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やりたいこと
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『勇者の試練』に挑む自分に酔っているのかもしれない。
やや芝居がかったルーファスの台詞に、イシュアはぽかんと口を開けてしまった。
思わず腰に下げた鞄に手を遣る。
「どうした弟よ。
あまりの恐ろしさに、心の臓が止まってしまったのか?」
別の意味で心臓が止まりそうになったイシュアだ。
焦って、鞄からあの巻かれた羊皮紙を取り出す。
するりと麻紐が解かれ、羊皮紙が開かれると、次の瞬間、地面に黒光りする物体がごろりと転がり落ちた。
「それはまさか……大鎧百足の……『兜』……?」
ルーファス、そして騎士たちは、目の前の石畳に無造作に転がる『命題』に頭が追いつかず硬直する。
そこへシルヴァが割り込んだ。
それはそれは楽しげに。
「ああそれ、王子が一撃で倒しちまった奴じゃん」
「な……?」
驚きのあまり顎が外れそうになったルーファスとその家臣たちに、ギヨームとアリエッタも次々と追い打ちをかけてやる。
「振り下ろされた巨大な百足の顎肢を受け止め、返す刃で鋼鉄より硬いと言われる胴体を真っ二つに……いやはや、なんとも鮮やかな腕前でございました」
「身を挺してわたしをかばってくれたのよね!
カッコよかったわ~!
さすがは王子様!」
先程までのぶち切れモードはどこへやら、アリエッタは両手を合わせ、愛らしい仕草でうっとりとイシュアの勇姿を語る。
「…………馬鹿な!」
ようやく硬直を解いた騎士が、がたがたと震える手でイシュアを指さした。
「まことしやかに虚言をひけらかすとは、いくら殿下でも許されぬぞ!」
「虚言とはなによ! 失礼ね!」
アリエッタがまた爆発寸前になる。その様子にイシュアの頬が緩む。
「王子様! びしっと言ってやりなさいよ!」
「ああ」
イシュアは、もうなんの気負いもなく、馬上の兄に相対した。
「兄上、これをどうぞ。
わたしには不要のものです」
「!」
場が一気にざわめく。
アリエッタが血相変えてイシュアの服を掴んだ。
「王子様? ちょっと待ってよ!
何考えてるの?
これはあなたが……!」
「よいのだアリエッタ。
王位など、欲しいものが得ればよいのだ。
いらぬものは捨てる。それだけのことだ」
「捨てる……ですか」
目を見張るギヨームの横で、シルヴァは手を打って破顔した。
「はっはっは!
…………言うじゃねえか王子!」
喉から手が出るほど欲した命題の宝物が、いま眼前に転がっている。
だがさんざん馬鹿にしてきた弟が無造作に捨てたものを、おめおめと拾えるはずもない。
馬上のルーファスが、わなわなと震え出す。
主より先に切れたのは、騎士の一人だった。
やや芝居がかったルーファスの台詞に、イシュアはぽかんと口を開けてしまった。
思わず腰に下げた鞄に手を遣る。
「どうした弟よ。
あまりの恐ろしさに、心の臓が止まってしまったのか?」
別の意味で心臓が止まりそうになったイシュアだ。
焦って、鞄からあの巻かれた羊皮紙を取り出す。
するりと麻紐が解かれ、羊皮紙が開かれると、次の瞬間、地面に黒光りする物体がごろりと転がり落ちた。
「それはまさか……大鎧百足の……『兜』……?」
ルーファス、そして騎士たちは、目の前の石畳に無造作に転がる『命題』に頭が追いつかず硬直する。
そこへシルヴァが割り込んだ。
それはそれは楽しげに。
「ああそれ、王子が一撃で倒しちまった奴じゃん」
「な……?」
驚きのあまり顎が外れそうになったルーファスとその家臣たちに、ギヨームとアリエッタも次々と追い打ちをかけてやる。
「振り下ろされた巨大な百足の顎肢を受け止め、返す刃で鋼鉄より硬いと言われる胴体を真っ二つに……いやはや、なんとも鮮やかな腕前でございました」
「身を挺してわたしをかばってくれたのよね!
カッコよかったわ~!
さすがは王子様!」
先程までのぶち切れモードはどこへやら、アリエッタは両手を合わせ、愛らしい仕草でうっとりとイシュアの勇姿を語る。
「…………馬鹿な!」
ようやく硬直を解いた騎士が、がたがたと震える手でイシュアを指さした。
「まことしやかに虚言をひけらかすとは、いくら殿下でも許されぬぞ!」
「虚言とはなによ! 失礼ね!」
アリエッタがまた爆発寸前になる。その様子にイシュアの頬が緩む。
「王子様! びしっと言ってやりなさいよ!」
「ああ」
イシュアは、もうなんの気負いもなく、馬上の兄に相対した。
「兄上、これをどうぞ。
わたしには不要のものです」
「!」
場が一気にざわめく。
アリエッタが血相変えてイシュアの服を掴んだ。
「王子様? ちょっと待ってよ!
何考えてるの?
これはあなたが……!」
「よいのだアリエッタ。
王位など、欲しいものが得ればよいのだ。
いらぬものは捨てる。それだけのことだ」
「捨てる……ですか」
目を見張るギヨームの横で、シルヴァは手を打って破顔した。
「はっはっは!
…………言うじゃねえか王子!」
喉から手が出るほど欲した命題の宝物が、いま眼前に転がっている。
だがさんざん馬鹿にしてきた弟が無造作に捨てたものを、おめおめと拾えるはずもない。
馬上のルーファスが、わなわなと震え出す。
主より先に切れたのは、騎士の一人だった。
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