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グローディアス王国編

佑里恵の決断と願い…そして祈りを大切な貴方に…。

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佑里恵の手紙は続く…。

《この世界は命が紙よりも軽い…本当に悲しかった。
可愛い獣人の子供は半獣人だって理由だけで奴隷に売られたわ…そして、人から残酷に使われて短い一生を終えてしまった!

ショックだった…本当に悲しかった…そして…怒りが込み上げたわ!!
理不尽な理由で死んで行く命がある事を私はまた嘆くだけなの?自分の力不足を嘆くだけで動かない私は、只の傍観者で命を使い潰す人達と同じだ!
そして私はいっぱい考えたの…どうしたらあの命を助けられるのか?
助けるだけなら神から貰った力で簡単に助ける事は出来るけど…ただそれだけ…。
1人2人助けて自己満足するだけではダメだ!そう思って考えに考えて…人を育てる、教育をする、先生としてもう一度教壇に立つ事を選んだの…。
勿論、持ってる神から貰った力を最大限に利用したし少しずつ賛同者を得て、この小さな国に来たのよ。

この小さな国はまだこれからの…地球でいうなら発展途上国でね、この世界では珍らしく柔軟な心を持っていた。
そこで出会った王様もまだ若くて…もう色々自分の中にあった知識をフル活用したわ!
上下水道や衛生観念を教えて、この世界では当たり前にあった伝染病をこの国では撲滅したわ!
そして子供達に教育をする事の大事さを命の尊さを神から貰った力を使ってでも浸透させた!
学校を始めた時は生徒はたった5人だったけど…だんだん広がる世界に喜びを覚えた。
そして気が付いたのよ、この世界は未来に繋がっている世界だって事を!
佐山くんが生きる未来に繋がっている世界なら…私はこの世界を住みやすい国にして佐山くんをサポート出来るんだって!
そう思ったら泣いちゃった…嬉しくて…そしてそれがこの国を守る事が佐山くんを守る事に繋がるって気が付いたから私は頑張ったよ!
ええと、地球の神から貰ったライトノベルでいうところの無双をしたよ!!
ふふふ…地味にあの本が役に立ったわ…本当に感謝したわ!

そして、現代日本では考えられ無い事だけど…王様と結婚したの…。
日本では彼氏いない歴史イコール年齢だったのに!!
凄いイケメンと恋愛結婚しちゃったよ!!
子供もね、5人出来たのよ…長男が黒髪黒眼だったけど…私に似ないで顔はイケメンで安心したし、可愛い女の子も生まれて…でも私に似て身長が低かったから筆頭侯爵家のバカ坊がいじめたから、強制的に可愛いモノ好きに魔改造してやったり…幸せな時間を貰ったのよ。

最初は罪の意識から佐山くんを助けたいと思って行った異世界なのに…こんな私が幸せになっていいのか?って思い悩んだりもしたけど…旦那様に言われたの…貴女の不幸を望む様な子なのか?って!
あの苦しみの中にあっても微笑んでいた佐山千尋くんは、きっと優しい子!
私を含めて世界を憎んでも許される子なのに、笑って逝った彼は絶対いい子なのよ!
って言ったら、じゃあきっと私の幸せを喜んでくれるよ!って言ったの…。

この世界に来て…本当に私泣いたり笑ったり怒ったり…忙しい毎日だった。

とっても幸せな一生だったのよ!
だから、泣かないで千尋くん!きっと優しい貴方は私を想って今泣いているでしょ?
この国に来て嬉しい思いをしてくれたのなら…私は小躍りして喜ぶわ!
目的達成したって!凄く喜ぶから!!

地球でも、この異世界でも人の営みは同じで…苦しい事も悲しい事もあるけれど、それを癒す出会いもある!人は1人では生きて行けないから…たくさんの人が貴方に優しくしてくれる事を、そんな国になっている事を私は願っています。

私の大切な…大切な生徒の佐山千尋くん!どうか、この世界で貴方の満足出来る人生を過ごして下さい…。
そして、誰よりも幸せになって!!
私の大切な千尋くん!私は祈るよ!千尋くんが幸せになる世界になって行く様に!

九重 佑里恵》


「先生…先生…先生ぇ……うぇ…うぇ…うう…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

僕は泣いた…大声で泣いた…先生の優しい願いが、優しい祈りが…泣けなかった僕を解放してくれたんだ。
虐待されていた時も泣かなかった僕なのに…目が溶けるんじゃないかって思ったくらいに声を上げて泣いた。
優しい魔物達は僕を止める事もせずに僕の側にいて、泣いて泣いて泣き続ける僕の側に何も言わずにいてくれた。
そして、僕は先生の手紙を抱き締めたまま泣き疲れた赤ちゃんの様に丸くなって眠ってしまった。




千尋は泣き疲れて眠ってしまった…。
千尋を抱き上げて白王と真白は家の千尋の部屋に転移して千尋をベッドに寝かせてから、白王だけもう一度光竜の元に戻った。

「光竜王…貴方はどうする?もうここでの役目は終わったのだろう?」
「ああ…我の佑里恵との約束は果たした…名前も千尋に返して貰ったから、此処にはもう用は無いな…。」
「光竜王様…一度竜の巣に戻られてはどうじゃ?…最近生意気な若い竜が竜王を名乗り幅をきかせている事であるし…。」
「ほぉ~その様な事を言う馬鹿が我が一族にのぉ~久しく帰っていないせいで綱紀が緩み過ぎているのか…それは帰らねばなるまいな…。」
「では、竜王様妾を連れて行ってくだされ…妾も用があるのじゃ!」
「ふふふ…タイガスの姫は竜の巣に用があるのか…面白い!共に参ろう…。」
「そういう事で父上、侯爵に伝言を頼む…2日程暇を頂くとな!」
「はぁ~~~~分かった…無理はするなよ?」
「そして王様と侯爵に今夜は王宮でご飯は食べる様にと伝えてね!」
「ああ~は!俺もか!!…まあ仕方ないか…今夜は千尋をゆっくり寝かせてやりたいからな…。」
「ええ…やっと千尋はこの世界に生まれて来た赤子なのじゃ…本当の意味でこの世界に生まれたのだと思う…大きな産声を上げて…妾はますます愛おしくなった千尋を佑里恵様の代わりに、そして地球の神の代わりに、これからも見守り続けて行く…その覚悟が出来た!そうであろ?父上、光竜王様…」
「ああ…千尋はいつだって嵐の真ん中に立つ子だ…護ってやらなければな…。」
「我も佑里恵との縁を千尋に見出した以上…千尋を護って行こう。」
「俺達魔物の長い長い時の中で人の一生なんて瞬きと同じ様なモノだが…見ていて飽きない生き物だからな!千尋の笑顔が既に国の中枢に浸透してるし、本当に今までの愛し子達に比べたら規格外もいいところだし…面白いぞ!」
「ふふふふ…そうか…楽しみだ!さあ、ではサッサと動いて面白い千尋の側に戻る事にしようか?タイガスの姫?」
「妾の事は白雪と呼んでくだされ、光竜王様。」
「ならば私も光輝と呼んでくれ!この名をやっと取り戻したのだから、忘れぬ様にな!」
「はい、光輝様。」
「では、俺は王宮に戻って煩い侯爵と推しの強い王様に話してくるわ。」
「では、暫しお願いする!父上!」
「では、また後日!」

そう言って白雪と光輝は転移して行った。
後に残された白王は、神の愛し子教会の美しい庭園を眺めて呟いた。

「心配しなくていい…千尋は着々と最強の護りを手に入れて、この世界で生きて行くだろう…もうある意味最強なんだぜ?…だから、アンタは安心して眠ってくれ…」

そう呟いて白王も王宮へ転移して行った。
静かな庭に優しい風が吹いていた。





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お気に入り&お読み頂きありがとうござます!
お気に入りも気が付けば700越えてました…嬉しいです!

さて、私は現在出雲にいます…。
怒涛の旅の始まりは出雲で、この後も土曜まで旅の空です。
次回更新は運が良ければ月曜日…疲れ次第で御座います…(>_<)
次回は閑話で、白雪姫の黒竜を締めに参ります!です!!
美味しい肉となるのか!?黒竜!!

どうぞ、よろしくお願い致します!




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