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ススム編、第二章。《Lv255の赤ちゃんギルド》
59《中位ランクアップクエスト》
しおりを挟む中々に屈強そうな厳つい冒険者達が集まるここは……なんかよくわからん場所。うん。
基本的にランクアップクエストとか、依頼とかはギルドにある転移魔法陣から移動するからな。
依頼書と違って詳細を極秘とされるランクアップクエストに関しては、ここどこ? ってなることが多いんだ。
前回のランクアップクエストは闘技場で行われた。
はっきり言おう……あれも場所はわからん。
だからまぁ……今俺が、謎に転移された……この、やたらテレビとかで見覚えのあるジャングル。
ここがどこだかなんてわかるはずは無い。
ジャングルの中に転移された俺、目の前にはテントが数個ある。
冒険者らしい奴らが、ここに転移してくるなり迷いなく入っていくとこから見るに……
「あれが受付って訳か」ふふん、俺は赤ちゃんは赤ちゃんでも賢い赤ちゃんだからな、すぐに分かったさ。
ふよふよふよ~と、テントに入っていく。
「えぇと……」
やはり予想は的中、テントの中には長テーブルが配置されていて、そこにはまぁまぁいい感じに美人なお姉さんが受付をしている。
でだ……問題はやっぱここなんだよなぁ。
「えぇと、ボクちゃん? お父さんかお母さんは居ないのかなぁ」
当然の反応だ。ていうか久々の赤ちゃん扱いがむしろ新鮮に感じるのって……うちのギルドの奴らが、俺を赤ちゃんとして優しくしてくれてないってことだな!! 今度しっかり俺を甘やかすように指示をしなければならないな!! (使命感)
……ちがう、今はそうじゃなかった。
「俺は赤ちゃんだけどイノセント・ロアーって言うギルドの団長です」
「……えぇと……ボクちゃん? ここはお遊びをする場所じゃないのは分かるかな?」
「はい、全然分かります。至って真面目な赤ちゃんですので!!」
「は……はぁ……」なんだろう、今すっごいこの人から……めんどくせぇ!! って聞こえてきた気がする。
「はいこれ! ランクアップクエストの書類です! 俺の年齢も名前も書いてます! ライフリングを確認したらすぐにわかると思います!!」
毎度毎度思うが、俺が赤ちゃんだって事を招待状送る前にしっかり受付達に教えておいて欲しいもんだよ、ぷんぷん!
「……!! ……えぇ!?」
俺と紙を行ったり来たりする受付の目線。
ふむ、この受付はまだまだだな。その反応はもう数十回は見た事ある。もっと新鮮な反応じゃなきゃ俺は満足せんよ!
「……何かの間違い? ……でっでも、この書類は本物だし……ライフリングも確かに、特徴も……」
そうそう、間違いないからな。さっさと控え室やらそういう所の場所をおしえてもらいましょうか?
「…………………でっでは、こちらを……ライフリングに転移先が追加されますので、準備が出来たら今からですと……1時間以内ですね、転移して下さい」
はぁ……ようやく受付が終わりか……
報連相がなってないせいで、俺の後ろにめちゃくちゃ行列出来てるし……まぁ、このあと慌てる事になるのはこのお姉さんだし、俺の知ったことではないな。
「……………………………………ふむ」
「…………………どうされました?」
でも、このお姉さん美人なんだよなぁ。
俺は赤ちゃんなんだよなぁ~
だから緻密な魔法を持続し操るウィンドウェア。
ミスしてしまっても仕方ないよなぁ~
という訳で──
「あっと魔法のコントロールをミスシテシマッタァーーーー」
ぽよんっ。
「……へ? …………だっ大丈夫ですか?」
ふむふむ、やっぱり俺の思った通り……このお姉さん、着痩せするタイプだな。なかなか良い物をもっておる。
「ん~僕は赤ちゃんだから、ちょっと疲れちゃったなぁ~、このまま転移の時間まで抱っこしてくれたら、大丈夫だと思うんだけどなぁ~」
「……? それぐらいでしたら大丈夫ですが、医務室には行かなくて大丈夫ですか?」
「うん! ここに居る!」
「わっわかりました?」
まぁ転移しても……なんかむさくるしそうなおっさんが多かったしな。
始まるまではここでのんびり過ごさせてもらうことにしよう。
ふにふに~ふにふに~……か、い、て、き、♪ やっぱ、俺……一生赤ちゃんでいいかもしれん。
♢
ばたばた忙しそうに動くお姉さんの胸の中、右へ左へぷよんぷよん。
幸せな1時間はあっという間に過ぎると言うものだ。
「はぁ……今回は中位ランクアップクエスト、流石に前回みたいに上手くは行かないだろうなぁ~」
とりあえずイノセント・ロアー専用の控えテントで待機中の俺、3日はかかると言われる今回のランクアップクエストを、どうやってさっさと切り上げようか模索中です!
「とりあえずねこのこにはなんて言い訳するか、ん~多勢に無勢のギルドが相手でさ~……これは駄目だな。たとえ相手が1000人いても……あいつには負ける事を許して貰える気がしないな」
腹が痛くて……容赦なくボディブローされそうだ。
頭が痛くて……頭から地面に叩きつけられる気がする。
可哀想なギルドでさ……俺がもっと可哀想な目に会うだろう……
結局のところ「俺に負けは許されないのか……」
何故かねこのこって、俺が負けることはしっかり許さないんだよなぁ、それが勇者をサポートするって事だとおもってるのだろうか? お門違いも良いとこだぞ……俺だって、俺だって!!
たまには赤ちゃんらしく、お姉さんの胸にだからて……ふにふにゴロゴロして過ごしてぇーー!!! ススム、心の叫び。
なんて、事を考えてたら容赦なくその時はやってくる。
相変わらず、ピンポンパンポーンとテントにあるスピーカーからお知らせの前に音が鳴る。
「はじまりかぁ」
ちなみにランクアップクエストの内容はギリギリまで知らされない。
今からこのスピーカーで、その内容が告知されるって訳だな。
……このジャングルから、お姉さんを見つけ出せ。とかなら、やる気出るんだけどなぁ~
「たーーーーーーいへん!!! おまたせしましたぁーーーーー!!!! 今回の実況は《以下略》」
前回と同じうっさい実況の人みたいだな。
もしかして、ランクアップクエスト全部こいつが受け持ってたりしねぇよな? 出来ればお姉さんの美声ならやる気出るのだが……
「今回の中位ランクアップクエストはとても簡単!! ジャングル内に散りばめられた無数の魔玉を集めるだけ!! どこのギルドよりも多く集め、それを3日間守る!!! 最終的に最も多く魔玉を所持していたギルドから順に順位が決まります!!」
あーこれは結構やった事あるな。
ギルド同士の争奪戦とかすると、色々なクエストがあるんだが……このルールはそれでもあったし、何回もやったからな。
だからまぁ「一旦家帰ろっと」流石に3日もここに居るのはしんどいので、一旦帰ることにする。
「んーライフリング使用不可にされてるけど……まぁ」
俺にはダビングリングで作った、領地に帰れるリングはまだあるからな。
こっち使えば簡単に帰れるって訳だ。
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