

 シャワーを浴びて汗を流す間も、露天風呂への扉が気になって仕方がない。
 露天風呂に行きたいけど……男の人がいたら諦めよう。
 そっと扉を開け、湯気の中を覗き込む。

「あれ、リナさんか!」
「あぁ、エミリー様!」

 湯船に浸かっていたのはリナさんだった。私はホッとして、彼女の隣に滑り込んだ。

「良かった、男の人だったら上がろうと思ってたんだ」
「私も、またどなたか入って来られたかなって……」
「えっ、前もあったの?」
「先日ユーゴ様と一緒になってしまって……」
「え!? あのスケベ野郎……」
「いや! 違うんです! やめてくださいそんな言い方!」

 私がそう言うと、リナさんは必死になって否定した。

「えらくユーゴを庇うね……」
「ユーゴ様からしたら、まさか私が入っているなんて思いもしませんよ……一汗かいて二度目のお風呂だった様です。寝る前にお体を動かすほど熱心な方じゃないと、あそこまでの狩猟者《ハンター》にはなれないのだと感心致しました」

 ユーゴ、いつもそんな陰の努力をしてるんだ。意外だ。

「ユーゴ様はすごくお優しくて、いつも私が良くしてくれるからって……労いの言葉を掛けてくださって……外出の際にはお土産まで買って来て下さって……」

 そう語るリナさんの頬は、湯気のせいだけではないほどに赤く染まっていく。瞳が潤んで、熱っぽい輝きを帯びている。

 ん? これは……?

「リナさん、ユーゴの事好きなの?」
「え!? いっ……いやっ……まさか……そんな事はっ……」
「いや、いいよ隠さなくて」
「いや……お優しい方だとは思います……すごくカッコいいし、私の仕事を認めて下さるし、すごく笑顔が素敵だし……それに……」

 ユーゴ愛が止まらないじゃないか。罪な奴だよ、あいつは。

「はい……正直、ユーゴ様が頭から離れません……どうすれば良いでしょうか……初めて人に打ち明けました……」
「実は私も恋してるんだ……分かるよその気持ち」
「エミリー様もですか! でも私、今すごく楽しいんです。この恋は片想いで終わるのは分かってます。でも……今はユーゴ様に尽くしたい。あ! もちろん皆様のお世話を疎かにする訳ではございませんよ!」
「お互い頑張ろうね! もちろんユーゴには言わないよ。またご飯でも行こうよ」
「本当ですか……? 私、この想いを外に出さないと、どうにかなってしまいそうで……ありがとうございます……」

 リナさんと二人で頷き合っていると、扉の奥から物音がした。
 誰か入ってきた?

 ガラッとドアが開いた。

「ユーゴ!」
「え!? エミリーとリナさん!?」

 タオルを肩にかけ、股間を隠そうともしないユーゴが立っていた。
 リナさんはあたふたと胸を隠し、顔を真っ赤にしている。
 
「出ていきなさいユーゴ!」
「あっ……あぁ、失礼しました!」
「いっ……いや、ユーゴ様! お気遣いなく!」

 リナさんの悲鳴のような制止も虚しく、ユーゴは逃げるように脱衣所へ戻っていった。

 何てタイミングの悪い……。

「あの……今の話、聞かれてませんよね……?」
「うん……あの慌てぶりだと大丈夫だと思うよ……?」

 互いに顔を見合わせ、私たちは小さく笑い合った。
 リナさんと私は、なんだか同志になれた気がする。近いうちに一緒にご飯でも食べに行って、恋の話をたくさんしよう。
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