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17.あの日の余波
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大混乱の星見の翌日、私は熱を出してしまった。
教会にいる時は滅多に体調を崩すことはなかったのに……。
やっと熱が下がったのは三日後。寮で寝ている間は、頭の中をずっとあの日のライがぐるぐるして離れることはなかった。
(会ったらなんて話せばいいんだろう……。もしかしてもう竜の里に連れていかれちゃうの……!?)
学園にやっと登校できるというのに、私の足取りは重かった。
あの日のライの言葉の真意がわからない。いや、竜の里にお嫁に行くのはやぶさかではないが、なんでそんなことになるのか全然わからないし、どう考えても怖い。
私はドキドキしながら、教室に行き、なかをそーっと伺った。
--窓辺の席にライの姿はない。またライは学園に来ていなかった。やっぱり星見の時の、アレは幻だったのかな……?
なんだーそっかーあれは幻かーオッケーオッケー! 私ビックリしちゃったぞ★
……いやいやいや、現実だった場合を考え、対策を練らなきゃならない。っていうか、多分恐らくきっとかなりの確率で現実。現実逃避したくて仕方ないけど、きっと現実。
本当に里に連れてってくれるのかな……え、大丈夫? BADエンドになって死ぬのは勘弁なんですけど?
どこで見極めるんだ、それ……。こんなことなら、なんでBADエンドもちゃんとプレイしとかなかったんだ、私……!!
混乱が収まらない頭で、午前中は全く勉強にならないまま、昼食の時間となった。
その日も昼食を久々にキャロラインと一緒にとろうと、Aクラスにキャロラインを呼びに立ち寄る。
扉の近くにいるキャロラインを見つけて、小走りにキャロラインの名を呼ぼうとした時―――。
「やぁセレーネ嬢、ごきげんよう」
うっ目がくらむっ!
突如として、陽光を受けて目も眩まんばかりにキラキラしたアルレーヌに呼び止められた。
「……! 殿下っ、先日は過分なご配慮を賜り、有難うございました」
失礼にならないように、一応淑女の礼をとる。脳内の混乱はよそに身体はきちんと動いたことに、ほっと息を吐いた。
「いいよ、ここは学園だ。君と僕は一生徒同士だ、そのような礼は無用だよ? そして、君には殿下なんて敬称ではなく、名前で呼んでほしいな。ふふふ、ね、いいだろう? 僕も君をセラって呼んでもいいかな」
え、絶対やだ。
何故もっとも避けたいと思っている人物と仲良くせねばならんのか。叶うなら走って逃げたい。逃げてしまいたい。
そんな私の拒絶は間違いなく顔に出ているだろうに、アルレーヌはキラキラした笑顔を崩さない。
でも流石に一国の王子に向かって「絶対無理」とか言えない……。
「はぁ……、恐縮です。アルレーヌ様」
「あぁセラ、これからは僕とも仲良くしてね」
え、絶対やだ。(二回目)
ひくひくしている私の手をとってアルレーヌは歩みを進めてしまう。
周囲に視線を走らせると、こちらの様子をうかがう生徒たちのなかに、キャロラインの姿もあった。キャロラインは驚いた表情でこちらを見ている。そうだよね、これまでなんの接点もなかったし、なんの話もしてなかったのに、驚きの展開だよね。うん、私もよ。
傍らに侍るキースは、いつもの何を考えているか分からないにこやかな表情を崩さぬまま、口を出す風はない。
そして何故かこの日から、私とキャロライン、キースとアルレーヌで昼食をとることになってしまった……。
アルレーヌとなんて、絶対仲良くなりたくないよぉお!
なのに、ことあるごとに誘って来たり、話しかけてきたり、プレゼントなんて持って来たり……。
そんな怖いモノ、お断りしているけど、何故か毎日のように来る……。なんでだ?
このゲームは一度に一人のルートにしか入ることはできない。逆ハーレムとかは無理なのだ。だから、その個別ルートに入りさえしないように、イベントを避けていけばどうにかなると思っていたのに……。
でもあの日、ライは私のことを”月の乙女”だと言った。
私の記憶にあるライのルートでは、ライの口から、月の乙女のことが語られることはなかった。
なおかつ、ライへのルートは、私が泣く泣く回避したイベントがルートの分岐点だったはずだから、本来ならライとどうこうなるはずがない。
でも、ライといい、アルレーヌといい何故予測できない動きをするの……?
……そんな困惑を燻ぶらせたまま、今日はアルレーヌ達と昼食を共にするようになって何度目かのお昼。
「あら、セラ。髪留めの金具が取れかかってるわ」
「あー……、前に外に落としてしまった時に、少し壊れちゃったようなのよね……。外れやすくなってるから、その内きちんと直さなくちゃ」
「落としたっていうのは、あの星見の日のことですか?」
そこでいつもは聞き役に徹しているキースが、珍しく尋ねてきた。
キースって美貌の氷の騎士様なんて呼ばれるくらい、冷たい美貌という表現がぴったりなのに、にこやかに話しかけてくるのが正直うさんくさい。
うっかり『この人って怖そうに見えて実は優しい良い人なのね(はぁと)』ってなりそうになる。
違うから!! この人はルートに入ると、病み多めのヤンデレだから!!
むしろドSな描写もあって怖いし……。この見た目の冷たい微笑みのもと命令されるのとか、玩具使われるのとか、マジ勘弁……。
思わずその微笑みに、返事をするのも忘れ遠い目になってしまった。
そうしていると、そんな私をよそにキャロラインが声を発した。
「え? セラ星見の日に落し物なんてしていたの? 私と一緒に寮に戻った時はそんなこと言っていなかったのに」
「あ、あぁ、そうなの……、部屋に戻ってから気が付いて、探しに園庭に戻ったの。探している時に、その、ライ……同級生と、アルレーヌ様とキース様にお会いして送って頂いたのよ」
「そう、夜の園庭でセラが困っていたからね。……でもそのおかげで、僕の探し物も見つかってね。セラには感謝したいくらいだな」
へ? 探し物? なんのこと? そんな話は初耳だ。
私はにこにこしているアルレーヌを、きょとんと見つめた。
「え、セラ!? いくらなんでも夜に探しに戻るなんて危ないわよ! いくら安全な学園の中だからって! しかも今は交易の為に、あの竜使いの一族が王都に滞在しているそうよ? 竜を従える彼らは野蛮な者達なのよ……本当に気を付けてね」
キャロラインからもたらされた野蛮な竜使いの一族、の言葉にしばし呆ける。
「野蛮な……、一族?」
「えぇ、北方の山脈を越えることが出来るのは竜使いの一族くらいだから……。私は北方の辺境の育ちだから、よく知っているわ」
アルレーヌとキースは、何も口を挟まずこちらの会話を見守っている。
「彼らは先祖が竜と交わった一族とも言われているわ。それで褐色の肌をしているのよ。けがらわしいわよね、私は粗野で野蛮で、嫌いよ。視界に入るのも嫌だわ」
「……っ」
キャロラインがこんな風に誰かに対して、嫌悪を露わにしているのは初めてみた。
アルレーヌや、キースも、そんなキャロラインを窘めるでもなく、もう他の会話に移っている。
(キャロラインですら、こんな風に差別するんだな……)
それでなくとも貴族制が敷かれている、この王国だ。
貴族はそういう考え方をする人が多いことは分かってはいたけれど、でも優しいと思っていた友人のそんな姿はショックだった。
私はゲームの知識で“竜使いの一族”を知っているということだけでなく、私自身の経験として、見た目や属性で人を差別するなんて間違っていると知っている。そんなことは、愚かなことだって分かっている。
……普段なら、普通の同級生になら、『そんなの違う、そんな考え方は間違っている』って言えたかもしれない。でも何故か、その時私は何も言えなくなってしまった。
怒りじゃない、憤りとも疎外感とも違う。
でも何故か、その場に一人ぽつんと取り残された気持ちになってしまった。
私はすっかり味のしなくなったお弁当をほおばりながら、居心地の悪い気分のまま、その日の昼食を終えたのだった。
教会にいる時は滅多に体調を崩すことはなかったのに……。
やっと熱が下がったのは三日後。寮で寝ている間は、頭の中をずっとあの日のライがぐるぐるして離れることはなかった。
(会ったらなんて話せばいいんだろう……。もしかしてもう竜の里に連れていかれちゃうの……!?)
学園にやっと登校できるというのに、私の足取りは重かった。
あの日のライの言葉の真意がわからない。いや、竜の里にお嫁に行くのはやぶさかではないが、なんでそんなことになるのか全然わからないし、どう考えても怖い。
私はドキドキしながら、教室に行き、なかをそーっと伺った。
--窓辺の席にライの姿はない。またライは学園に来ていなかった。やっぱり星見の時の、アレは幻だったのかな……?
なんだーそっかーあれは幻かーオッケーオッケー! 私ビックリしちゃったぞ★
……いやいやいや、現実だった場合を考え、対策を練らなきゃならない。っていうか、多分恐らくきっとかなりの確率で現実。現実逃避したくて仕方ないけど、きっと現実。
本当に里に連れてってくれるのかな……え、大丈夫? BADエンドになって死ぬのは勘弁なんですけど?
どこで見極めるんだ、それ……。こんなことなら、なんでBADエンドもちゃんとプレイしとかなかったんだ、私……!!
混乱が収まらない頭で、午前中は全く勉強にならないまま、昼食の時間となった。
その日も昼食を久々にキャロラインと一緒にとろうと、Aクラスにキャロラインを呼びに立ち寄る。
扉の近くにいるキャロラインを見つけて、小走りにキャロラインの名を呼ぼうとした時―――。
「やぁセレーネ嬢、ごきげんよう」
うっ目がくらむっ!
突如として、陽光を受けて目も眩まんばかりにキラキラしたアルレーヌに呼び止められた。
「……! 殿下っ、先日は過分なご配慮を賜り、有難うございました」
失礼にならないように、一応淑女の礼をとる。脳内の混乱はよそに身体はきちんと動いたことに、ほっと息を吐いた。
「いいよ、ここは学園だ。君と僕は一生徒同士だ、そのような礼は無用だよ? そして、君には殿下なんて敬称ではなく、名前で呼んでほしいな。ふふふ、ね、いいだろう? 僕も君をセラって呼んでもいいかな」
え、絶対やだ。
何故もっとも避けたいと思っている人物と仲良くせねばならんのか。叶うなら走って逃げたい。逃げてしまいたい。
そんな私の拒絶は間違いなく顔に出ているだろうに、アルレーヌはキラキラした笑顔を崩さない。
でも流石に一国の王子に向かって「絶対無理」とか言えない……。
「はぁ……、恐縮です。アルレーヌ様」
「あぁセラ、これからは僕とも仲良くしてね」
え、絶対やだ。(二回目)
ひくひくしている私の手をとってアルレーヌは歩みを進めてしまう。
周囲に視線を走らせると、こちらの様子をうかがう生徒たちのなかに、キャロラインの姿もあった。キャロラインは驚いた表情でこちらを見ている。そうだよね、これまでなんの接点もなかったし、なんの話もしてなかったのに、驚きの展開だよね。うん、私もよ。
傍らに侍るキースは、いつもの何を考えているか分からないにこやかな表情を崩さぬまま、口を出す風はない。
そして何故かこの日から、私とキャロライン、キースとアルレーヌで昼食をとることになってしまった……。
アルレーヌとなんて、絶対仲良くなりたくないよぉお!
なのに、ことあるごとに誘って来たり、話しかけてきたり、プレゼントなんて持って来たり……。
そんな怖いモノ、お断りしているけど、何故か毎日のように来る……。なんでだ?
このゲームは一度に一人のルートにしか入ることはできない。逆ハーレムとかは無理なのだ。だから、その個別ルートに入りさえしないように、イベントを避けていけばどうにかなると思っていたのに……。
でもあの日、ライは私のことを”月の乙女”だと言った。
私の記憶にあるライのルートでは、ライの口から、月の乙女のことが語られることはなかった。
なおかつ、ライへのルートは、私が泣く泣く回避したイベントがルートの分岐点だったはずだから、本来ならライとどうこうなるはずがない。
でも、ライといい、アルレーヌといい何故予測できない動きをするの……?
……そんな困惑を燻ぶらせたまま、今日はアルレーヌ達と昼食を共にするようになって何度目かのお昼。
「あら、セラ。髪留めの金具が取れかかってるわ」
「あー……、前に外に落としてしまった時に、少し壊れちゃったようなのよね……。外れやすくなってるから、その内きちんと直さなくちゃ」
「落としたっていうのは、あの星見の日のことですか?」
そこでいつもは聞き役に徹しているキースが、珍しく尋ねてきた。
キースって美貌の氷の騎士様なんて呼ばれるくらい、冷たい美貌という表現がぴったりなのに、にこやかに話しかけてくるのが正直うさんくさい。
うっかり『この人って怖そうに見えて実は優しい良い人なのね(はぁと)』ってなりそうになる。
違うから!! この人はルートに入ると、病み多めのヤンデレだから!!
むしろドSな描写もあって怖いし……。この見た目の冷たい微笑みのもと命令されるのとか、玩具使われるのとか、マジ勘弁……。
思わずその微笑みに、返事をするのも忘れ遠い目になってしまった。
そうしていると、そんな私をよそにキャロラインが声を発した。
「え? セラ星見の日に落し物なんてしていたの? 私と一緒に寮に戻った時はそんなこと言っていなかったのに」
「あ、あぁ、そうなの……、部屋に戻ってから気が付いて、探しに園庭に戻ったの。探している時に、その、ライ……同級生と、アルレーヌ様とキース様にお会いして送って頂いたのよ」
「そう、夜の園庭でセラが困っていたからね。……でもそのおかげで、僕の探し物も見つかってね。セラには感謝したいくらいだな」
へ? 探し物? なんのこと? そんな話は初耳だ。
私はにこにこしているアルレーヌを、きょとんと見つめた。
「え、セラ!? いくらなんでも夜に探しに戻るなんて危ないわよ! いくら安全な学園の中だからって! しかも今は交易の為に、あの竜使いの一族が王都に滞在しているそうよ? 竜を従える彼らは野蛮な者達なのよ……本当に気を付けてね」
キャロラインからもたらされた野蛮な竜使いの一族、の言葉にしばし呆ける。
「野蛮な……、一族?」
「えぇ、北方の山脈を越えることが出来るのは竜使いの一族くらいだから……。私は北方の辺境の育ちだから、よく知っているわ」
アルレーヌとキースは、何も口を挟まずこちらの会話を見守っている。
「彼らは先祖が竜と交わった一族とも言われているわ。それで褐色の肌をしているのよ。けがらわしいわよね、私は粗野で野蛮で、嫌いよ。視界に入るのも嫌だわ」
「……っ」
キャロラインがこんな風に誰かに対して、嫌悪を露わにしているのは初めてみた。
アルレーヌや、キースも、そんなキャロラインを窘めるでもなく、もう他の会話に移っている。
(キャロラインですら、こんな風に差別するんだな……)
それでなくとも貴族制が敷かれている、この王国だ。
貴族はそういう考え方をする人が多いことは分かってはいたけれど、でも優しいと思っていた友人のそんな姿はショックだった。
私はゲームの知識で“竜使いの一族”を知っているということだけでなく、私自身の経験として、見た目や属性で人を差別するなんて間違っていると知っている。そんなことは、愚かなことだって分かっている。
……普段なら、普通の同級生になら、『そんなの違う、そんな考え方は間違っている』って言えたかもしれない。でも何故か、その時私は何も言えなくなってしまった。
怒りじゃない、憤りとも疎外感とも違う。
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