81 / 82
ススム編、第二章。《Lv255の赤ちゃんギルド》
69《???》
しおりを挟むふゆふゆ~ふゆふゆふゆ~
ひなりがなんか拗ねてしまったので、抱っこして貰えず宙を浮き移動する俺である。
なんせ……「まさか、レイナがこんな数の魔玉集めてたなんてな……」
「団長だけだよぉ~レイナ、こそこそするの得意なのにバレたのぉ~」
まぁお化けだしな、こそこそするのは得意だろうが……他所のギルドの奴ら……馬鹿すぎるとしか言いようがないな。
ここはレイナの家(仮住まい)らしい、穴の空いたおおきな木だな。
黒い魔玉を集めすぎて……なんかもう、Gの卵にも見えてきて気持ち悪いわ……
「収納っと」
「ひぇ~団長はマジックなんてできるんだぁ~」
「いや、これはマジックじゃなくて魔法な、異空間収納って言って……あれ?」
ちょっと待て、今のレイナの発言おかしくないか?
「ふふん、お化けには分からんじゃろう、すすむ殿はわらわが認める殿方、マジックの一つや二つじゃな」
……あっ、ようやくレイナに慣れてきたのか?
じゃなかった……ん?
「なぁお前ら、マジックってどういうものか知ってるのか?」
おかしいんだ、なんでこいつら……突然魔法のことをマジックなんて言い出したんだ?
この世界には魔法がある、つまりマジックなんて存在するかもしれないが……わざわざ、俺のしたことをマジックなんて……
ていうか、ひなりに関しては俺は1度……いや、何度も説明……あれ?
「なぁひなり、俺はお前と出会ったのはいつだっけ?」
「突然何を言っておる、そんなもの遥か…………? おかしいのぅ……何故、わらわはそなたのことを知って」
「ひぇぇ~すすむ~遊ぼ~よぉ~」
「……は?」
ちょっとまて、ぜんっぜん状況が呑み込めない。
俺は確か、こいつらと出会ったのはついさっきで……で、イノセント・ロアーにこいつらは……なんでこいつらはイノセント・ロアーに入るなんて言ってるんだ?
そもそもひなりとレイナはイノセント・ロアーの一員……
「なんだこれ……なんなんだよ!!!!」
ギルドには今、シルマ……シルマ、なんでアイツはあんな高齢になって……ていうか、ラルフとハピナは人間程度にやられるはず……
「すすむ殿、どっどうしたのじゃ!?」
「すすむ? 頭痛いの~?」
なんで俺の手は小さい? なんで俺の身体は……俺は、俺は確か……ハルと共に……「ハル!?」
頭が痛い……記憶がまるで混濁している。
ハルはたしか……なんでハルを思い浮かべると……
「そうだ……お前ら、ねこのこはどうしたんだ、確か俺達は……決戦に出たはずだ……」
魔力のコントロールすらままならず、地に落ちる身体。
「ねこのこ……? それってすすむが言ってた、魔王になった女の子の事だよね?」
「そなたは何を言っておるんじゃ? ねこのこと言う娘はそなたがトドメを刺したであろう?」
「………!? なっ!! そっそんなのありえねぇ!!! なんで俺がねこのこを殺すんだ!!! 俺はアイツを……アイツを救うために……………あれ? 俺……何言ってんだ? ねこのこってあのうざい……勇者をサポートする為の……」
もう訳が分からない。
そんな折にそれは聞こえてくる。
──警告、警告、世界に歪みが生じました。
──警告、警告、魔王の魂を確認しました。
──警告、警告、再び世界をリセットし、再構築します。
「………………思い出した……」
まだ頭の中に激痛が生じている。だけど俺は思い出したよ。
「まさか……俺の身体の中にいるなんてな」
世界がまるでノイズの走るテレビ画面のように崩壊を始めた。
そんな中、トンっと音もなく現れるのは小さな青髪の少女。
俺はこいつのことをよーく知ってるよ。
「ちびねこ、まだまだかかりそうなのか?」
「……うん、ごめんなさい……」
「はは、お前が謝ることじゃねぇだろ、それに……1番辛いのはお前だしな」
「……でも、少しは上手く行き始めたの、だって……今回、初めてだよ……すすむがねこのこのこと思い出したの……」
ぽろぽろと涙を零しながら、小刻みに震える身体を小さな手を握り必死に立たせている。
「そうか、なら……こうして喋るのはいつぶりになるんだ?」
「……分からない、わかるのは……」
──間もなく30224回目のリセットを開始します。
「……俺にも聞こえたわ、お前……こんな回数、人生を……俺達のために繰り返してるのか……」
こくりと、ただ下を向いて頷くねこのこ。
そしてねこのこは言った。
「ごめんなさい……ごめんなさい……ねこのこ、ねこのこ馬鹿だから、すすむも、はるるも、イノセント・ロアーのみんなも、何回も何回も……死んで、一杯辛い想いをさせちゃってごめんなさい……ねこのこ、悪者なのに、みんな良い人なのに!!」
こればかりは俺も怒鳴ることが出来ないな。
たった一度の人生でも大変だってのに、こいつはそれを……そりゃ自分を責めたくもなるってもんだ。
だけどな………
「にゃ!!?」
俺は小さく震える身体を、ただ黙って見てられるほど漢じゃないからな。
「お前が辛いのは分かってる、もうやめたいって気持ちも痛い程わかる!! 俺はお前が好きだ!! 大好きだ!!」
「……!? す……すむ!? そっそんなのはじめてきい……」
「いいから今は黙ってきけ!! 時間が無いんだ!!」
世界の崩壊はねこのこ以外の全てをデリートする。
そして……俺はわかってしまった。
だから……この想いを、ねこのこに対して重荷になってしまう、けれど……伝えてしまったんだ。
「俺だ……」
「ふぇ?」わかってない様子のねこのこの肩をガシッと掴み、俺は目をしっかり見つめて言う。
「歪みは俺だ……俺の中に、禍々しい魔力を感じる。魔王達はどうやら、俺の中に居れば大丈夫だと考えたんだろう、それはつまり、お前にとって……俺が、1番殺せない……そう判断されたってことだ」
「!? 何言ってるの!? ダメだよ!! ダメ!! そんなの嘘!! 嘘だもん!! ねこのこ……絶対見つけるから、絶対……すすむじゃないから……そんなの……やだよぉ……」
俺の目の前で膝から崩れ落ちるねこのこ。
「……ねこのこ、俺は……お前の事が好きだ、それは何回生まれ変わっても変わらない……だからこそ、俺はお前に幸せになって欲しいんだ……」
「…………やだ、やだ……もう言わないで!!!」
座ったまま、俯いたまま怒鳴るねこのこ、けれどこれは俺の使命なんだろう。
こんな辛い人生なら生まれてこなきゃ良かった。
とは俺は思わない。
なんせ……お前に出逢えたからな、そしてこの記憶もきっとこの世界がリセットされた時……お前の中へ──
でも、だからこそ……はっきりと口に出して伝えたい。
「俺を殺すのはお前だ!! 絶対にだ……俺は……お前以外には殺されたくない、せめてお前の中で眠らせてくれ……今は無理かもしれない、次も無理かもしれない……でも、いつか……必ず、お前が俺の事に飽きる程、俺の事を見た後でいい……たのんだ……ぞ……」
「ふぇ……」
俺は最後にキスをした。
柔らかな唇には熱い水がこぼれ落ちてきた。
ハルの言った通りだったよ……ねこのこは、俺がキスをむりやりしたってのに怒らず、むしろ抱きしめてくれた。
それだけで俺は、この生にもう……悔いはない。
ねこのこの腕の中、霧散し消えていく肉体。
本当にごめんな。
また俺は、お前を泣かせたままお前の元を離れてしまう。
こんな出来の悪い男のことなんてさっさと嫌いになって、お前はお前の幸せを……見つけて……くれ。
「……すすむ……そんなの、嘘、すすむの心、すすむの気持ち、すすむの想い、すすむの……変な……えちな欲望、全部全部貰ったよ、貰ったから……だから大丈夫、ねこのこはまた何度だって、すすむとはるると、イノセント・ロアーのみんなと、幸せに生きられる世界を見つける!!!」
広がったノイズは世界を飲み込み、崩れ落ちた世界はねこのこへとまた帰って行った。
そしてまた
「今度はすすむと……仲良しの世界がいいな」
世界は構築されていく。
♢
《ユグシルト・オンライン》最強データから始める俺の異世界最強伝説!!──ではなく、Lv255の赤ちゃんに転生した俺の異世界物語。
これにて一旦完結です。
ちなみにまた別の小説にて、本編であるねこのこ編、様々な仲間達の話しも書く予定ですので、見かけましたら、ブクマ、感想などなどよろしくお願いしますm(_ _)m
こちらにて続編を出した際ご報告致しますので、続きが見たい方はブクマを外さない、もしくは作者フォローにてお待ちください。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる