理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

burazu

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異世界生活は大変です

魔法とスキルの法則

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 館での会が終わると同時に改めて俺は治癒士長のザリアン氏に別室に誘導されて話を持ち掛けられ、会議中に俺の魔力を探知して、俺にスキルの種がない事から俺が異世界人であると判断したと告げたのだ。

「まずは尋ねたいが、お前は魔法とスキル、それぞれの習得方法は知っているのか?」
「スキルの習得方法は以前聞きましたが、魔法の習得方法までは分かりません」
「そうか、魔法というのはすなわち魔力を消費して使用するものであり、一定以上の魔力を有していなければ使用できないのだ」
「はい」

 そうだったのか、確かに言われてみれば魔法を使っている人なんて身近ではミミぐらいで、この治癒士達もいわゆる治癒魔法で治療をしているようだしな。

「魔導書で基本的な魔法を学び、そこからは各々に適した精と契約するのだ」
「精との契約?」
「魔法の概念のようなものだな、我ら治癒士や聖女並びにその見習いは治癒の精と契約する」

 ミミが呪文を詠唱する際に事あるごとに治癒の精と呼んでいたのはそういう事だったのか、あれ?でも待てよ確かミミが1度だけ詠唱しないで魔法を使ったのを見たことあるぞ。

「1度だけ、聖女見習いのミミという子が無詠唱でそれも火の魔法を放ったのを見たことがあるんですが、あれはどういうことなんですか?」
「それは基本的な魔法で詠唱の必要がなく、使用できるのだ」

 ザリアン氏の説明に納得していると更にザリアン氏が俺に対して話を続ける。

「実は私は疑問に思っていたのだ、二コラ様を治されたのが本当にスキルの類であったのかをな」
「え?」
「もちろん治療に適したスキルも存在はするが、話を聞く限りもしかしたら我らの知らぬうちに発展した治癒魔法の可能性も捨てきれないでいた」
「そうだったんですか?」

 まさか俺のスキルを治癒魔法の発展系と思っていたなんて、なんとなくだがこの人は着眼点が今まで会った人達と違うな。それがこの世界で長年優れた功績を残せた証なのか?

「だが、お前の魔力量は少なく、スキルの種も探知できない、そして他国にもそのような者は存在せんのだ」
「それで、まさか……」
「そうだ、我らの常識、そしてあらゆる法則性が適用されないとなると異世界人であると判断するのが私としては妥当だと思ったのだ」
「確かに自分は異世界からの転移者で魔法やスキルの常識はこの世界の人と同じではないかもしれません」

 俺を異世界人と判断したザリアン氏だが、あえてあの場で公表せずにわざわざ2人きりになってその事を告げた理由は何なんだ?
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