《ユグシルト・オンライン》最強データから始める俺の異世界最強伝説!!──ではなく、Lv255の赤ちゃんに転生した俺の異世界物語

散歩道 猫ノ子

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ススム編、第一章。《Lv255の赤ちゃん爆誕》

21《一掃》

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「ふぉっふぉっ」

「……おじいちゃん、つよい……」

いや、俺も驚いてる。
さっきからちょこちょこ魔物が現れてるんだが、このおじいさん……ぷるぷるしてるってのに、腰にもつ剣を抜けば魔物の息を確実に断つんだからさ。

まぁ敵は下級の魔物ゴブリンとはいえだ、ゴブリンってのは基本的に耐久皆無の魔物だが、かなり動きが敏捷で派手、1匹も逃さないのは正直凄い。

「にしても、ゴブリンか」

「どうかしたの?」
ついこぼした言葉に反応したのは少年だな。
まぁ一応教えておいた方がいいだろうし、ゲームの知識だけど教えておくかな。

「ゴブリンって冒険者の中じゃ、下級の魔物だから経験を積むのにもってこいで良く狩られてるだろ?」

「うん、ボクも良く平原とかでゴブリン狩りしてる」
まぁそれは何となく知ってる、強さ的にゴブリン狩りを始めるぐらいの初心者ってのが分かるからな。

まぁでも、初心者だから問題なんだよな。

「平原とかに出てくるゴブリンってのは、統率が取れてない野良のゴブリンなんだよな」
と、俺が言うと少年は不思議そうに返してくる。

「魔物って統率とかないんじゃないの……? 魔物って心がないんでしょ?」
……はぁ、これだから初心者ってのはだめだよな。

「あのな、魔物には心がないってのは冒険者の常識だが、魔物に知恵や知識が無いとは冒険者の常識にはないんだぞ?」

「……? 心が無いのに……知識?」
言葉で伝えるのって難しいよなぁ……俺もこれに関してはゲームのストーリーみて学んだ事だし……

「んーつまりだ……俺がお前を攻撃したなら、お前はどう対応する?」

「ボク? ……ええと、たぶんガードする?」

「つまりそういう事だな、無意識なんだ……あいつらは心なんて無くても、凶暴性ってのを生まれながらに持っている、だからその凶暴性を生かすために、1度攻撃を受けたことがあるなら、攻撃は危険ってことを学んでるし、攻撃を防がれたことがあるなら次はどうしたら当てられるのかってのを学ぶ」

「え……魔物が……?」
固定概念って奴だな、こいつほとんど信じてないって顔してる。
とはいえ、教えなかったせいで死んだってなると目覚めが悪くなるだろうし、一応説明だけ終わらせておこう。

「人間より厄介だぞ? 魔物に恐怖っていう感情はない、ないから常に試してくる……しかもゴブリン見たいな、集団系の魔物は…………!!! 《ウィンドハンド!!》」

「へ!? なっなに!!!??」

俺は咄嗟に風を発生させ、俺の範囲数メートルに飛んでくるものを吹き飛ばした。

「なな……ななんじゃ……こ……これ……」

「おっおじいちゃん!!!??」

はぁ……だから言わんこっちゃない。
俺が咄嗟に防いだ理由は、一瞬視界に1本の矢が見えたからだ。
まぁ俺だけなら身体に纏ってるウィンドウェアで防げたんだが……目の前で死なれるのはさすがに嫌だからな。

とはいえ……「間に合わなかったか」

俺から数メートルは離れていたおじいさんは無数の矢に串刺しにされてしまったようだ。
矢の先端には毒が仕込まれている。あの数の矢……即死か……

「…………」やっぱ、分かってはいたが……人の死をこうも間近で見るのはきついものがあるな。
さっきまでぷるぷる震えながらも、俺たちのことを守ろうとしていたおじいさん。

「……俺から離れるな」

「えっ!? なっなんなの!?」

せめて、おじいさんが守ろうとしてた、こいつだけは俺が守ってやるよ。

とりあえず……どこから飛んでくるかも分からない矢に怯えるのは流石にしんどい。
先程の全方面から飛んできた矢の数からして、ゴブリンの数は数十、そして俺たちは囲まれている。

「一気に行くぞ」

「なっなに!?」
俺はそっと少年の肩の上に乗った。

ウィンドウェアをした範囲を除外して全体に強く維持。
飛んでくる矢は俺たちに届く前に落ちていく。

とはいえこのまま、相手の矢の数が分からないままだとジリ貧だからな。
今度はこっちから攻めさせてもらう。

焼き払ってしまえば手っ取り早いけど、依頼は攫われた人の救出も含まれていた、まぁ相手がゴブリンって時点で……攫われた人たちの生存確率はほぼ皆無、生きてたとしても…………でもまぁ依頼は依頼だ、ここは地形を活かしてあまり派手な事はしない戦法を取る事にするかな。


「生命の母にして、愛を司る水の精霊達よ──力無き我が子へ、慈悲なき刃を向ける者に、母なる大海の怒りを示せ─

ああ、俺ってば基本的に風魔法しか使ってないとこあるが、別に他属性の魔法が使えないって訳では無いんだ。
これはあのササミグミをねこのこに貢ぐおっさんに貰った教材の中、唯一あった上級魔法だな。

「ふぇ!? こっこれって……」驚いてる少年だが、詠唱中は他の事考えると暴発の恐れあるから、基本的に介入はやめといた方がいいと思うぞ?

水魔法は基本的に癒し系が多い訳だが、この魔法は水魔法には珍しい攻撃にも特化している魔法だ。

「《ダイタルウェイブ!!》」

ゴブリンってのは、基本的に洞穴等に住み、攫った人間は大抵洞穴の奥に連れてくからまぁ大丈夫だろう。

俺の周りから突如巨大な水が発生し、辺り一面に怒りをぶつけるように襲いかかる。

「まっこんなものかな」

「……これって……上級の……うそ……」
うそって言われても……今自分の目で見たことが真実じゃないのか? まぁなんでもいいけどさ。

俺の放ったタイダルウェイブ。本来は目の前の的にぶつけるような魔法だから、こう全方面に目掛けるとかなり威力は落ちるな。

だからまぁ、本来なら低級といえどゴブリンだって殺すことは出来ないだろうな。

けれど……今回はこれがあったからな。

「毒沼様々ってやつだな」

大津波を巻き起こす魔法ダイタルウェイブ。
全方向に向け放ったそれは、少し触れるだけで致命的なダメージを付与する毒を巻き込み辺り一面を飲み込んだ。

「これでかなりの数は減っただろ」
とはいえ……やっぱ、全滅とまでは行かないか。

飛んでくる矢の数はかなり激減したが、ここは森で木々の上に隠れるゴブリン共には届いてない。
なので続けて俺は唱える。

「生命の母にして、愛を司る水の精霊達よ──汝求めし答えを示すため、愛を育み我が身に宿れ──」

唱えたのはまたしても同じ水属性の魔法。
けれどこちらの魔法はあまり使ってないにしろ使い慣れてんだよな。

「《ウォーターハンド》」
わざわざ全滅させられないとわかって放ったタイダルウェイブという大技。
それはこの魔法に繋げる為に使用した。

「よし!」水の魔力で掴むのは先程毒沼と一体となった水。
一気に持ち上げ、空から雨となり降り注ぐ。

──水魔法《ウォーターレイン》を習得しました。

降り注ぐのは猛毒に犯された雨。
それは低級冒険者程度なら触れるだけで瀕死となり、浴びると確実な死を与える死神の涙。

「ふぅ……まっこんなものかな」

矢が1本も飛んでこなくなったし、どうやらこの辺一帯のゴブリンは一掃できたようだな。
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