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ススム編、第一章。《Lv255の赤ちゃん爆誕》
18《プレゼント》
しおりを挟むこの人達は呑気だなーって思う。
「いい天気ね~」
「もぐもぐ、もぐもぐ、うまま」
呑気というか……ねこのこ、俺が止めなかったらいつまで食べてんだよ、腹壊しても知らないからな!!
母さんは眠る俺を膝枕し、ねこのこは横で俺に触りササミグミを取り出しては食べてるんだが……魔力切れって実は結構危険な状態なんだ、こいつらにその知識はないってのか……?
まぁ俺ってば、転生者だからなのか? 元々魔力のない肉体だっからなのかは分からないが、魔力が切れても寝たら治るから大丈夫っちゃ大丈夫なんだけどさ……
これ、俺しか知らないはずなのだが……なぜこの2人はこうも能天気なのか……まじで知らない説ありそうだわ……
とはいえ、もうそろそろ目が覚める時間だな。
最近自分の目覚めるタイミングがわかってきた気がするよ。
「ふぁ~……」
ふむ、なんか……毎度のことだけど、寝ても起きても同じ景色を見てるせいで……寝た感じがしなくて起きたら身体がだるいな。
「ちち、起きた、もぐもぐ」
いや、起きた。じゃねぇ……せめてその手に持ってる、勝手に取って食ってるもん隠そうか?
「ふふ、おはようススム、よく眠れた?」
あんたはあんたで、親なら魔力切れの心配ぐらいしようか? 普通の子供なら魔力が9割を切るだけで、死にかけるのはこの世界では常識なんだろ?
「はぁ……」なんかこの2人にはため息しかでないわ。
「ちち」「ん? どうした?」「ため息零すと幸せ逃げるぞ」
ため息の原因がなんか言ってるんだが、いっそ魔法で吹っ飛ばしてやろうか……
いや、やめておこう。下手し俺が吹っ飛ばされる。
水色の髪、緑色の瞳、基本無表情で……かなり大人しそうな美少女。
ほんと……こいつはもったいない要素の塊でしかないな。
「さて」俺は母さんの膝から起き上がる。
《ウィンドウェア》魔力は充分回復したので、ひゅーんと飛んで壊れたゴーレムの前に移動する。
「えぇと確か」
この潰れたゴーレムにこれを掛けたらいいんだよな。
産まれた時から俺のアイテム欄には、ゲームデータと同じアイテムがぎっしりつまってるままだからな。
その中の《生命のコア》を選択し取り出した。
「本当ならイベントミッションをこなして手に入れるんだが……」少し狡してる感あるが、そもそもレベル255スタートの時点で充分ずるしてるしな、今更だろ。
ゴーレムってのは基本的にコアが人間で言うところの心臓と脳の役割を担っている。
なので……
俺は目の前に落ちているゴーレムの飛散した身体に生命のコアをポイッと投げた。
とても静かな時間。
………………トクっ
小さな鼓動がなる、そして。
ドクンッ!! 生命のコアを中心に、飛散したゴーレムの肉体は吸い込まれるように集まり組み上がった。
「ふむ、やっぱ同じか」
それにしてもこの世界……ゲームを何度もやりこんだ俺だから、何をしたらいいかわかるものだが……ストーリーをスキップする勢だったりしたら、絶対わからないよなこれ……
ゴーレムは俺の前にひざまつく。
ーー《ゴーレム》が領地に追加されました。
上手くいったようだな。
本当なら……このゴーレムが居ないと、最初の頃って建物が建てられないから領地が機能しないんだよな。
確か、うんあったな。
メニュー画面の領地の所、ゴーレムの機能が解放されていた。
建設等もこれで出来るようになった訳だが……ふむ。
「ススム~大丈夫~」
♢
なんか抱っこされてる俺。
「ススム、あまり心配かけないでよね」
まぁそりゃそうなるよな。
親が子を心配するのは当然で……今回はちょっと調子に乗ってしまったとこがあるし、ゴーレムが甦れば心配するのも当然か……次回からは心配かけない戦いを心掛けることにするよ。
「はは、ちち、なかなか死なない」
……こいつはむしろもう少し心配しろ……ていうか、その言い方だと死んで欲しいようにも聞こえるぞ……
「ふふ、ねこのこちゃんありがとうね」
「うむ!」……お前、全然フォローは出来てない自覚をもてよ。
まぁとりあえず今はいいとするか、母さんに心配かけたのは俺だしな、ねこのこを責めるのは間違ってると思う。
仕方ない、まだまだ先のことだと考えてたが……母さんに心配かけてしまったし、1つ……プレゼントでもしてやるか。
「母さん、そういえば……のびのび出来る別荘が欲しいって言ってたよね」
「……? 言ってたけど、それがどうしたの?」
この世界でも、別荘って言うのは庶民にとって夢のまた夢、母さんからしたら叶う訳のない現実離れした話なんだ。
そもそもライフリングを手に入れるのは、聖級以上の魔法適正者、もしくは上位数名のみの冒険者、王族は強さとか関係なく申請したら貰えるらしいが……
王族はともかくとして、貧民層、庶民、平民にとって、ライフリング自体手に入れられるのは稀って話しなんだよな。
だからこそ、これはまぁ……産んでもらって、更には育ててもらい、愛情までくれてる……そんな母に少しぐらいは恩返しにはなるだろう。
はてなマークを浮かべる母の腕で、俺はメニュー画面を開く。
先程領地が完成した時、領地メニューを見て気付いたんだよな。
俺は転生した際、ユグシルト・オンラインのデータを持って転生している。
それは取得魔法や職業レベルだけの事ではない、アイテムもしっかり引き継がれていたんだ。
そして、領地……どうやら、ここは引き継がれてないんだなって初め見た時思ったんだが、領地メニューの収納を見た時にわかったよ。
「んーこの辺かな」
領地メニューの地図にポチッとポイントを指し、表示される一覧からひとつを選択する。
ゴゴゴォーーーー!!!! と音が鳴り響いた。
「なっなに!?」驚く母さんは俺を守ろうとしてるのか、普段の優しい抱き方ではなく、ぎゅっと強く抱き締めている母さん。
そんな母さんに俺は言う。
「母さんにプレゼントあるんだ、ちょっとあっちに行こ」
「プレゼント?」
不思議そうにする母に抱かれ、俺はポイントを差した先へ向かう。
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