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第五章 四種族対立編
指導の副産物
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戦いが終わると、三人はすぐにロックリザードの解体作業に入った。
オレたちはアドバイスこそするが、手は出さない。彼女たちの自立を促すためだ。
「じゃあ、僕たちはお昼の準備をしてくるね。ユーゴ、一人で大丈夫だよね?」
「あぁ、オレ一人で見ておくよ。よろしく」
トーマスたちが調理の準備に向かったのを見送り、オレはロックリザードの死骸に目をやった。
特に、宙に飛んだ首の切断面を見る。
恐ろしく鋭利だ。硬質な鱗と筋肉、骨までが一息に断ち切られている。
ジュリアは『仙神剣術』と言っていた。風の自然エネルギーを使って剣速を上げ、斬れ味を増幅させたという解釈が適切だろうか。
三人娘は「気持ち悪い~」とキャーキャー言いながらも、手際よく体皮を剥ぎ、魔石を取り出していく。
あらかた処理を終えると、残った死骸の処分だ。
「じゃあ、最後に火葬しようか」
ニナが前に出る。
『火遁 焔!』
放たれた炎が死骸を包むが、巨体を焼き尽くすには火力が足りず、黒焦げになった状態で燃え残ってしまった。
「んー、もう少し威力が足りないか。オレがやるよ」
オレは掌をかざす。
『火遁 炎葬』
ゴォォォォォッ!
紅蓮の炎が渦を巻き、ロックリザードを一瞬で灰に変えた。灰の中から、燃え残った小さい魔晶石と魔石が数個転がり出る。
「やっぱすごいねユーゴ君……レベルが違うよ」
エマが感嘆の声を漏らす。
オレは剥ぎ取った体皮と魔晶石を異空間にしまい込んだ。
「さぁ、皆が準備してくれてる。ランチにしようか!」
さて、トーマスたちの料理は出来てるかな。
皆の魔力を辿り、オレたちは浮遊術でふわりと空へ舞い上がった。
緩やかに流れる小川のほとりで、香ばしい炊煙が上がっていた。
着地すると、トーマスが笑顔で迎えてくれた。
「おかえり。あとは焼くだけだよ。もう少し待っててね」
「スレイプニルとアルミラージがちょうど居たからな。新鮮な馬の生レバーが食えるぞ!」
ジュリアが肉塊を掲げる。
「うぇ……生レバー、不味いんだよなぁ……」
「ロンにはまだ分からない大人の味だね!」
「ユーゴ、馬肉とレバーを切り分けてくれる?」
「あぁ、分かった」
オレはナイフを取り出し、手際よく肉をスライスしていく。
その間にも、食欲をそそる甘辛いタレの焼ける匂いが漂ってきた。この匂いは照り焼きか。ウサギ肉の照り焼きは初めてだ。
皆がテーブルクロスを敷き、食器を並べる。
円形に座った皆の真ん中に、山盛りの大皿が運ばれた。馬刺しと生レバーも一緒に並べる。
「アルミラージの食感は鶏肉に近いけど、弾力がありながら柔らかくて癖がないんだ。今回は照り焼きにしてみたよ。三人は初めて食べる味じゃないかな?」
「生レバーは塩とごま油をかけて食べてくれ。馬刺しもあるぞ」
エマたちは並んだ魔物料理に興味津々だ。
「いただきまーす!」
アルミラージの照り焼きに一斉にフォークが伸びる。オレも一切れ口に運ぶ。
美味い。確かに弾力があるのに柔らかく、噛むほどに旨味が溢れ出す。甘辛いタレとの相性も抜群だ。
「美味しー! 何これ!」
「美味いよな! アタシも大好きなんだよ、テリヤキ」
「馬のお肉を生で食べるなんて初めてだなぁ……あ、すごく美味しい! 甘い!」
大好評だ。
トーマスがニコニコして皆の食べっぷりを見ている。これが作り手としての醍醐味だ。
満腹になるまで食べ、食後の余韻に浸る。
「はぁ……お腹いっぱい……幸せ」
「ホント、美味しかったー! 私達も魔物の捌き方教えてもらわないとね!」
「ロンの腕も上がってきたしな、教えてやってくれ」
「もちろん! 俺もまだまだ練習が必要だからね」
オレは湯を沸かし、食後の紅茶を淹れて皆に配った。
「至れり尽くせりだね……ありがとう」
「オレ達は見てただけだからな。野営も楽しいだろ?」
「うん、ハマりそうだね!」
リラックスした雰囲気の中、話は自然と三人のランクアップ試験の反省会になった。
「私が不用意に前に出て、エマを危険に晒しかけたね……ごめんよ」
ジェニーが反省の弁を述べる。
「いや、結果的にニナちゃんが気を引けたから問題ないよ。あれは仕方ない、その為のパーティー連携だからね。ジェニーちゃんはいい盾士だよ。僕なんかAランク試験の時は傷だらけだったからね……」
「うんうん、ニナのサポート良かったよ! あのタイミングは見事だった」
「ホントに? ありがとう!」
皆で称え合う。いいチームだ。
「うん、良いパーティーだ。それにエマ、あの硬いロックリザードの首を、あんなに綺麗に斬り飛ばすとはな……刀に練気と一緒に風エネルギーを纏ってたの、自分で気付いてる?」
「え……そんな事してた?」
エマがきょとんとする。やっぱり無意識らしい。
「浮遊術で風エネルギーを練気に混ぜてたから、その感覚のまま刀に纏ったんじゃないか? それが結果的にあの鋭い斬撃に繋がったんだよ。オレ達もやった事ない方法だ。ジュリアは『仙神剣術』だって言ってたな?」
オレが顔を向けると、ジュリアが少しバツが悪そうに頭をかいた。
「あぁ……お前らに謝らないといけないな……」
謝る? ジュリアなんかしたっけ……?
「アタシの剣は独学だって話をした事あるよな? アタシの師匠は回復術師だから、回復術と補助術、仙術を優先的に叩き込まれたんだ。でも、お祖父ちゃん達が扱ってた『仙神剣術』に憧れて、見様見真似で剣を振ってたんだ。結果、褒められたからアタシは仙神剣術を扱えてたんだと思ってた」
何の話だ……?
「えーっと……何を謝るんだ……?」
「仙神剣術は、気力に風エネルギーを混ぜて剣に纏うんだが……アタシの得物はツヴァイハンダーだろ? 重いんだよ。アタシはあの重い剣に浮力を持たせて、軽く振る為だけに仙神剣術を使ってたんだ。だから『刀には必要ない技術』だってお前らに言ったんだ」
「……あぁ、言ってた気がするな」
刀は軽いから、浮力など必要ないと。
「アタシは仙神剣術の本質を見誤ってた。エマの剣を見て分かったよ。仙神剣術の本質は、重量軽減じゃない。風エネルギーを付与した『剣速』そのものにあったんだ」
目から鱗が落ちる思いだ。
オレも風遁を剣に纏ってみた事はあった。でも、それは魔法剣のように、風の刃を飛ばしたり属性ダメージを与えるものとして扱おうとした。風魔力そのもので剣速を上げるという発想はなかった。
「まぁ、あの後すぐに魔法剣技に移行したからな。扱う事もなかっただろ?」
「あぁ、アタシ達はそうだろうな。でも、ロンやエマ達は違うだろ?」
ハッとした。
彼らの急成長ぶりで忘れていたが、この四人は純粋な人族だ。
気力は練気術でかなり節約できるけど、魔力の量に関してはそうはいかない。その点で言えば、魔力を消費する遁術は人族に適さない。ましてや、大量の魔力を使用する魔法剣技なんて、乱発できるはずがないんだ。
オレは、ロンへの指導を間違ってたのか……。
彼らの身の丈に合わない、負担の大きい技術を押し付けていたのかもしれない。
「そうだな、オレも四人に謝る必要があるな……」
「え、ちょっと……二人とも深刻な顔して、話が読めないんだけど……?」
エマたちが困惑している。
んー、どう言えばいいかな……。
考えをまとめていると、それを察したのかジュリアが口を開いた。
「アタシが説明しようか。……まず、アタシは仙族だよ」
「えっ……?」
「おい! 大丈夫なのか……?」
突然のカミングアウトにオレが慌てる。
「こいつ等なら大丈夫だろ。他言するような事でもないし、バレても特に問題ない」
ジュリアはあっけらかんとしている。
ロンもエマたちも、あまりの衝撃に言葉を失い、ポカンと口を開けている。
ようやくエマが絞り出すように声を上げた。
「仙族って、あの始祖四王の……?」
「あぁ、そうだ。仙王はアタシのお祖父ちゃんだ」
四人の目と口がさらに大きく見開かれた。顎が外れそうだ。
「そうか、それで仙術なのか……そういう名前の術なのかってくらいで、深く考えてなかったね……」
エマが納得したように頷く。
「トーマスの眼は緑色だろ? 『昇化』って言うんだ。人族が昇化すると、魔力と気力の量が跳ね上がる。寿命もな。オレの眼も説明が難しいけど、同じようなもんだ」
「オリバーさんもそうだね」
オレも補足する。
「あぁ、だからオレ達は人族より遥かに魔力が多いんだ。ロックリザードを火葬した時、ニナちゃんの火遁じゃ燃え残っただろ? 術の精度も勿論あるけど、そもそも人族は一度に込める魔力量に限界があるんだ」
ジュリアが真剣な表情で続ける。
「何が言いたいかっていうとだな、昨日ロンが扱った魔法剣技は、人族が乱発するのは難しいんだ。扱えるに越したことはないが、基本は『仙神剣術』のように、燃費のいい自然の風エネルギーを利用して剣速を上げる方法がいいと思うんだ。あとは遁術にも自然エネルギーを込めれば、魔力消費を抑えられて効果も高い」
彼女たちの将来を考えれば、これは重要な転換点だ。
もっとも、オレたち自身が仙神剣術を正しく扱った事がない。実際にやってみない事には、無責任な事は言えない。
「ちょっとオレたちも、自然エネルギーを練気と一緒に纏ってみようか。まずは片付けよう」
オレは水魔法で焚き火を消し、小川で食器や調理器具を洗って異空間収納にしまった。
空間に入れておけば勝手に乾くうえに、雑菌の繁殖も無いから便利だ。
さぁ、新たな特訓の始まりだ。
オレたちはアドバイスこそするが、手は出さない。彼女たちの自立を促すためだ。
「じゃあ、僕たちはお昼の準備をしてくるね。ユーゴ、一人で大丈夫だよね?」
「あぁ、オレ一人で見ておくよ。よろしく」
トーマスたちが調理の準備に向かったのを見送り、オレはロックリザードの死骸に目をやった。
特に、宙に飛んだ首の切断面を見る。
恐ろしく鋭利だ。硬質な鱗と筋肉、骨までが一息に断ち切られている。
ジュリアは『仙神剣術』と言っていた。風の自然エネルギーを使って剣速を上げ、斬れ味を増幅させたという解釈が適切だろうか。
三人娘は「気持ち悪い~」とキャーキャー言いながらも、手際よく体皮を剥ぎ、魔石を取り出していく。
あらかた処理を終えると、残った死骸の処分だ。
「じゃあ、最後に火葬しようか」
ニナが前に出る。
『火遁 焔!』
放たれた炎が死骸を包むが、巨体を焼き尽くすには火力が足りず、黒焦げになった状態で燃え残ってしまった。
「んー、もう少し威力が足りないか。オレがやるよ」
オレは掌をかざす。
『火遁 炎葬』
ゴォォォォォッ!
紅蓮の炎が渦を巻き、ロックリザードを一瞬で灰に変えた。灰の中から、燃え残った小さい魔晶石と魔石が数個転がり出る。
「やっぱすごいねユーゴ君……レベルが違うよ」
エマが感嘆の声を漏らす。
オレは剥ぎ取った体皮と魔晶石を異空間にしまい込んだ。
「さぁ、皆が準備してくれてる。ランチにしようか!」
さて、トーマスたちの料理は出来てるかな。
皆の魔力を辿り、オレたちは浮遊術でふわりと空へ舞い上がった。
緩やかに流れる小川のほとりで、香ばしい炊煙が上がっていた。
着地すると、トーマスが笑顔で迎えてくれた。
「おかえり。あとは焼くだけだよ。もう少し待っててね」
「スレイプニルとアルミラージがちょうど居たからな。新鮮な馬の生レバーが食えるぞ!」
ジュリアが肉塊を掲げる。
「うぇ……生レバー、不味いんだよなぁ……」
「ロンにはまだ分からない大人の味だね!」
「ユーゴ、馬肉とレバーを切り分けてくれる?」
「あぁ、分かった」
オレはナイフを取り出し、手際よく肉をスライスしていく。
その間にも、食欲をそそる甘辛いタレの焼ける匂いが漂ってきた。この匂いは照り焼きか。ウサギ肉の照り焼きは初めてだ。
皆がテーブルクロスを敷き、食器を並べる。
円形に座った皆の真ん中に、山盛りの大皿が運ばれた。馬刺しと生レバーも一緒に並べる。
「アルミラージの食感は鶏肉に近いけど、弾力がありながら柔らかくて癖がないんだ。今回は照り焼きにしてみたよ。三人は初めて食べる味じゃないかな?」
「生レバーは塩とごま油をかけて食べてくれ。馬刺しもあるぞ」
エマたちは並んだ魔物料理に興味津々だ。
「いただきまーす!」
アルミラージの照り焼きに一斉にフォークが伸びる。オレも一切れ口に運ぶ。
美味い。確かに弾力があるのに柔らかく、噛むほどに旨味が溢れ出す。甘辛いタレとの相性も抜群だ。
「美味しー! 何これ!」
「美味いよな! アタシも大好きなんだよ、テリヤキ」
「馬のお肉を生で食べるなんて初めてだなぁ……あ、すごく美味しい! 甘い!」
大好評だ。
トーマスがニコニコして皆の食べっぷりを見ている。これが作り手としての醍醐味だ。
満腹になるまで食べ、食後の余韻に浸る。
「はぁ……お腹いっぱい……幸せ」
「ホント、美味しかったー! 私達も魔物の捌き方教えてもらわないとね!」
「ロンの腕も上がってきたしな、教えてやってくれ」
「もちろん! 俺もまだまだ練習が必要だからね」
オレは湯を沸かし、食後の紅茶を淹れて皆に配った。
「至れり尽くせりだね……ありがとう」
「オレ達は見てただけだからな。野営も楽しいだろ?」
「うん、ハマりそうだね!」
リラックスした雰囲気の中、話は自然と三人のランクアップ試験の反省会になった。
「私が不用意に前に出て、エマを危険に晒しかけたね……ごめんよ」
ジェニーが反省の弁を述べる。
「いや、結果的にニナちゃんが気を引けたから問題ないよ。あれは仕方ない、その為のパーティー連携だからね。ジェニーちゃんはいい盾士だよ。僕なんかAランク試験の時は傷だらけだったからね……」
「うんうん、ニナのサポート良かったよ! あのタイミングは見事だった」
「ホントに? ありがとう!」
皆で称え合う。いいチームだ。
「うん、良いパーティーだ。それにエマ、あの硬いロックリザードの首を、あんなに綺麗に斬り飛ばすとはな……刀に練気と一緒に風エネルギーを纏ってたの、自分で気付いてる?」
「え……そんな事してた?」
エマがきょとんとする。やっぱり無意識らしい。
「浮遊術で風エネルギーを練気に混ぜてたから、その感覚のまま刀に纏ったんじゃないか? それが結果的にあの鋭い斬撃に繋がったんだよ。オレ達もやった事ない方法だ。ジュリアは『仙神剣術』だって言ってたな?」
オレが顔を向けると、ジュリアが少しバツが悪そうに頭をかいた。
「あぁ……お前らに謝らないといけないな……」
謝る? ジュリアなんかしたっけ……?
「アタシの剣は独学だって話をした事あるよな? アタシの師匠は回復術師だから、回復術と補助術、仙術を優先的に叩き込まれたんだ。でも、お祖父ちゃん達が扱ってた『仙神剣術』に憧れて、見様見真似で剣を振ってたんだ。結果、褒められたからアタシは仙神剣術を扱えてたんだと思ってた」
何の話だ……?
「えーっと……何を謝るんだ……?」
「仙神剣術は、気力に風エネルギーを混ぜて剣に纏うんだが……アタシの得物はツヴァイハンダーだろ? 重いんだよ。アタシはあの重い剣に浮力を持たせて、軽く振る為だけに仙神剣術を使ってたんだ。だから『刀には必要ない技術』だってお前らに言ったんだ」
「……あぁ、言ってた気がするな」
刀は軽いから、浮力など必要ないと。
「アタシは仙神剣術の本質を見誤ってた。エマの剣を見て分かったよ。仙神剣術の本質は、重量軽減じゃない。風エネルギーを付与した『剣速』そのものにあったんだ」
目から鱗が落ちる思いだ。
オレも風遁を剣に纏ってみた事はあった。でも、それは魔法剣のように、風の刃を飛ばしたり属性ダメージを与えるものとして扱おうとした。風魔力そのもので剣速を上げるという発想はなかった。
「まぁ、あの後すぐに魔法剣技に移行したからな。扱う事もなかっただろ?」
「あぁ、アタシ達はそうだろうな。でも、ロンやエマ達は違うだろ?」
ハッとした。
彼らの急成長ぶりで忘れていたが、この四人は純粋な人族だ。
気力は練気術でかなり節約できるけど、魔力の量に関してはそうはいかない。その点で言えば、魔力を消費する遁術は人族に適さない。ましてや、大量の魔力を使用する魔法剣技なんて、乱発できるはずがないんだ。
オレは、ロンへの指導を間違ってたのか……。
彼らの身の丈に合わない、負担の大きい技術を押し付けていたのかもしれない。
「そうだな、オレも四人に謝る必要があるな……」
「え、ちょっと……二人とも深刻な顔して、話が読めないんだけど……?」
エマたちが困惑している。
んー、どう言えばいいかな……。
考えをまとめていると、それを察したのかジュリアが口を開いた。
「アタシが説明しようか。……まず、アタシは仙族だよ」
「えっ……?」
「おい! 大丈夫なのか……?」
突然のカミングアウトにオレが慌てる。
「こいつ等なら大丈夫だろ。他言するような事でもないし、バレても特に問題ない」
ジュリアはあっけらかんとしている。
ロンもエマたちも、あまりの衝撃に言葉を失い、ポカンと口を開けている。
ようやくエマが絞り出すように声を上げた。
「仙族って、あの始祖四王の……?」
「あぁ、そうだ。仙王はアタシのお祖父ちゃんだ」
四人の目と口がさらに大きく見開かれた。顎が外れそうだ。
「そうか、それで仙術なのか……そういう名前の術なのかってくらいで、深く考えてなかったね……」
エマが納得したように頷く。
「トーマスの眼は緑色だろ? 『昇化』って言うんだ。人族が昇化すると、魔力と気力の量が跳ね上がる。寿命もな。オレの眼も説明が難しいけど、同じようなもんだ」
「オリバーさんもそうだね」
オレも補足する。
「あぁ、だからオレ達は人族より遥かに魔力が多いんだ。ロックリザードを火葬した時、ニナちゃんの火遁じゃ燃え残っただろ? 術の精度も勿論あるけど、そもそも人族は一度に込める魔力量に限界があるんだ」
ジュリアが真剣な表情で続ける。
「何が言いたいかっていうとだな、昨日ロンが扱った魔法剣技は、人族が乱発するのは難しいんだ。扱えるに越したことはないが、基本は『仙神剣術』のように、燃費のいい自然の風エネルギーを利用して剣速を上げる方法がいいと思うんだ。あとは遁術にも自然エネルギーを込めれば、魔力消費を抑えられて効果も高い」
彼女たちの将来を考えれば、これは重要な転換点だ。
もっとも、オレたち自身が仙神剣術を正しく扱った事がない。実際にやってみない事には、無責任な事は言えない。
「ちょっとオレたちも、自然エネルギーを練気と一緒に纏ってみようか。まずは片付けよう」
オレは水魔法で焚き火を消し、小川で食器や調理器具を洗って異空間収納にしまった。
空間に入れておけば勝手に乾くうえに、雑菌の繁殖も無いから便利だ。
さぁ、新たな特訓の始まりだ。
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