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その野望、救援(レスキュー)するぜ!
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「そうよ、気に食わないけど、王位なんてお兄さんにあげちゃえばいいじゃない」
「そうもいかぬ、試練への招聘は神聖なものだ。逃げれば家の恥ともなる」
「家って……そんな薄情な実家に義理立てしなくたって……!」
自分の代わりに怒ってくれるアリエッタに、イシュアは微笑んだ。
「仕方ない、わたしは、そういう運命なのだ」
「……っ」
アリエッタが勢い込んで口を開こうとした瞬間、シルヴァが咽喉の奥で短く笑った。
「仕方ない、ねえ」
それまでの飄々とした口調が一転、わずかに冷ややかなものに変わる。
「で、どうなんだ王子」
イシュアが、虚ろなままの目をシルヴァに向ける。
「…………どうなんだ、とは……?」
「王子は本当はどうしたい? それを聞いてる」
「どうしたいと言われても……。
わたしは試練を受けるしかない。
そう決まっているのだ」
「決まっている、ね」
片眉を上げてにやりと笑う。
「もう決められたことだから、王子は馬鹿正直に従うんだな?
イカサマだろうが無茶振りだろうが、家臣に便利に扱われようが、言われたとおりにグラータくんだりまでほいほいやってきて、あっさり遭難して指さして笑われて。
それでもまだ試練を受けるしかないんだ。へえ、そりゃ大変。ごくろうさん」
「ちょっと……!」
あまりの物言いにアリエッタが立ち上がる、と、その袖をギヨームがそっと引いた。
黙って首を振ってみせる。
シルヴァは、あからさまにイシュアを煽っている。
訳もなく人を傷つけるような言葉を吐く人間では、決してない。
ならばここは任せるべきだ。
アリエッタにそう目で訴えた。
イシュアは顔を歪め、わずかに震えながら、それでもうつむいたままでいる。
「ふうん、黙って大人しく下向いてるんだ?
まあ仕方ないもんな、仕方ない仕方ない」
「……………………くっ…………!」
きつくかみしめた奥歯がぎしりと鳴る。
口を開いたらダメだ。
仕方ないと呪文をとなえ、ずっと諦めて蓋をしてきたものが溢れだしてしまったら、もう取り返しが付かなくなる。
シルヴァは肩をすくめて首を振ると、イシュアの横に回り込んだ。
顔をのぞき込んで耳元で、くぐもった暗い笑い声を立ててみせる。
「人生なにもかも誰かの都合。
自分の命すら自分の好きに使えねえ」
イシュアが自分を閉じ込めるため自分に施した『封印』に、シルヴァは容赦のない一撃を放つ。
「それで悔しくないのかよ。
なにかやりたいことがあるんじゃねえか? 王子」
こらえていた感情が、一気に爆発した。
「そうもいかぬ、試練への招聘は神聖なものだ。逃げれば家の恥ともなる」
「家って……そんな薄情な実家に義理立てしなくたって……!」
自分の代わりに怒ってくれるアリエッタに、イシュアは微笑んだ。
「仕方ない、わたしは、そういう運命なのだ」
「……っ」
アリエッタが勢い込んで口を開こうとした瞬間、シルヴァが咽喉の奥で短く笑った。
「仕方ない、ねえ」
それまでの飄々とした口調が一転、わずかに冷ややかなものに変わる。
「で、どうなんだ王子」
イシュアが、虚ろなままの目をシルヴァに向ける。
「…………どうなんだ、とは……?」
「王子は本当はどうしたい? それを聞いてる」
「どうしたいと言われても……。
わたしは試練を受けるしかない。
そう決まっているのだ」
「決まっている、ね」
片眉を上げてにやりと笑う。
「もう決められたことだから、王子は馬鹿正直に従うんだな?
イカサマだろうが無茶振りだろうが、家臣に便利に扱われようが、言われたとおりにグラータくんだりまでほいほいやってきて、あっさり遭難して指さして笑われて。
それでもまだ試練を受けるしかないんだ。へえ、そりゃ大変。ごくろうさん」
「ちょっと……!」
あまりの物言いにアリエッタが立ち上がる、と、その袖をギヨームがそっと引いた。
黙って首を振ってみせる。
シルヴァは、あからさまにイシュアを煽っている。
訳もなく人を傷つけるような言葉を吐く人間では、決してない。
ならばここは任せるべきだ。
アリエッタにそう目で訴えた。
イシュアは顔を歪め、わずかに震えながら、それでもうつむいたままでいる。
「ふうん、黙って大人しく下向いてるんだ?
まあ仕方ないもんな、仕方ない仕方ない」
「……………………くっ…………!」
きつくかみしめた奥歯がぎしりと鳴る。
口を開いたらダメだ。
仕方ないと呪文をとなえ、ずっと諦めて蓋をしてきたものが溢れだしてしまったら、もう取り返しが付かなくなる。
シルヴァは肩をすくめて首を振ると、イシュアの横に回り込んだ。
顔をのぞき込んで耳元で、くぐもった暗い笑い声を立ててみせる。
「人生なにもかも誰かの都合。
自分の命すら自分の好きに使えねえ」
イシュアが自分を閉じ込めるため自分に施した『封印』に、シルヴァは容赦のない一撃を放つ。
「それで悔しくないのかよ。
なにかやりたいことがあるんじゃねえか? 王子」
こらえていた感情が、一気に爆発した。
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