理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

burazu

文字の大きさ
206 / 273
異世界で仲間が増えました

いざお祝いへ

しおりを挟む
何とか午後の診療も無事に終了し、俺達はメルの店に行く為に身支度も終え、いよいよ出発の時が来た。

「さあ、ミミ、ミーザ、準備ができたならそろそろ行くぞ」
「はい、そろそろ参りましょう」
「そうだね、先にギベルトが着いているかもしれないし」

 俺の呼びかけにミミとミーザは応じて診療所を出て、一路メルの店へと向かう。

 歩いている途中でミーザが俺に声をかける。

「ねえユーイチ、アレフさんの提案を領主様が受け入れてくれたらユーイチは次はどこのお店にお願いしようと思っているの?」
「まだ、そこまでは考えていないな、協力報酬があればやってもいい店は出てくるかもしれないが、基本的には主食や主菜、副菜をバランスよく作れるところだな」
「そうなんだ、結構仲いいけどユーリ君のパン屋には頼まないって事だよね?」
「まあ、さすがにパンしか作らないお店に頼むのは難しいかな」

 総菜パンや菓子パンみたいなものも作ってはいるようだが、リハビリ中の食事メニューをそれらのパンだけで補うのは大変だよな。

 もちろん仲の良い人に協力して欲しい気持ちもないわけではないけど、ユーリ君はお婆さんとの生活があるし、そもそも実際に協力してくれるかどうかを決めるのは親方さんだしな。

 ミーザとそういう話をしていたら後ろから声が聞こえてきた。

「おーーーい!みんな!みんなもあの店に向かう途中だよな⁉」
「ギベルト」
「ギベルト様」
「あんた、思ったより早く出ていたんだね」

 俺達の後ろから声をかけたのはギベルトであり、俺達の反応、というよりミーザの言葉に返答をする。

「まあな、ミミから聞いてペースを上げて今日の仕事は早めに終わらせたからな」
「それで雑な仕事をして依頼人から怒られないでよね」
「おいおい、俺がそんなヘマをするかよ」

 ミーザとギベルトがやり取りをしている中、俺はギベルトに今日のプレゼン結果を教えようと思い、声をかけた。

「そうだ、ギベルト、今日のプレゼン結果の事だけど」
「おお、どうだったんだ?」
「とりあえず試験的にまずは一家庭でリハビリ用の食事メニューを提供してみてはと言われた」
「そっか!良かったじゃねえか!よーし!めでてえし今日は飲むぞ!」

 ははは、やっぱりギベルトはそう来るか、どうやらこの口ぶりだとメルの店で夜には酒も出している事は知っているようだな。

「どうせ、ユーイチのプレゼンが通らなくても飲むつもりだったんでしょ」
「ばれたか、まあそん時はユーイチを慰める意味で飲んでいたかもな」
「それ何が違うのさ」

 こいつらのやり取りを見て少しミミが微笑んでいる。この分だと祝いの席はもっと笑ってくれるかもな。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

処理中です...