理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

burazu

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異世界生活は大変です

研究と育成

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 ザリアン氏がこの世界の魔法とスキルの法則が俺に当てはまらない事から俺を異世界人と判断し、俺も自らが異世界よりの転移者である事を明かした。

 そして転移後にミミの治療だけでは不十分な場面に出くわした際にスキル:最適化リハビリを習得した事を明かした。

「そうであったか」
「はい、そして何度か後遺症を取り除いているうちに気付いたのですが、この世界の人達も、自分が元居た世界の人達も身体的な構造は変わらないんです」
「ふむ、教本に書いているリハビリとやらの知識は元の世界で学んだことなのだな?」
「はい、本当は道具とかも必要な方法もあったんですが、とりあえずはできそうな方法で」

 理学療法やリハビリには必要な機器や道具もあるのだが、当然ながらこの世界には存在しない。だから俺はとりあえずは教本には道具や機器がなくてもできる方法のみを書いたのだ。

「そうか、まあよい。教本を読む限り後遺症も長い時間をかけて取り除くのが本来のリハビリの在り方のようだしな」
「ええ、スキルはあくまでも短縮にすぎませんからね」

 一瞬、間ができたし、俺も気になることを聞いてみるか。

「あの何故先程お気づきになっても、自分を異世界人とは公表しなかったのですか?」
「何を聞くかと思えばそのような事か、あの場にいる人間でスキルの種の有無に気付けたのは私1人だが、いくら何でもスキルの種なしにスキルを習得した事は突拍子のない話であるからな」
「それで公表しなかったんですか?」
「それもあるがあの場で私がお前を異世界人と断じればよからぬ話が広がり、診療所そのものに人が行かなくなる。それは我らも困るからな」

 診療所が立ち行かなくなると治癒士達も困る?不思議に感じていると更にザリアン氏は話を続ける。

「私はかねてより治癒魔法で治しきれない領域、お前の言う後遺症をどうにかできぬかと考えていたのだ」
「え?」
「だが、そのような治癒魔法は過去の書物を読んでもなく、新たな魔術研究を王都の治癒士をしていた頃にも進めていたが……」

 次の瞬間に無念そうな表情で語る。

「私自身が倒れてしまい、一時療養していたが私が療養している間に研究そのものは打ち止めとなり、私は自らの老いと力のなさに打ちひしがれ、王都の治癒士を辞め、元々の出生地であるコーロに戻ったのだ」
「そうだったんですか……」
「ゴルをはじめとした若き治癒士の育成を兼ねるのも目的であった、彼らがいずれ私の意志を引き継いでくれればと思った矢先にユーイチよ、お前が現れたのだ」

 この人ほど優秀な人でも老いと力不足には抗えなかった、少し見えてきたかもしれないこの人が俺のスキルを弟子に見せようとしている理由が。
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