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ススム編、第二章。《Lv255の赤ちゃんギルド》
60《心は赤子》
しおりを挟むふ~よふ~よ。
とても良い天気だ、青い空がなんだか心をこう、ふあーーってさせてくれる。
そんな気持ちの良い青空、けどそこにいる太陽さんの熱い眼差しは中々にしんどい。
けど、雲さん達が太陽さんをたまに隠してくれるから、こうやって日向ぼっこは成り立つんだな。
「ふぁ~」
ああ、なんかボケたこと考えてんなぁって思われそうだから言い訳をしておこう。
ランクアップクエストをサボった結果、帰ってきても用事なんてある訳なく、ランクアップクエスト中にギルドにいるのもおかしいなぁ~って思ったので、家の庭でゴロゴロしてるんだ。
「今頃必死なんだろうなぁ~」
「何が必死なの?」
「ん? だってさ~魔玉争奪戦って、わざわざ2泊3日に設定されてんだけどさ~あれって、最初は魔玉に触れない。が正解なんだけど、わざわざそれを最初から手に入れようとしてる奴等が、馬鹿みたいに乱闘起こしたりして、無駄に狭い会場会場のせいで、あそこにいるとどうしても巻き込まれるんだぁ~だから俺みたいにさっさとこうやって隠れでもしなきゃ、無駄に疲れるランクアップクエストになるんだよ~」
「そうなんだ、んーでもランクアップクエスト中に帰還したら駄目っていってなかったっけ?」
「大丈夫大丈夫、隠蔽の魔法を使ってから帰ってきたからさ、たぶんあの会場に居る人達には、俺がこうして帰ってきてるなんて夢にも思ってないはずだから」
「ふーん、つまりそれって……すすむがズルしてるってこと?」
「見方を変えればそうなるかなぁ~でも俺ってば赤ちゃんだし、これぐらいのハンデは大目に見てもらわないとねぇ~」
「…………ふむふむ」
「…………あれ?」
ゴロゴロっと転がって、当たり前のように話してたが……
「えと……かっ母さん?」
横を見るといつの間にか現れていた真っ赤な髪の母さん。
……やばいな、この顔は……
「ふふ、すすむ? 母さんは自分のことをなんて呼ぶ様に言ってるかなぁ?」
声色が変わってる!!
「かっかあさん落ち着いて!! ぼっぼくだよね、僕!」
と、今更取り繕ってみたが……遅かったようだ。
ぼーっとしてたとはいえ、これはボロを出した俺の失敗。
覚悟を決めよう。うん。
数秒の緊迫した空白の時間。
そしてそれは突如堕ちる。
「……すすむ!!! 母さんはすすむをズルしてもいいなんて考え方をする様に育てた覚えはありません!!!!」
「ひぃ……」
母さんの雷、これで人生2度目なのだが……なんでだろう。心の底から震えるような、心臓がバクバクして、なんか目柱が暑くなってきて……
「うわーーーん、ごめんなさーーい!!!」
何故か泣いてしまうんだ!! 心的には冷静な俺がいる。なのに何故か抗えない涙と感情。
「泣くぐらいなら最初からしたらダメ!! ……あのねすすむ、ズルするってことは頑張ってる人の努力を笑う事なのよ? すすむはそんな人になりたいの?」
まぁたぶん、この感情は俺がこの人の子供として産まれた事が原因なんだろうけど……泣いてる自分はすごい恥ずかしいが、嫌って思ったことは無い。
「……ごめんなさい、僕……ちゃんとしてくるよ」
「そうね、私も頭ごなしに怒っちゃってごめんなさいね、けど母さんはすすむに人の気持ちが分からない人になって欲しくないの、母さんのわがままを許してね……」
まぁ何故こんな恥ずかしい想いしても、この人が好きだなーって思うかって言うと……
「……なんで母さんが泣いてるのさ、悪いのは僕なのに……」
「ごめんね……怖かったよね……」
この人の優しさが俺の想像の遥か上を行く母親だからだろうな。
「なでなで」
「ふふ、逆に慰められちゃうなんて母親失格かな?」
「んーん、そんな事ないよ……僕はまだ赤ちゃんだし色々間違えるから、母さんがこうやってちゃんとした道を示してくれて僕はちゃんと育てるんだ、だから母さんは凄く母さんだよ」
「……ほんと、すすむは色々と凄いわよね、まるで年上の人と話してると思ってしまう時があるわ」
ギクッ……「あはは、なっなにいってんのさ、僕は正真正銘母さんの子供で、まだ生後3年の赤ちゃんだよ~」
……たまに母さんのこういう悪気のない一言が怖ぇ……
はぁ……でもまぁ、この人の言葉は基本的に正しいからな。
「じゃっ僕は戻ることにするね」
「ふふ、じゃあ夜ご飯、美味しいもの用意しておくわね!」
……あっでも、かなり馬鹿なのも母さんなんだよな。
はぁ……2泊3日は帰ったらダメと伝えたつもりだったのだが……肝心なとこは相変わらず抜けてるんだな。
「じゃあ夜ご飯だけ帰ってくるね~」
まぁ3日目のラストぐらいに戻る予定だったが……仕方ないな。
中位ランクアップクエストの会場にいたやつの中で大した魔力の奴は居なかったし……
「さっさと終わらせて帰ってくるよ──」
俺は再度、中位ランクアップクエスト会場に戻った。
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