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第四章 魔人の過去編
鬼人誕生
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オラァと、姉ちゃんの『スズカ』は双子で産まれた。
両親と上の兄貴二人は普通の鬼族、いわゆる『大鬼族』だ。
「普通に産んでやれなくてすまねぇな……」
母ちゃんはオラァ達を見ると、いつもそう言って目を伏せた。オラァ達が『小鬼族』だと差別を受け、陰湿な虐めにあっていたからだ。
「何が大鬼族だ、ウスノロの木偶の坊なだけだろ。ウチらの何があいつらより劣ってるってんだ!」
姉ちゃんのこの言葉は強がりじゃねぇ。実際、オラァ達が大鬼族に劣るなんて事は一つもねぇからだ。デケェ図体は力はあるかもしれねぇが、隙だらけだ。
実際姉ちゃんはとんでもなく強かった。差別してくる奴がいれば、そいつを喧嘩でボコボコにして証明して見せた。そうやって十数人の小鬼族をまとめ上げ、差別や虐めを受けないように群れて行動するようになった。
姉ちゃんとオラァは、小鬼族の中でも一目置かれる戦士だった。
オラァ達には強さの秘密があった。
「爺さん! 遊びに来たぞ!」
「おぉ、お前らか。最近よく来るな。ワシは大歓迎じゃが」
「どこにも居場所なんて無いしな。ここが一番落ち着くよ、ここに住みたいくらいだ」
「ワシは構わんぞ? お前らさえ良ければな。お前らにとっちゃ、ソウジャは住みにくかろう」
鬼国ソウジャから北に二日ほどの山の麓に住んでいる、ベンケイ爺さんの屋敷。鬼王と並び称された程の戦士だったらしいが、何があったかこんな所に数人で住んでいた。
腕試しに皆で魔物を討伐しようと山に入った時、偶然この屋敷を見つけたんだ。
薙刀術の創始者であるベンケイ爺さんに弟子入りし、オラァ達はメキメキと実力をつけた。薙刀術が上達するに連れて、闘気の練度が格段に上がっていくのが分かった。
しょっちゅう遊びに来ては、薙刀術の指南を受ける。これがオラァ達の強さの秘密だ。
「お前らの武器も強化する頃じゃな。ワシが打った薙刀をやろう。さすがに特級品や一級品はやれんがな」
「いいのか爺さん!? 十四人もいるんだぞ!?」
「あぁ、構わん。そこまでいい品じゃぁないからな」
爺さんはそう言ったが、それでも二級品の下位程の業物だ。オラァ達には勿体ないくれぇの品だ。嬉しくて、オラァ達はますます薙刀術に打ち込んだ。
更に実力も付いてきたある日。
「なぁみんな、人族の世に行ってみないか?」
姉ちゃんが言い出した。
「人族の世に行く者も多いしな。オラァは構わねぇ」
姉ちゃんとオラァの他、十二人の仲間達も賛成した。ここにいても未来はねぇ。
「そうか、寂しくなるのぉ。戻った時はまた遊びに来なさい 」
「あぁ、その時はここに住ませてくれよ」
「うむ、待っとるぞ」
鬼国に戻り荷物をまとめ、両親にすら告げずに国を出た。
手元にあるのは大まかな地図だけ。慣れない野営に四苦八苦しながら、オラァ達は西の方にあるというウェザブール王都を目指した。日が経つにつれ、仲間の中で自然と役割の分担ができ、順調に旅を進めることが出来るようになった。
国を出て一ヶ月程が経った頃だ。
「やっと着いたな……多分あれがウェザブール王都だな。凄いな……なんだあの高い壁は」
「門に凄ぇ列が出来てるな。あれに並ぶのか?」
「並ぶしかねぇ様だぞ? 通行手形の類いなんて持ってねぇしな」
どれくらい並んだだろうか。やっと門番の前まで来た時には、日が傾きかけていた。
「鬼族か、狩猟者カードは持ってないのか?」
「はんたーかーど……? なんだそれは?」
「基本的に他種族を王都に入れることは出来ん。他の町で狩猟者ランクを上げて来ることだな。我が国で身分を証明するにはそれが一番手っ取り早い」
門番は冷たく言い放つと、親指と人差指の先を合わせた。
「あとは……分かるよな?」
金か。どこの世界にも汚い奴がいるもんだ。けどオラァ達はこの国の金なんて持ってねぇ。
「これだけ並んだのに入れないだって? ウチらが中で暴れるとでも言うのか?」
「それが分からんから検問があるんだろ。金がないなら出直せ」
姉ちゃんが食って掛かろうとするのを、オラァは慌てて止めた。
「だめだ姉ちゃん、ここで問題を起こすのは不味い」
「クッソ……行くよお前ら!」
オラァ達は諦めて列を後にした。屈辱で腹の中が煮えくり返りそうだ。
「何処も見た目で判断する世の中なんだな。身分証明があったらどうだってんだ、ウチら自身は何も変わらないじゃないか。そうだろ?」
「あぁ、全くだ」
姉ちゃんの目つきが変わった。
「……よし、ウチらは人族の世界で山賊として生きるよ。真っ当に生きられないって言うなら、こうなったらとことん悪党になってやろうじゃないか」
「面白そうじゃねぇか、賛成だ!」
オラァ達は血の気が多い。
ベンケイ爺さんの薙刀指南を受けて落ち着いてはいたが、元々荒くれ者の集まりだ。
そうなれば住処を探さなければならない。
王都から離れて森に入り散策していると、開けた場所に建物があるのを見つけた。
「へぇ、こんな所に良い住処があるじゃないか。十四人で入っても問題ないね。横に川が流れてる、最高じゃないか」
おそらく人族の小規模な演習場か何かだろう。だが、オラァ達には関係の無い話だ。奪った建物、山賊の住処にはちょうどいい。
奪った根城を守る者を数人残し、十人近くで行動する。街道を見張っていれば商人が荷物を運んで来る。護衛の奴らがいるが、オラァ達は人族達に比べればバカみてぇに強い。
「おい、今日は酒が手に入ったぞ!」
「酒なんて久しぶりだね! 今日は酒盛りするよ!」
酒が手に入った日は遅くまで飲んで騒いだ。
毎日荷物を奪いに行く訳じゃねぇ。食材は森の獣や魔物で事足りる。
生活物資が無くなる前に奪いに行くという、気ままな日々を過ごした。
両親と上の兄貴二人は普通の鬼族、いわゆる『大鬼族』だ。
「普通に産んでやれなくてすまねぇな……」
母ちゃんはオラァ達を見ると、いつもそう言って目を伏せた。オラァ達が『小鬼族』だと差別を受け、陰湿な虐めにあっていたからだ。
「何が大鬼族だ、ウスノロの木偶の坊なだけだろ。ウチらの何があいつらより劣ってるってんだ!」
姉ちゃんのこの言葉は強がりじゃねぇ。実際、オラァ達が大鬼族に劣るなんて事は一つもねぇからだ。デケェ図体は力はあるかもしれねぇが、隙だらけだ。
実際姉ちゃんはとんでもなく強かった。差別してくる奴がいれば、そいつを喧嘩でボコボコにして証明して見せた。そうやって十数人の小鬼族をまとめ上げ、差別や虐めを受けないように群れて行動するようになった。
姉ちゃんとオラァは、小鬼族の中でも一目置かれる戦士だった。
オラァ達には強さの秘密があった。
「爺さん! 遊びに来たぞ!」
「おぉ、お前らか。最近よく来るな。ワシは大歓迎じゃが」
「どこにも居場所なんて無いしな。ここが一番落ち着くよ、ここに住みたいくらいだ」
「ワシは構わんぞ? お前らさえ良ければな。お前らにとっちゃ、ソウジャは住みにくかろう」
鬼国ソウジャから北に二日ほどの山の麓に住んでいる、ベンケイ爺さんの屋敷。鬼王と並び称された程の戦士だったらしいが、何があったかこんな所に数人で住んでいた。
腕試しに皆で魔物を討伐しようと山に入った時、偶然この屋敷を見つけたんだ。
薙刀術の創始者であるベンケイ爺さんに弟子入りし、オラァ達はメキメキと実力をつけた。薙刀術が上達するに連れて、闘気の練度が格段に上がっていくのが分かった。
しょっちゅう遊びに来ては、薙刀術の指南を受ける。これがオラァ達の強さの秘密だ。
「お前らの武器も強化する頃じゃな。ワシが打った薙刀をやろう。さすがに特級品や一級品はやれんがな」
「いいのか爺さん!? 十四人もいるんだぞ!?」
「あぁ、構わん。そこまでいい品じゃぁないからな」
爺さんはそう言ったが、それでも二級品の下位程の業物だ。オラァ達には勿体ないくれぇの品だ。嬉しくて、オラァ達はますます薙刀術に打ち込んだ。
更に実力も付いてきたある日。
「なぁみんな、人族の世に行ってみないか?」
姉ちゃんが言い出した。
「人族の世に行く者も多いしな。オラァは構わねぇ」
姉ちゃんとオラァの他、十二人の仲間達も賛成した。ここにいても未来はねぇ。
「そうか、寂しくなるのぉ。戻った時はまた遊びに来なさい 」
「あぁ、その時はここに住ませてくれよ」
「うむ、待っとるぞ」
鬼国に戻り荷物をまとめ、両親にすら告げずに国を出た。
手元にあるのは大まかな地図だけ。慣れない野営に四苦八苦しながら、オラァ達は西の方にあるというウェザブール王都を目指した。日が経つにつれ、仲間の中で自然と役割の分担ができ、順調に旅を進めることが出来るようになった。
国を出て一ヶ月程が経った頃だ。
「やっと着いたな……多分あれがウェザブール王都だな。凄いな……なんだあの高い壁は」
「門に凄ぇ列が出来てるな。あれに並ぶのか?」
「並ぶしかねぇ様だぞ? 通行手形の類いなんて持ってねぇしな」
どれくらい並んだだろうか。やっと門番の前まで来た時には、日が傾きかけていた。
「鬼族か、狩猟者カードは持ってないのか?」
「はんたーかーど……? なんだそれは?」
「基本的に他種族を王都に入れることは出来ん。他の町で狩猟者ランクを上げて来ることだな。我が国で身分を証明するにはそれが一番手っ取り早い」
門番は冷たく言い放つと、親指と人差指の先を合わせた。
「あとは……分かるよな?」
金か。どこの世界にも汚い奴がいるもんだ。けどオラァ達はこの国の金なんて持ってねぇ。
「これだけ並んだのに入れないだって? ウチらが中で暴れるとでも言うのか?」
「それが分からんから検問があるんだろ。金がないなら出直せ」
姉ちゃんが食って掛かろうとするのを、オラァは慌てて止めた。
「だめだ姉ちゃん、ここで問題を起こすのは不味い」
「クッソ……行くよお前ら!」
オラァ達は諦めて列を後にした。屈辱で腹の中が煮えくり返りそうだ。
「何処も見た目で判断する世の中なんだな。身分証明があったらどうだってんだ、ウチら自身は何も変わらないじゃないか。そうだろ?」
「あぁ、全くだ」
姉ちゃんの目つきが変わった。
「……よし、ウチらは人族の世界で山賊として生きるよ。真っ当に生きられないって言うなら、こうなったらとことん悪党になってやろうじゃないか」
「面白そうじゃねぇか、賛成だ!」
オラァ達は血の気が多い。
ベンケイ爺さんの薙刀指南を受けて落ち着いてはいたが、元々荒くれ者の集まりだ。
そうなれば住処を探さなければならない。
王都から離れて森に入り散策していると、開けた場所に建物があるのを見つけた。
「へぇ、こんな所に良い住処があるじゃないか。十四人で入っても問題ないね。横に川が流れてる、最高じゃないか」
おそらく人族の小規模な演習場か何かだろう。だが、オラァ達には関係の無い話だ。奪った建物、山賊の住処にはちょうどいい。
奪った根城を守る者を数人残し、十人近くで行動する。街道を見張っていれば商人が荷物を運んで来る。護衛の奴らがいるが、オラァ達は人族達に比べればバカみてぇに強い。
「おい、今日は酒が手に入ったぞ!」
「酒なんて久しぶりだね! 今日は酒盛りするよ!」
酒が手に入った日は遅くまで飲んで騒いだ。
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番外編①~2020.03.11 終了
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