23 / 43
その野望、救援(レスキュー)するぜ!
4
しおりを挟む
「そうよ、気に食わないけど、王位なんてお兄さんにあげちゃえばいいじゃない」
「そうもいかぬ、試練への招聘は神聖なものだ。逃げれば家の恥ともなる」
「家って……そんな薄情な実家に義理立てしなくたって……!」
自分の代わりに怒ってくれるアリエッタに、イシュアは微笑んだ。
「仕方ない、わたしは、そういう運命なのだ」
「……っ」
アリエッタが勢い込んで口を開こうとした瞬間、シルヴァが咽喉の奥で短く笑った。
「仕方ない、ねえ」
それまでの飄々とした口調が一転、わずかに冷ややかなものに変わる。
「で、どうなんだ王子」
イシュアが、虚ろなままの目をシルヴァに向ける。
「…………どうなんだ、とは……?」
「王子は本当はどうしたい? それを聞いてる」
「どうしたいと言われても……。
わたしは試練を受けるしかない。
そう決まっているのだ」
「決まっている、ね」
片眉を上げてにやりと笑う。
「もう決められたことだから、王子は馬鹿正直に従うんだな?
イカサマだろうが無茶振りだろうが、家臣に便利に扱われようが、言われたとおりにグラータくんだりまでほいほいやってきて、あっさり遭難して指さして笑われて。
それでもまだ試練を受けるしかないんだ。へえ、そりゃ大変。ごくろうさん」
「ちょっと……!」
あまりの物言いにアリエッタが立ち上がる、と、その袖をギヨームがそっと引いた。
黙って首を振ってみせる。
シルヴァは、あからさまにイシュアを煽っている。
訳もなく人を傷つけるような言葉を吐く人間では、決してない。
ならばここは任せるべきだ。
アリエッタにそう目で訴えた。
イシュアは顔を歪め、わずかに震えながら、それでもうつむいたままでいる。
「ふうん、黙って大人しく下向いてるんだ?
まあ仕方ないもんな、仕方ない仕方ない」
「……………………くっ…………!」
きつくかみしめた奥歯がぎしりと鳴る。
口を開いたらダメだ。
仕方ないと呪文をとなえ、ずっと諦めて蓋をしてきたものが溢れだしてしまったら、もう取り返しが付かなくなる。
シルヴァは肩をすくめて首を振ると、イシュアの横に回り込んだ。
顔をのぞき込んで耳元で、くぐもった暗い笑い声を立ててみせる。
「人生なにもかも誰かの都合。
自分の命すら自分の好きに使えねえ」
イシュアが自分を閉じ込めるため自分に施した『封印』に、シルヴァは容赦のない一撃を放つ。
「それで悔しくないのかよ。
なにかやりたいことがあるんじゃねえか? 王子」
こらえていた感情が、一気に爆発した。
「そうもいかぬ、試練への招聘は神聖なものだ。逃げれば家の恥ともなる」
「家って……そんな薄情な実家に義理立てしなくたって……!」
自分の代わりに怒ってくれるアリエッタに、イシュアは微笑んだ。
「仕方ない、わたしは、そういう運命なのだ」
「……っ」
アリエッタが勢い込んで口を開こうとした瞬間、シルヴァが咽喉の奥で短く笑った。
「仕方ない、ねえ」
それまでの飄々とした口調が一転、わずかに冷ややかなものに変わる。
「で、どうなんだ王子」
イシュアが、虚ろなままの目をシルヴァに向ける。
「…………どうなんだ、とは……?」
「王子は本当はどうしたい? それを聞いてる」
「どうしたいと言われても……。
わたしは試練を受けるしかない。
そう決まっているのだ」
「決まっている、ね」
片眉を上げてにやりと笑う。
「もう決められたことだから、王子は馬鹿正直に従うんだな?
イカサマだろうが無茶振りだろうが、家臣に便利に扱われようが、言われたとおりにグラータくんだりまでほいほいやってきて、あっさり遭難して指さして笑われて。
それでもまだ試練を受けるしかないんだ。へえ、そりゃ大変。ごくろうさん」
「ちょっと……!」
あまりの物言いにアリエッタが立ち上がる、と、その袖をギヨームがそっと引いた。
黙って首を振ってみせる。
シルヴァは、あからさまにイシュアを煽っている。
訳もなく人を傷つけるような言葉を吐く人間では、決してない。
ならばここは任せるべきだ。
アリエッタにそう目で訴えた。
イシュアは顔を歪め、わずかに震えながら、それでもうつむいたままでいる。
「ふうん、黙って大人しく下向いてるんだ?
まあ仕方ないもんな、仕方ない仕方ない」
「……………………くっ…………!」
きつくかみしめた奥歯がぎしりと鳴る。
口を開いたらダメだ。
仕方ないと呪文をとなえ、ずっと諦めて蓋をしてきたものが溢れだしてしまったら、もう取り返しが付かなくなる。
シルヴァは肩をすくめて首を振ると、イシュアの横に回り込んだ。
顔をのぞき込んで耳元で、くぐもった暗い笑い声を立ててみせる。
「人生なにもかも誰かの都合。
自分の命すら自分の好きに使えねえ」
イシュアが自分を閉じ込めるため自分に施した『封印』に、シルヴァは容赦のない一撃を放つ。
「それで悔しくないのかよ。
なにかやりたいことがあるんじゃねえか? 王子」
こらえていた感情が、一気に爆発した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる