《ユグシルト・オンライン》最強データから始める俺の異世界最強伝説!!──ではなく、Lv255の赤ちゃんに転生した俺の異世界物語

散歩道 猫ノ子

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ススム編、第一章。《Lv255の赤ちゃん爆誕》

33《強くなる意味》

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魔物討伐を終えて、これからはまた……ねこのこが居るからちょっと大変だけど、でも家でゴロゴロ過ごす生活が続く……なんて思ってた1週間前が懐かしいよ。

「あまい!!」

「ちょっ!! たんま!!」

だだっ広いだけの平野、木霊する鉄と鉄が弾ける音。
ここは俺の領地。

何故か俺はシルマ……まぁ1週間前、魔物討伐の際の恩を返す為にと俺のギルドの一員になったんだがな、剣の稽古をつけられてるって訳だ。

「ふむ、ススム殿の悪い点は、度々気を抜くとこですな……それさえ無ければ、剣においてもかなりの強さを誇れるのに勿体ない」

「そうは言うけど、俺ってば……まだ2歳、みんなより身体が劣ってるから、ずっと魔法を操るのに集中してんだぞ! ただ握ると違ってかなり集中力いるんだからな!」

まぁ当然の事だが、俺に剣が持てる訳もない。
常にウィンドハンドで剣を握り、宙に浮かせ練習してる感じなんだ。

「確かに……剣を握り、自身の手足で戦わぬ分……感覚的なものを掴むにはかなりの時間を労するでしょう、ですが……代わりに敵との間を圧倒的有利に保つことも出来る、それは劣るではなく優れた才能と考えた方がよろしいでしょうな」
いやいやいや、確かにそうかもしれないが、それは俺の魔力消費のしんどさとこの無駄に疲れる集中力とは話が違うだろ!?

「あーもう! 今日は休憩!!」
あとまぁあれだ、勝てない戦いほどつまらないものは無い!

考えてみ? 仮に俺が大人の身体だとしても……シルマは剣聖で、5日前に初めて剣に触れたような俺が勝てるわけないだろ?
練習だと言われるかもしれないが、それでもなんだよな……
威力を強めたり弱めたりして時間差を作った攻撃、長さを変えたり背後から打ち込んだりもした。
時には反則だが、ウィンドハンドで手の動き求めた……が、全て弾かれへし折られた剣の数は不明、もうあれだ……シルマはたぶん……育てる事に関してはてんでダメだと思う。

「ゆっ……悠久なる!!」
あっちもあっちで素直に魔法の練習をしてるりおん、ホントどうかしてるぜ。
みるからに魔法の才能はシルマ以下、どう頑張っても……大して強く慣れないだろうに……

「りおん、ちがう、気持ちじゃない、魔法は心」
気持ちと心って一緒じゃね? なんて俺ならツッコミそうなとこだが、りおんは真面目だと思う。

「はい!!」
元々声が小さいってのに、その声を精一杯出して気合い充分だよな。
あの鬼コーチの特訓に耐えて手に入れるには、成長が遅いりとん……精神的にかなり苦痛をしいてるだろうにな。
……ていうか、あのねこのこが真面目に教えてることも驚きだが……なんか意気投合することでもあったのかな?

触らぬロリに祟なし、あの2人の練習中には近寄らないようにしよう。なんか巻き添い食いそうな気がするからな。


領地にある豪邸の縁側、修行がかったるいので逃げてきた。

すると、家の中から特訓してる俺達に茶を出そうとしてた母さんと出くわす。

「ススム、ご苦労さま、休憩かな?」

「え……うっうん」
なんか気まずい、キンキンに冷えた茶をトンと俺の横に置いてくれる母さん、学校サボって帰ってきた時に限って、優しくされる子供の気持ちってこんな感じなのか?

……なんか、あれだな……このあとサボってるのバレるんだなって思うと、変にもやもやする。

いや、俺は悪いことしてる訳じゃなし、堂々としてよう!
ていうか……2歳の俺が特訓なんてそもそもおかしい話だしな。

「ねこの子ちゃんたちは?」

「ん? まだ特訓してんじゃないの?」

「…………ふむふむ、そっかそっか」

「みんな真面目すぎるんだよな、だってさ……結局特訓したとこで、才能のないやつは才能のある奴には勝てない訳じゃん?
強くなっても上はいるし、強くなんなくても下は大抵の人にはいる訳で、特訓なんかするより、今の自分の出来ることだけして生きてりゃ、それ以上なんて求めなくてもいいってことでしょ?」

そりゃ……これが言い訳だってことぐらいわかってるさ。
でもさ、無理な努力する意味ってあるのか? って思うんだよなぁ。
それに俺のLvは255、実際カンストしてる訳で……別にしんどい思いをする必要なんて──

「ふふ、母さん、すすむが優しい子に育ってくれて嬉しいわ」

「……へ?」この人何言ってんの? 普通親ならここは怒鳴るとこだろ?? って俺も俺で……母さんが怒らないならラッキー! でいいんじゃね!?

訳の分からない言葉のせいで、訳の分からない心境。

「あら? 珍しいわね~すすむが驚くなんて」

「……?」いや、俺って結構毎日ねこのこの珍行動に驚きで胸も心も体もいっぱいいっぱいなんだが……母さん、俺の事ちゃんと見てる?? なんて思う俺に母さんは言う。

「すすむは母さんの元に産まれて来てくれて、勇者だった時……母さんね、実はすっごい嫌だったのよ?」

「え?」何その暴露!? ていうか嫌!? なんか普通にショックだし……ていうかそれ本人に言うか!?

「だってさ、すすむが勇者だと……魔王を倒さないといけないわけでしょ? そうなると……すすむは死ぬかもしれない、そしたら母さんすっごい悲しいしね~」

……考え方!? でも……確かに考えてみたら、可愛い我が子が危険な目に会うかもしれない、なのにいずれは旅立たせなきゃならない。親として当然の……「でも……それって……」
俺の考え、母さんは本当に俺の事をよくわかってると思う。

「そうね、世界は滅びるかもしれないわ……けど、世界が滅びるか、可愛い息子が死ぬか……みんなはどうかなんてしらない、母さんはすすむの母さんなのよ? たとえ母さんが死んだとしても、すすむが生きて欲しいと願う……それが母親なのよ?」

………………………はぁ、俺ってば馬鹿だよな。

「母さん、わかったよ」

「うん、まぁ……すすむなら、そう言うと思ったわ」
なんでもお見通しってわけね……上手く乗せられたってとこか。

でもまぁ、こんな優しい母さんになら乗せられてもいいかな?

「なら俺は、魔王を簡単にぶっ倒せるぐらい強くなって、母さんも母さんが生きるこの世界も余裕で救ってみるかな!」

見いだせなかった答え、強くなる意味。それがないからこそ……面倒くさい。なんて思ってたんだろうな。
今はすっごいやる気に満ちてるというか、俺はLv255カンストした魔術師、けどまぁ……この世界には、物理系統の武器要素が追加されてる。
まだまだ強くなれるし、面倒だけど……いっちょやってやらぁ!

ほっぺをぱちっと叩き気合を入れる俺。

そんな俺に母さんは言ってきた。

「すすむ?」

「なぁに?」

「……俺じゃなくて、僕でしょ?」

「あっ…………はい」

ぜんっぜん閉まらないがまぁ、俺はこの母さんのために少しばかし特訓、頑張ってやるかな。
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