理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

異世界で仲間が増えました

奮発した料理

　ギベルトも合流し、4人で歩いてメルのお店に到着すると入り口の扉に張り紙が貼ってあったので、読んでみる事にした。

「ええっと、『本日は夜から貸し切りとなりますので、申し訳ないですが夜の営業はお休みさせていただきます』か」
「これってつまり、あたし達の事だよね」
「そうだろうな、とりあえずまずはノックしてみよう」

　そう言いながら俺は扉をノックし、中にいるメルに呼びかける。

「メル、俺だユーイチだ。ミミ達も一緒だ」

　俺がそう呼びかけるとしばらくしてから扉が開き、メルが俺に声をかける。

「いらっしゃい、あ、みんな来たのね。どうぞ中に入って」

　メルに案内されて俺達は料理の皿が用意されたテーブルへと座る。

　それぞれがテーブルの座席に着くとまずはメルから声をかけてくる。

「それでさ、ユーイチ君、そのプレ、プレ……」
「プレゼンの事か？」
「そう、それってどうだったの？」

　メルがまずプレゼン結果が気になっていたようなので俺はプレゼン結果を報告する事にした。

「結論から言うと、俺の提案は受け入れられた。これからリハビリが必要な家庭をアレフさんが探してくれてまずはそこで試験的な開始となる」
「そうなんだ、私もなんか安心した」
「それだけじゃない、俺は診療報酬からメルの取り分を支払おうと思っていたが、アレフさんがメルには別途支払ってくれるらしい」
「私はそうしてもらえるのはありがたいけど、それについてわけとか言っていたの？」

　メルが疑問に感じているので俺はアレフさんから聞いている事を話した。

「アレフさんはメルに協力報酬を出す事でいつかは、他の店も俺のリハビリ中の食事メニュー作りへの協力に積極的になるんじゃないかって言ってた」
「そうなの」
「言うなれば、先を見越した投資のようなものだと思っている。まあ領主様に進言してから決まるらしいけどな」
「まあ、今はユーイチ君の提案が通って、私の協力も認められた事を喜びましょう」

　そう言ってメルは厨房に戻って料理の仕上げをしていた。俺達が来るまでに仕込みは終わっていたからかあっという間だったな。

　そしてメルが運んでくれた料理はチキンローストでとても美味そうに見える。

「良かった、ちょっと奮発していいお肉を用意して、そうだせっかくだし私に乾杯の挨拶させてもらってもいいかな？」
「いいんじゃない」
「おお、少なくともユーイチの長ったらしくなりそうな挨拶よりはましっぽいからな」

　こいつらめ……まあ、メルがきっと何か言いたいだろうし、してもらってもいいかな。