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ススム編、第二章。《Lv255の赤ちゃんギルド》
56《一生赤子》
しおりを挟むどよーーーん。
もうあれだ、俺は今、人生のどん底にでもおちた気分だ。
「だんちょう? 突然どうしたのですか?」
ああハピナよ……この悲しみに明け暮れる団長を優しく包み込み抱いてくれる天使よ。
「はは……俺はもう、一生赤ちゃんのままかもしれないんだ」
泣くが良い、愛しの俺が成長できない現実を噛み締め、泣き叫ぶがいいさ。
なんて、誰かに愚痴を言わなきゃやってらんねぇぜ~な俺。
ハピナの豊満な胸にここぞとばかりに飛び込み、言ってみたんだが……
「えぇ!? だんちょうずっと赤ちゃんなんですか!?」
うん、驚くのはわかる。わかるが……
「そうなんですねぇ~ふふ、そうなんですねぇ~」
なんでハピナ!! こんなに嬉しそうなんだよ!!!
「なっなぜ笑顔なんだ!?」
「そりゃそうですよ~人間の男って言うのは、大人になると気持ち悪い目で私達を見てきますからね~だんちょうがずっと赤ちゃんでしたら、そんなだんちょうを見ずに済むじゃないですか~」
「………………………」
あっごめん、多分俺……ハピナを充分その気持ち悪い目とやらで見てるやもしれません。
何も言い返せない俺、に対しハピナはふにふにと俺の頬っぺを揉みながら言ってくる。
「だんちょうはとっても澄んだ子供の目をしてますから、ずっとそのままで居てくださいね?」
「うん」うちの母さんと一緒に、眼科に行ってきたらいいと思う。
……にしても、誰一人として同じ反応だったな……
いやさ、ハピナに辿り着く前に……実は、女の団員の殆ど──リオン、ミルク、ねこのこは除く。に飛びついて泣き言言ったんだがな……どうやらうちのギルド、赤ちゃんフェチしか居ないようだわ。
でもな、俺はそうやって相談していくうちに思ったんだわ。
「俺が赤ちゃんだから抱っこしてくれるのか?」
「はい、流石に……赤ちゃんじゃなければ、こうみえて一応女なので、そう簡単に男性に身体を触れさせはしませんよ?」
むしろ赤ちゃんの方が色々良いこと多くね? ってな。
「じーーーー」
「………………」
「あら? ねこのこちゃん、どうかしたのです?」
……その哀れな者を見る目、やめて頂けませんか?
「ちち、一生、どーてー」
「……………!! ……いや」こいつはどうせ、なんとなく意味もわからずに言ってるに違いない。
俺は知ってる……こいつは、その言葉に俺が嫌がったら……次から喜んで何度も言ってくるってことを……
「ふふ、ねこのこちゃん? 女の子があまりそう言った言葉は言わない方がいいと思うわよ? それにだんちょうは赤ちゃんだから童貞が普通だからね~」
ハピナよナイスアシスト……ねこのこは俺が何か言ったら、余計怒ってきたりするからな……他の誰かに任せるのが得策なんだ。
けれど、きょうのねこのこはここで引き下がらなかった。
えへへ、とよく分からんタイミングでの笑み。
そして……まるで俺を見下すように、じっくりと逸らしてしまう俺の瞳を見て言ってくる。
「ちち、一生、どーてー」
「………!! どどど……どーーてーーで何が悪いんだよ!!!」
さすがの俺も2度も言われたら我慢はできん!
「えへへ、ちち、どんまい」
ていうかこいつ……もしかして……
「ねこのこ、俺が成長しないことって……」
「ねこのこ、知ってた」
………………………
「くそがぁーーーーーーー!!!!」
どうやらねこのこ、知ってて俺が鏡の前でまだ大きくならないかなぁーとか、家出言ってたのを……嘲笑って見てたようだ。
絶対……ぜーーーったい!!
この副作用、どうにかする手段見つけて……女の1人や……ひっひとりぐらい捕まえてやらァーーー!!!!
「ちち、おもろい」
……いっそ、ねこのこを惚れさせてやりたい、そしてほかの女と付き合って泣き顔にしてやりてぇーーー
なんて思う俺は、最低なのだろうか?
♢
何も無いただの平野、まぁうちの領地ってまだまだ何も無いからな。
あるのは中央にある、噴水とギルド本部、それから北西に意味不明にでかい要塞マンション、あとは北東に別荘という名の我が家。……そいや、最近はもう実家の方が空き家みたいになってるな。
まぁそんなうちの領地なのだが、わざわざ俺がこうして何も無い土地に来てるのはわけがある。
「………………やってやる、俺は……やってやる!!」
意気込む俺、それ程までに今回作るものはとても大切なんだ。
領地に作らないといけないものはリスト化している。
まずは定期収入を得られる商店街。
それから領地内に不穏分子が現れた際、いち早く発見し捕らえたり、悪い魔物が領地外から現れた際討伐してくれる。
ギルドの冒険者が外の警備をする者としたら、領地の警備をする者が住まうための場所。防衛所だな。
他にも、外の人が来る為に、大きな町などと契約し繋げる必要のある転移魔法陣が設置されるポータル広場。
外から来た客が泊まるための場所、宿屋。
この領地を売り出すための目立つ建物等、沢山の物を立てていかなければならない。
「…………………………ふふふ……ふふふふふふ」
だがしかーーーーし!!
んな事正直、どーー!!!! でも! い! いー!!
なんせ俺はまだ赤ちゃん、団員もまだ20人やそこら、ギルドの依頼に人員を全て使う必要がある今!
警備する人がいない=警備が怠る。
それだけで、いまはまだ何も出来ないんだからな!!
てなわけだ、だからまぁこれを建てるのは……苦肉の策。
ほかの物を建てられないから、しかたなーーーく、優先して建てるんだぞ!!
「ちち、はやくしろ」
「団長さま~ここで何かするのですぅ~?」
「だんちょ! 修行見てくれるの?」
……………「はぁ……」なんで、みんなを誘ったのに……来たのはこの、誘ってない幼女3人組なのだろうか……
いやまぁ、みんな忙しいのは知ってる、知ってるけどさ!!
せめてそれなら、誘った時に言ってよ!! ダメそうなら俺だって……今回は諦めたんだから!!
「ちち、はやくしろ」
「へいへい……はぁ」
まぁこうなってしまったなら仕方ない。
一応こいつらは美少女だし……胸とかほぼ無いが……ミルクはそれなりにありそうだし我慢するか……
幼女にゃ興味無いが、見てて嫌ではないしな……
そういう訳で、俺が今から建てるのは温泉。
一応ギルドに居る女性団員全員に声はかけた……もしかしたら、入ってる時に来てくれるかもしれない……そう期待を込め、俺は温泉を建てる!!!
メニューを開き、温泉を選択する。
ごっごっごつごっ!!!
「ふぇ!?」「なっなんなのこれ!?」
ものすごい騒音にこいつらは驚いた訳では無い。
驚いた理由は、突如地面から天へ貫く様に出てきた山に大してだ。
ここは領地の北に真っ直ぐ突き進んだ、領地の端っこ。
なぜこんな場所を選んだのか? それにはこういうわけがある。
「すっすごいですぅ……」
「だんちょって本当になんでもありだよね……」
山のてっぺんから吹き出すのはマグマ。等ではない。
溢れるように流れっぱなし、山には全体へ行き渡るように堀が設けられており、無数に作られた陸には沢山の浅い穴が空いていて、てっぺんから流れるそれは満遍なく満たし溢れていく。
山の下には数本の橋、つまり深い堀があり、そこへ最終的に流れ、領地端の外へ流れてゆく。
そう……流れているのは温泉。
高純度の火と水の魔石を組み合わせることで、かなり良質な温泉が永遠に湧く山。
《夢見温泉山》これは……女の裸も見たこと無かった、前世の俺が夢を見る為に作った……混浴温泉なのだ!!!!
だというのに……居るのは……
「だんちょ、ここで修行?」
「ちち、煩悩山、気持ち悪い」
「ふえぇ~真っ白です~」
立ち上る湯気、本来ならすっごいテンションMAXでみんなに風呂だーーー!!! と言いたいとこなんだが……
「ここは風呂だよ……まぁ好きに入ったらいいさ」
流石にこんなガキの体……興味ねぇ……
ていうか、家の風呂で何度も見た事ある、美少女とはいえ……やっぱ大人の色っぽい、吸い寄せてくるような魅惑な奴がいい……
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