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ススム編、第一章。《Lv255の赤ちゃん爆誕》
20《魔物の討伐依頼》
しおりを挟むこの世界の人達は正気なのだろうか?
そう愚痴を零さずには居られない、2歳となった俺である。
なぜこんな愚痴をこぼしてるのか? とりあえず説明しよう。
一歳半の赤子がライフリングを持ち、しかも神級の魔法適正者で勇者だなんて噂が広まるには、半年という短い時間で充分事足りた。
そんな噂が持ち上がる中、もう1つの噂。
冒険者ギルドもないちょうど田舎の村に、かなりの量の魔物が現れて、村の若い女が次々に攫われている。
最近の新聞の一面に良く乗っている闇の力の増大。それが影響した結果なんだろう事は、まだこの世界で2年しか生きてない俺でもすぐに分かることなんだが……それなら都会の冒険者を雇えばいいって話しなんだけどな。
「……まさか、突然大量発生した魔物の討伐に手一杯で……冒険者の派遣ができないなんてな……」
まぁ確かに、こんなド田舎の村、優先順位で言えば最も下なのは言うまでもないだろうが……それにしてもこれは酷いと思う。
ガクガクブルブルと震える兵士が俺の横にいる。
まぁ……つまりあれだ、その魔物の討伐とやらに……2歳の俺が駆り出されたって訳だな。
領地を持つライフリングの持ち主である俺、近辺の緊急事態には駆けつけるのが義務らしいが……2歳の赤子に頼るって、まじでどうかしてると思う。
ちなみに言うが、俺の横のヤツ……怖くて震えてるわけじゃないんだぞ。
「ままままだまだわわワシはわしは、戦える……わい!!」
プルプルがくがく、まぁ凄いな。剣を杖代わりに使う様な、どう見ても80から100の間ぐらいだろう白髪のおじいちゃん、今回の依頼……俺ってばこのじいさんと、3人で魔物退治しなきゃならんらしい。
ああ、ちなみにねこのこは「いてら」との事で、面倒くさがって家に残ったという……
だからまぁ、3人、俺とおじいちゃんと、もう1人。
「ぼっボクも頑張るの……」
この、なよっなよした緑髪のガキ……あっ口が悪かったなすまん。
このどう見ても小学生に丈のあってない軽鎧を着せたような少年、これも冒険者って言うんだから驚きだよな。
「あのさ、そんなびくびくして怖いなら帰っていいぞ、お前はまだ子供なんだし魔物退治ってのは命懸けだからさ、引くのもまた勇気ってもんだ」
こんな感じに何度か諭そうとしてみたんだけどな。
「ボッボクは10歳で大人……君こそ赤ちゃんなんだから、帰った方がいいと思うの」
ある意味正論で返されてどうしようも無い。
「だだだだいじょうぶじゃ、わわわしがか、まももってやるからのの……!」
……あまり聞き取れなかったんだが、しっかりと言ってもらっていいですか? そしたら俺は両手を降って帰るからさ……
もうなんだろう、完全にお荷物なんだよな。
はぁ……まぁ、この2人が生きようが死のうが、俺には関係ないしな。
俺は俺だけを守ってたらいいかな。
何故か震えるおじいさんを先頭に、子供、赤ちゃんの謎編成での魔物討伐が開始した。
♢
晴天が顔を隠してしまう程に暗い、ここは俺の住む村から更にド田舎の村、その近くにある森だな。
一つ一つの木々が樹齢何年だ?? って思うぐらいに太く、高く、広い葉を沢山生える枝いっぱいに生やし空を覆っている。
「こここれははは……きゅきゅうけけつつの木、あまりりながいこととと触れれるでないいい」
……えぇと、ほんとにこのおじいちゃん……何言ってんだろ……
と、思う俺の前で少年が言う。
「これが……あの有名な吸血の木……」
ああ、あのおじいちゃん吸血の木の説明してたのね。
……まぁそれぐらいのことなら俺も知ってる。
なんせ吸血の木はユグシルト・オンラインでは結構な頻度でダンジョンやらにも出てきてたからな。
名前《吸血の木》《毒沼の木》
木の表面がカッターの刃の様になってる木。
何も知らず木に止まろうとした鳥や虫をその刃で切り裂き、死体から零れる血を啜り成長する。
吸血の木は一定まで成長すると、更に獲物を得る為に毒素を持つ液体で周りに水溜まりを作ることから、毒沼の木とも呼ばれる。
「ととととまるんじゃ!!!」
「ふぇ!?」
……なにがふぇ!? だよ。
おじいさんが急に立ち止まり、少年を後ろへ振り払うように腕を振った。
驚いてる少年だが……まぁさっそくだなって感じ。
「どどくぬぬままじゃ」
「へ!? 毒沼!?」
どうしてこいつ、このおじいさんの言葉を翻訳できるんだろ。
まぁさっき言った吸血の木は、奥に行くとかなり成長してるみたいだな。
あっちこっちに毒沼が生成されてるようだ。
浮遊できる……俺には関係ないし、こいつら放置して行こかな?
一応ウィンドウェアで浮いてる俺なんだが、目立たないように地面スレスレで浮いてるんだ。
なんせウィンドウェアって……かなりすごい魔法になるらしいからな、この間ごねるねこのこのため、ササミグミをもらいに行った時にライゼルに言われて知った。
「ここここからは、きをつつけけるんじゃ」
「うん……気をつけるようにする……」
いやもう怖いならまじで帰ったらいいのに……
先程魔法でこいつらのステータスみてみたんだが、どう考えてもこの毒沼に踏み込むだけで命を落とすレベルだってのに……なんでこんな死ぬかもしれないのに意固地になるんだろ?
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