理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

burazu

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異世界で仲間が増えました

料理の準備

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審査の結果、メルさんも食の催し物に参加する事が決定した。

 そのメルさんにソフィアさんがある用紙を渡していた。

「参加が決定したのでこれにご記入をお願いします」
「これは?」
「当日に用意できる料理の個数を書いてもらいたいのです。これによって協力金、いわば料理の代金の補償をこちらでさせていただきます」
「ええっと、それなら……」

 そう言って書き終えた用紙をソフィアさんに渡すとその数字に驚きを隠せずにいて思わず再度メルさんに確認した。

「あの50と書いてありますが、あと5日でしかもお1人でご用意するつもりですか?」
「ええ、たくさんの人に食べてもらいたいので」

 さすがに俺も5日でしかも1人で50食の用意は無茶だろうと思ったから思わず口を出した。

「あの、メルさん、さすがにあと5日でしかもお1人で50食用意するのは無理があると思いますよ。1食でも足りないと罰金があるんですよ」
「うん、でもそれも承知のうえよ」
「え?」
「無理言ってこれだけの人に手間をかけてもらったし、少しでもお返しするにはやっぱり料理をできる限り多くの人に届けるしか考えられないの」

 自分の意志を無理にでも通したからには自分にできる方法で借りを返したいのか。

 まあ、本人が罰金のリスクを受け入れてでも数多く提供したいなら俺からは言う事はないな。

「分かりました、ではあなたのご希望通り50食で申請しておきます」
「お願いします」
「それじゃあ皆さん、そろそろ帰りましょうか」

 ソフィアさんの呼びかけで各々が店を出ようとしていき、メルさんに挨拶をしていくが、俺はその場から動かず、その様子にミミが疑問を抱いて俺に尋ねる。

「あの、ユーイチ様。どうされたんですか?」
「悪いけどミミ、みんなと先に帰ってくれるか、俺はもう少し詰めたい話があるから」
「そうですか、分かりました。ユーイチ様が診療所の鍵を持っているので私はこのまま自分の住まいに帰りますね」

 ミミの言葉にうなづくと、ミーザやギベルト達もメルさんの店をあとにする。

 全員がいなくなってから俺はまず以前メルさんが話していた事について言及する。

「いきなりですがメルさん前に『私の料理を食べれば好き嫌いなんて治るよ』っておっしゃていましたが、それはご自身がお父さんにしてもらった事が理由だったんですね」
「……うん、その料理も父から教えてもらって身につけたの」
「そうなんですか、でもそんなお父さんがいるならお父さんの元で修行すれば良かったのに」
「それは無理なの……だって、死んじゃったから……」

 メルさんのお父さんが既に亡くなっていた?そうだとしてもなぜダッカ地方からこのキッコの街に来たんだ?
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