《ユグシルト・オンライン》最強データから始める俺の異世界最強伝説!!──ではなく、Lv255の赤ちゃんに転生した俺の異世界物語

散歩道 猫ノ子

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ねこのこ編予告、第一章《偽りのねこのこ》

09《最強の幼なじみ》

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ねこのこの身体からはもう闇の魔力は溢れていなかった。

「……ススム……ごめんなさい」

「……お前はまた、そうやって……俺には見せないんだな」

魔力が出ていない。
その理由を一目ですすむは悟った。

ねこのこと共に育ったすすむにとっては、それはあまりにも簡単な事だから理解した。

ねこのこが……目の前のススムに何もしたくない、自身の中にある醜いそれを、進むの前で見せたくない、その一心で闇の魔力を堰き止めているからだと──

「……ススム、あのね……もう、ダメだから……逃げて……」

「はは、何言ってんだよ……我慢なんてする必要ないさ、俺は……その為にこうして強くなったんだからな」

ねこのこが必死に抑えている、今こそが……殺すのに絶好の機会。けれど勇者は手を出さない。

そしてそれを咎めるものは誰もいないだろう。

これが今生の別れだと言うことを皆が理解しているから……

「……えへへ、ススム……ごめんなさい、私ね……こんな時なのに……凄く嬉しいの」

「はは、それを言うなら俺もだな、ようやく……ずっと勝てなかったお前に勝てるんだしさ」

「うん、今のススムなら大丈夫……だよ……ね、はるるも……居るし……だから、ちゃんと、今度は……殺してね!」

「ああ、約束だからな……お前にもうこれ以上……怖い思いはさせねぇ!!」

「うん! あのね……私、みんなが……だーいすき──」

潜む闇を必死に繋ぎ止めていた最後の鍵は、友への信用と言う形で解かれた。

「ねこのこ!!!」「ねこのこちゃん!!!!」

泣く事を辞めた天は、まるでどうしようも無い物語に腹立てるように雷を纏い轟いた。

「はは……ふはははは!!!! とうとう手に入れたぞ!!」

空高く突如舞い上がったねこのこは歓喜を上げるように叫んでいる。

勇者は剣を再び強く握りしめた。

大賢者は杖に想いを再び込める。

「魔王の肉体に脆弱な心など不要!! 無駄に足掻くこれの精神力には苦労したが……肉体だけは歴代魔王の中でも最強……ははは!! ようやくだ……ようやく世界を滅ぼせる!!」

長く紡いだ幼なじみ達の物語にハッピーエンドはもう訪れない。

どう転んでも訪れるのはバッドエンド。

けれど勇者も大賢者も諦めていない。

「ふぅ……ねこのこの為とはいえ、黙ってるのはきついものがあるな」

「ねこのこちゃん……ボクは君が絶望して終わる世界なら、そもそも救う気なんてないよ!」

2人は力を抑えていた……いや、振るえなかった。

大切な女の子に、大切な親友に……

そんなことが出来るわけが無い──

「ねこのこちゃんは強い、弱くなんてない……あなたはボクの大切な友達を傷付け過ぎた……もう手加減なんてしてあげない!! あなたは滅ぶべき存在だから!!」

大賢者の光の魔力は突如膨れ上がり、いつの間にか大陸すら飲み込む程に強大となっていた。

「なっ!? なんだこれは!!!」
その光は巨大すぎる故、魔王種であるねこのこの精神をも破壊しかねないとハルは抑えていた。

光の魔力は魔神王の精神を容赦なく犯し、その動きの一切を封じ込めた。

「ねこのこが頑張ってくれたからな、俺達はその間に充分強くなったって訳だ……だからまぁ、出てきたとこ悪いが……さっさと死んでもらうぜ!!! 魔神王!! 

その身体に──お前みたいな醜い心は──似合わねぇ!!」

勇者の剣は雷鳴轟く暗雲をも切り裂く巨大な光の聖剣となる。
勇者はこの日、この時、この瞬間の為だけに、自らの魔力を生命力すらを全て聖剣へ注ぎ込んできた。

「なんだ……なんなんだお前らは!!!!」

「その子の……「そいつの……「「幼なじみだ!!!」」

振り下ろされた聖なる剣はとうとう魔神王の身体を切り裂いた。

聖なる剣は邪な心のみを切り裂く。

「ぐっ……ぐあーーーーーーーー!!!!!!! 許さぬ……許さんぞ人間どもぉ……だがな、この娘だけを助けたつもりだろうが……そうはいかん、我らは怨念……その娘の中で永遠を生きる者、その娘が子を産めば子に移ろう、更にその子にも移ろう、いずれ……闇の心を持つ者が表れし時……ふたたび……」

数十年にも渡る物語はようやく幕を降ろそうとしている。

産まれた日より身体に闇を抱えていた少女の身体は、生まれて初めて優しい友達により作られた光に包まれた。

凶悪な魔王の角は消え去り、赤い魔物の瞳はエメラルドの美しい瞳を取り戻し、妖美なまでに成長した身体もまた……幼き、あの日のままの小さな身体へ──
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