30 / 39
30.白夜
しおりを挟む
あまりの熱さに開けていられなくなって、咄嗟に目を閉じた。
……次に開けた時、私はふわふわとした白くて明るい空間に立っていた。
どこからかあかりが差していて、辺り一面が反射しているような、天もなく地もない、白くてキラキラした空間。
自分自身の感覚は曖昧で、空間に溶け込んでいるよう。
どこまでが私で、どこからが私じゃないのかよく分からない。
立っているのか、浮かんでいるのか。
でも、ここまで駆けてきた気がする。そうだ、だってこんなに鼓動が早い。急いでいたんだ、早くいかなくちゃ。
―――どこに?どうやって?
どこに行くのか、早く思い出さなきゃ。……何を?
そこにおもむろに座り込んで、何ともなしに上を見上げた。
暖かくて穏やかな、白い空間。
空からキラキラと輝く白く柔らかい花びらが、雪が舞うように降ってくる。そしてそれは、優しく私を包みこむように覆い隠していく。
そのひとつひとつが、私を慰めているように感じた。いちまい、いちまい落ちてくる花びらが頬を掠める度に、心が静かに凪いでいく。
(ここは――……)
これまで何をしていたのか、うまく思い出せない。
熱かった、その感触だけが手のひらに残っている、けど……?
取り留めもなく、色々な想いや記憶が去来しては消えていく。ひどく愉快なような、歯痒いような、ふわふわと思考が定まらない。
『朝美、あなたの名前は朝美よ。お父さんとお母さんの所に産まれてきてくれてありがとう』
『朝美大好きだよ』
『あさみ』
お父さん、お母さん―――……
あぁ、花びらがあたたかい…。
ぱりん
(何か割れた音……?どこかで聞いたような…)
『…リア』
『…レーネ…』
『セラ…』
(あぁ、私の名前…?誰の声だっけ…)
その声に耳を澄ませていると、今度は胸に痛みや悲しみが灯った。
私を覆う花びらも、吹雪のようにその数を増す。
ぱりん ぱりん
小さなガラス玉を壁に投げつけるような音がする。
あぁ嫌だ。だってこんなものは、もういらない。
こんなことならば最初から与えなければよかった。もう加護なんて必要ない。終わりにさせよう。だって、そんなものなくても、生きていけるでしょう?
もうそんなところになんていたくない
ぐるぐると心のなかに、堪えようのない憎悪と怨嗟が渦巻く。花びらは私の膝に、頭に肩にどんどんとあつく降り積もる。
このままここで、埋もれてしまえたらいいのに――。
「セレーネ」
その時、真っ直ぐに私の知っている甘く低い声が響いた。
「!」
――その瞬間、私は目を見開いた。降り積もっていた花びらを払いのけ、立ち上がる。行かなきゃならない。
ここにいてはだめ、戻らなくちゃ。あぁ、あの人に会いに行かなくちゃ。あの人が私の名前を呼んでくれたから。
あぁあの人、私はあの人を望むの。だって私はあの人のもので、あの人は私のものだから。私が行かないと、あの人を一人にしてしまう。
私が行かなくちゃ、でも、あの人の名前が思い出せない。
あぁ、呼んで、私の名を。それじゃないと、このままじゃあ―――
「――――――――セレーネ」
「ッ!!」
「セレーネ…?」
深い水の底から顔をだした時のように、ハッと息を吐いた。
まぶたに感じる眩しい光。薄くうかがうように、目を開けた先に…褐色の肌、私を見つめる月色の瞳があった。
「あ、れ…ら、い…?」
「セレーネ…!!」
「どうしたの…?あれ…!?ライ、生きてる…?傷は?大丈夫?痛くない…?」
「…ッお前は…」
横になった寝台の上、隣に横たわるライに抱きすくめられていた。触れる熱い体温がくすぐったい。
寝台から身体を起こし、同じように身体を起こしたライと向き合う。
「ライ…?傷は?…ここは?」
「…ここは竜の里の俺の住処だ。お前は…一月程眠っていた」
「ひとつき、も…。ライの傷は?あの時、すごい血を…」
あの光景を思い出すだけで、自分の身体に恐怖と怯えが走り、肌が粟立つのが分かった。そうだ、アルレーヌに突き刺された光の刃で、ライはすごい怪我を…。
「――あの時、お前が月の魔力で癒してくれた。俺はすぐに意識を取り戻した。傷痕一つ残ってはいない…何も覚えていないのか?」
「私が…?うん…、ライが死んじゃうって思ったところまでしか覚えてない…。でもライが無事で本当に良かった…」
ライの褐色の頬に手をやり、その肌の感触と体温を確かめ、やっと安堵の息を吐いた。
(一月、かぁ…。そんなに…)
体感としては、ほんの僅かな時間、あの白い空間にいただけだった。
詳しくは思い出せないけれど、様々な感情が溢れた感覚だけはある。
気が付くと、私の手を握るライの身体が、強張り微かに震えているようだった。
「ライ…?」
「――お前を、このまま失ってしまうかと思って、いた……良かった…」
「!…ごめんなさい…」
また、血だまりに沈むライを見た時のことを思い出す。
私を抱きしめてきたライを、慰めるように背中を撫でながら、ライの熱い体温と、ライの香りに包まれると、私も溢れる涙を堪えることができなかった。
どれだけの時間そうしていただろう。
ライが顔をあげ、私の頬にキスを落とした。
「――ん、ライ…?」
「目覚めたばかりだ、身体を起こしていては障るだろう?眠るといい。それか何か欲しいものはあるか?」
「ん…水、かなぁ」
「今果実水を持ってこよう」
「ありがとう…」
寝台を立ったライを見送って、改めて周囲を見回すと、私は天蓋のある大きな寝台に寝かされていた。
そして私は紫の絹地に黒の刺繍が入った、前で結ぶだけのバスローブのような裾の長い寝間着を着せられていた。
室内の装飾も、生まれ育ったアルストロメリアでは見ることのなかった設えだ。壁は白い漆喰で塗り固められ、幾何学模様の黒い漆塗りの欄間に、床は石づくりで、提灯のような形の照明には房飾りで飾られている。目に入る装飾や、この寝間着も前世でいう東洋風、中国のような雰囲気のものだ。
こちらに転生してからというもの目にすることのなかった装飾に、本当に竜の里にいるんだなと実感する。
いつもの癖で髪飾りを触れようと髪に手を伸ばすと、肌も髪も清潔を保たれていて、ふと、不思議に思う。
「ほら、桃を絞った果実水だ」
「ありがとう。――ねぇライ、私が眠っていた時にどなたが私の世話をしてくださったの?あとでお礼を言いたいわ」
あぁ、一口含むと、桃の甘味と香味が口いっぱいに広がる。染み渡るようだ。
「あぁ、俺だ」
「え?」
「お前の世話を他人に任せるはずがなかろう。お前の世話は俺がしていた」
「――は…?」
寝間着を思わず握りしめる。え、これを着させてくれたのは…?
怖くて下着は確認できない。
「お前は飲食もせず、排泄もせず、全ての時を止めたかのように身体全体を薄い白い光に包まれて眠っていた。俺がしていたのは湯浴みくらいだがな」
「ゆ、ゆあ――!!??」
頬に熱が走る。あまりのことに、二の句が次げず、口をパクパクさせていると「あぁ、顔色がよくなってきたな」とライは金色の瞳を細めて、心底安堵したように微笑んだので、それ以上何も言えなくなってしまった。
「ほら、寝ろ。まだしばらくは養生しろ」
ポフッと寝台に倒された。
「眠るまでここにいよう、起きたら何か軽いものを食べるといい」
そういって、私を子どもを寝かしつけるように、トントンと布団の上から優しく撫でるように叩いてくれる。
「………ありがとう」
「当然だ。お前は俺のものだからな」
「ふふっ…」
(ライのその口調、自分勝手で優しくて、落ち着く…)
言葉を紡ぐことなく、私は優しい眠りに、身を委ねた。
……次に開けた時、私はふわふわとした白くて明るい空間に立っていた。
どこからかあかりが差していて、辺り一面が反射しているような、天もなく地もない、白くてキラキラした空間。
自分自身の感覚は曖昧で、空間に溶け込んでいるよう。
どこまでが私で、どこからが私じゃないのかよく分からない。
立っているのか、浮かんでいるのか。
でも、ここまで駆けてきた気がする。そうだ、だってこんなに鼓動が早い。急いでいたんだ、早くいかなくちゃ。
―――どこに?どうやって?
どこに行くのか、早く思い出さなきゃ。……何を?
そこにおもむろに座り込んで、何ともなしに上を見上げた。
暖かくて穏やかな、白い空間。
空からキラキラと輝く白く柔らかい花びらが、雪が舞うように降ってくる。そしてそれは、優しく私を包みこむように覆い隠していく。
そのひとつひとつが、私を慰めているように感じた。いちまい、いちまい落ちてくる花びらが頬を掠める度に、心が静かに凪いでいく。
(ここは――……)
これまで何をしていたのか、うまく思い出せない。
熱かった、その感触だけが手のひらに残っている、けど……?
取り留めもなく、色々な想いや記憶が去来しては消えていく。ひどく愉快なような、歯痒いような、ふわふわと思考が定まらない。
『朝美、あなたの名前は朝美よ。お父さんとお母さんの所に産まれてきてくれてありがとう』
『朝美大好きだよ』
『あさみ』
お父さん、お母さん―――……
あぁ、花びらがあたたかい…。
ぱりん
(何か割れた音……?どこかで聞いたような…)
『…リア』
『…レーネ…』
『セラ…』
(あぁ、私の名前…?誰の声だっけ…)
その声に耳を澄ませていると、今度は胸に痛みや悲しみが灯った。
私を覆う花びらも、吹雪のようにその数を増す。
ぱりん ぱりん
小さなガラス玉を壁に投げつけるような音がする。
あぁ嫌だ。だってこんなものは、もういらない。
こんなことならば最初から与えなければよかった。もう加護なんて必要ない。終わりにさせよう。だって、そんなものなくても、生きていけるでしょう?
もうそんなところになんていたくない
ぐるぐると心のなかに、堪えようのない憎悪と怨嗟が渦巻く。花びらは私の膝に、頭に肩にどんどんとあつく降り積もる。
このままここで、埋もれてしまえたらいいのに――。
「セレーネ」
その時、真っ直ぐに私の知っている甘く低い声が響いた。
「!」
――その瞬間、私は目を見開いた。降り積もっていた花びらを払いのけ、立ち上がる。行かなきゃならない。
ここにいてはだめ、戻らなくちゃ。あぁ、あの人に会いに行かなくちゃ。あの人が私の名前を呼んでくれたから。
あぁあの人、私はあの人を望むの。だって私はあの人のもので、あの人は私のものだから。私が行かないと、あの人を一人にしてしまう。
私が行かなくちゃ、でも、あの人の名前が思い出せない。
あぁ、呼んで、私の名を。それじゃないと、このままじゃあ―――
「――――――――セレーネ」
「ッ!!」
「セレーネ…?」
深い水の底から顔をだした時のように、ハッと息を吐いた。
まぶたに感じる眩しい光。薄くうかがうように、目を開けた先に…褐色の肌、私を見つめる月色の瞳があった。
「あ、れ…ら、い…?」
「セレーネ…!!」
「どうしたの…?あれ…!?ライ、生きてる…?傷は?大丈夫?痛くない…?」
「…ッお前は…」
横になった寝台の上、隣に横たわるライに抱きすくめられていた。触れる熱い体温がくすぐったい。
寝台から身体を起こし、同じように身体を起こしたライと向き合う。
「ライ…?傷は?…ここは?」
「…ここは竜の里の俺の住処だ。お前は…一月程眠っていた」
「ひとつき、も…。ライの傷は?あの時、すごい血を…」
あの光景を思い出すだけで、自分の身体に恐怖と怯えが走り、肌が粟立つのが分かった。そうだ、アルレーヌに突き刺された光の刃で、ライはすごい怪我を…。
「――あの時、お前が月の魔力で癒してくれた。俺はすぐに意識を取り戻した。傷痕一つ残ってはいない…何も覚えていないのか?」
「私が…?うん…、ライが死んじゃうって思ったところまでしか覚えてない…。でもライが無事で本当に良かった…」
ライの褐色の頬に手をやり、その肌の感触と体温を確かめ、やっと安堵の息を吐いた。
(一月、かぁ…。そんなに…)
体感としては、ほんの僅かな時間、あの白い空間にいただけだった。
詳しくは思い出せないけれど、様々な感情が溢れた感覚だけはある。
気が付くと、私の手を握るライの身体が、強張り微かに震えているようだった。
「ライ…?」
「――お前を、このまま失ってしまうかと思って、いた……良かった…」
「!…ごめんなさい…」
また、血だまりに沈むライを見た時のことを思い出す。
私を抱きしめてきたライを、慰めるように背中を撫でながら、ライの熱い体温と、ライの香りに包まれると、私も溢れる涙を堪えることができなかった。
どれだけの時間そうしていただろう。
ライが顔をあげ、私の頬にキスを落とした。
「――ん、ライ…?」
「目覚めたばかりだ、身体を起こしていては障るだろう?眠るといい。それか何か欲しいものはあるか?」
「ん…水、かなぁ」
「今果実水を持ってこよう」
「ありがとう…」
寝台を立ったライを見送って、改めて周囲を見回すと、私は天蓋のある大きな寝台に寝かされていた。
そして私は紫の絹地に黒の刺繍が入った、前で結ぶだけのバスローブのような裾の長い寝間着を着せられていた。
室内の装飾も、生まれ育ったアルストロメリアでは見ることのなかった設えだ。壁は白い漆喰で塗り固められ、幾何学模様の黒い漆塗りの欄間に、床は石づくりで、提灯のような形の照明には房飾りで飾られている。目に入る装飾や、この寝間着も前世でいう東洋風、中国のような雰囲気のものだ。
こちらに転生してからというもの目にすることのなかった装飾に、本当に竜の里にいるんだなと実感する。
いつもの癖で髪飾りを触れようと髪に手を伸ばすと、肌も髪も清潔を保たれていて、ふと、不思議に思う。
「ほら、桃を絞った果実水だ」
「ありがとう。――ねぇライ、私が眠っていた時にどなたが私の世話をしてくださったの?あとでお礼を言いたいわ」
あぁ、一口含むと、桃の甘味と香味が口いっぱいに広がる。染み渡るようだ。
「あぁ、俺だ」
「え?」
「お前の世話を他人に任せるはずがなかろう。お前の世話は俺がしていた」
「――は…?」
寝間着を思わず握りしめる。え、これを着させてくれたのは…?
怖くて下着は確認できない。
「お前は飲食もせず、排泄もせず、全ての時を止めたかのように身体全体を薄い白い光に包まれて眠っていた。俺がしていたのは湯浴みくらいだがな」
「ゆ、ゆあ――!!??」
頬に熱が走る。あまりのことに、二の句が次げず、口をパクパクさせていると「あぁ、顔色がよくなってきたな」とライは金色の瞳を細めて、心底安堵したように微笑んだので、それ以上何も言えなくなってしまった。
「ほら、寝ろ。まだしばらくは養生しろ」
ポフッと寝台に倒された。
「眠るまでここにいよう、起きたら何か軽いものを食べるといい」
そういって、私を子どもを寝かしつけるように、トントンと布団の上から優しく撫でるように叩いてくれる。
「………ありがとう」
「当然だ。お前は俺のものだからな」
「ふふっ…」
(ライのその口調、自分勝手で優しくて、落ち着く…)
言葉を紡ぐことなく、私は優しい眠りに、身を委ねた。
10
あなたにおすすめの小説
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる