《ユグシルト・オンライン》最強データから始める俺の異世界最強伝説!!──ではなく、Lv255の赤ちゃんに転生した俺の異世界物語

散歩道 猫ノ子

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ススム編、第一章。《Lv255の赤ちゃん爆誕》

02《ねこのこ》

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さわやかな風とクスノキの葉擦れの音がする。

先程のうざい太陽が嘘のように幕を閉じ、空は曇り、涼しい風が汗をかいた身体を優しく癒してくれている。

プランプランと短い足が、ゲーム屋の前にある自販機横のベンチの下を行ったり来たり。

「にゅ!! ……まずい……」

泣きそうなエメラルド色した瞳を携える少女の顔は、まるで異世界から飛び出てきたように──

「って……まじに出てきたよ……」
驚きを心に抑えきれずつい声に出る俺なのだが、そんなの知ったことではない、隣にいるまさにゲーム世界の美少女。
じーっとショックそうにカフェオレを見ている。

「こっち飲むか?」

俺はそう言ってねこのこと名乗る美少女に自分用に買ったフルーツオレを渡してみた。

「にゅ……! いいのか!」

……美少女がまずい、とか、良いのか? って言葉はどうなんだ? ……ああ、そういや少しおっさん臭い喋り口調の交じった美少女ってのが設定だっけ?
もちろん自分のしたいゲームだからな、勇者をサポートする役であり、ヒロインに近い存在であるねこのこの情報はしっかり調べさせてもらってる。

「ああ、こっちのが甘くて美味しいし子供向けだからな」

「……甘い……美味しい……じゅるり」

じゅるりは口に出す言葉ではないが、これも設定なのか?

カチャッ!

俺はジュースの蓋を開け、ねこのこに手渡した。

コクッコクッコクッ

小さな喉から音がするほど急いで飲んでいる。……喉乾いてたなら……絶対カフェオレは向いてないよな……
やっぱ俺の予想通り、あの絵に釣られて買ったんだな。
……あれか、猫の餌には猫の絵が書かれてるし、自分の絵が書かれてるから自分専用って思って買ったのか?

動物の思考? よくわからんが……どちらかと言えば、ゲーム内の美少女が隣にいる事の方が意味わからんからな、なんでもいいと思う。

「ぶはぁ~」……ここでもオッサンぽさ発動なのね……でも、美少女の場合、おっさん臭いことしても美少女ってなるから不思議なもんだよな。

「無くなた」

「そか」

「足りない……」

「あっうん……」







ガコンッ、カチャッ!、コクッコクッコクッ

2本目……余っ程喉乾いてたのね……

「うまかた!」

「あっうん、それはお粗末さまです?」

それにしても本当に不思議な感じだよな。
まぁでも、流石にこれを本物と思う程、俺もボケてはいないんだけどさ。
……たぶんあれだ、この子はねこのこのデザインになった女の子、もしくはただ似てて自分をそうだと言い張る女の子ってとこなんだろう、子供にはよくあるだろ? 可愛いキャラやかっこいいキャラになりきるあれ、俺はまんまとそれに乗せられジュース2本買わされた残念な大人って訳だな。

「ふぅ、じゃあ俺はそろそろ帰るな、お前は余りねこのこの振りして大人をからかったりしたらダメだぞ? 変なおっさんにでも当たったら危ないからな」
そろそろ俺も退散って事だな。なんせ今の状況って簡潔にいえば、知らないおじさんが美少女捕まえて、ジュース飲ませてるって状況じゃん。

はっきりいって、この子が仮に何かの拍子に泣き出したとしよう。俺ってば何もしてなくても有無を言わさずに牢屋の中だろう、触らぬロリに祟りなしってな。

「にゅ?」俺の言葉に首を傾げキョトンとしてる女の子。

俺はベンチから立ち上がる。

「ねね」

「ん?」

「……ねこのこ、みんな違うって言う」

「そりゃそうだろ、猫耳とかしっぽがあるならまだしも、ただねこのこに似てるだけの女の子が、ねこのこなわけ無いからな」

と、まぁ俺は最もなことを言ったつもりだったんだがな。
次の瞬間には、俺はこいつをねこのこと認識してしまう事となる

「耳としっぽ、これ?」

そういって帽子を外すとわさっと水色の長い髪が腰元までパサっと流れる様に落ちる。
そして……ぴくぴくっと帽子が暑苦しかったのか、解放されたことでピーンとたったのは猫の耳。
当然俺は完全に固まっている。

そんな俺の前でひょいっと軽く立ち上がり、後ろを向いた美少女、次はローブをすっと捲り俺にみせてきた。

「……しっぽ」
偽物だと疑いようがない。
なんせ美少女は両手でローブを持ち上げてるんだから、あちらこちらに動くしっぽ……これはまじに本物としか──

「ママーあれ、なにしてるのぉー?」
「シッ! 行くわよ!」「どーしてなのー!」

「もしもし……警察ですか?」

「あれやばくね?」「うっわー最低じゃん」

ひそひそ……ひそひそ……なんか色々聞こえて……

「って、やめ!!」

「にゅ!?」

獣人ぽくて、おっさん口調あって、美少女で、無垢って設定盛りすぎだろ!!! 俺が捕まる!!

ガシッとねこのこの手を掴み、とりあえずここはやばいと判断した俺は帰路にある公園に向かった。

♢

「……痛い……」

いや、何もしてないよ俺……手を掴んで連れてきただけ……でも女の子の手を繋ぐなんて、小学生以来した覚えないからな。
力加減がわからん可哀想な奴と蔑まないで頂けるとありがたい。

あれ?

そういやこれ、軽く誘拐……

「ごめん!! わざとじゃないんだ!!」
とりあえず全力で謝罪、マジで泣かれたら洒落にならん!

「にゅ? どしたの?」
こいつの脳みそあれか? 2秒前のこと忘れんのか?

手をさすさすしながら俺の方を見てる帽子が脱げた美少女の頭。
猫耳が確かにある。ぴくっぴくっと動いている。
風が吹くとこそばかったのか、ぴくぴくぴくっと動き、腕を擦るついでか、痛む腕を使い猫かきをしている。

……ああ、これは紛れもなくマジモンだよ、どうすんだよこれ

警察に連れていく? ……なんか変な機関に連れて行かれて色々調べられる可哀想な絵が思い浮かぶ。

ほって帰る? ユグシルトのファンとして、なんだかそれはダメな気がするというか、人としても駄目な気がする。

家に……それこそアウトだろ。

ここはあれだな、シンプルイズベスト。

「なぁ、両親とかと来たのか?」
単刀直入に親元に返すことにしようそうしよう。

と、聞いた俺が馬鹿だった。

「にゅ?」何故か俺の方を指さしている。

「……ん?」俺もとりあえず聞き返すように自信に指を指してみる。

「うにゅ」コクっと頷く美少女さん。

「……まじかよ……」

そういや思い出したわ、ユグシルトにおけるねこのこのもうひとつの設定。
優しくしてくれた人間を親とし、どこまでも懐いて付いてくる。

……そうそう、しかもねこのこってのは、データ毎に毛の色とか違って可愛いんだよなぁ~それが人気を博して、前作あまり売れてなかったのに今作で爆発的な人気を……でも、この子は表紙になってるねこのこと同じ色してるな、確か同色ってのはかなりレアだったような──

「って、そうじゃない。」なんか驚きすぎてむしろ冷静なったわ。

つまりあれだなこれ。

「すりすり、ちちの匂い、臭いけど好き」

この、ど正直に失礼なこと言いながら俺に突然頬ずりし懐いてる、俺はこの美少女の親になったって訳だな。

「ってなんでやねん!!」

「すりすり、臭い、けど良い」

全く聞いてないしこいつ……

美少女のせいで悪い気しないのが、無性に腹立たしい……

「よしよし」「ふにゅ~」

ごめんやっぱ、美少女が正解だわ。

撫でるとしっぽをフリフリし、なんとも言えぬ顔をする美少女、誰が嫌だなって思うのだろうか……


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