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レオニダス獣王国編

千尋、初侯爵家!侯爵家で待っていたのは…

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「「千尋~行ってらっしゃ~い~」」
「真白…清白も薄情者~!!」
「俺は王様の護衛クエがあるんだもーん」
「僕は薬草採取のクエが来てたんだ~」

そう言って転移して行った二人に千尋ははぁ~と溜息ついて侯爵夫人に抱っこされたまま馬車に乗せられ運ばれて行った。
馬車の中でも侯爵夫人は千尋を抱っこしたまま白雪と色々話しをしていた…千尋は馬車の窓から見える王都の景色を見ながら笑顔が溢れた。
忙しく動く人達が笑顔だったからだ!
前にも増して活気のある王都の人達に自然と笑顔が溢れる。

「チ~ちゃんのお陰で皆、笑顔でいられる…ありがとう…」
「侯爵パパ…」
「私も感謝しているぞ!ダーリンを復活させてくれて、本当にありがとう!」
「エヘヘ…どう致しまして!」
「ああ~こんなに可愛いなんて…どうしてくれよう…そう!ダーリンがパパなら私はママだな!」
「ママ…!」
「!!…ああ~幸せだ~!!」

そう言ってギュ~と抱き締める侯爵夫人に少し照れながら大人しく抱っこされていた千尋を、婉然とした微笑みで白雪は眺めていた。
そして王宮から馬車で10分ほどで大きな屋敷の門が開き馬車はその奥へと進み、そのさらに奥の屋敷…どう見ても城の大きな入り口の前に馬車が到着した。
到着した馬車のドアが開かれると、そこには大勢の召使い達が並んでいた。

「お帰りなさいませ、旦那様、奥様…そして、ようこそいらしゃいました!チヒロ様シラユキ様!」
『お帰りなさいませ!!』
「今戻った…セバスチャン…皆もご苦労…」

千尋は驚いた!
王宮に居るはずの筆頭執事のセバスチャンさんが居たからだ!
“あれ?さっき王宮から出るとき見送ってくれたはずのセバスチャンさんが何で此処にいるの??転移??転移が出来るの??”
目を白黒させて千尋が混乱している様子を見て、侯爵がクスクス笑いながら千尋に説明した。

「チ~ちゃん…こちらのセバスチャンは王宮にいるセバスチャンの弟なんだよ!」
「!!!えええぇぇ~!!!」
「初めましてチヒロ様!驚かせてしまい申し訳ございません!王宮におります兄のセバスチャンとは一つ違いの兄弟なのでございます…」
「そうなんだ…でも…名前が一緒なの?」
「我が一族は昔から王家の執事として使えて参りました…なので我が当主のみファーストネームがセバスチャンの名前のみで他の一族は皆ファーストネームはセバスチャンでセカンドネームがあるのです。」
「驚きの新事実!!」
「ちなみに私はセバスチャン・カシム・ミリアスと申します!」
「ほえ~!そうなんだ~凄い驚いた!!」
「ですから私の事もセバスチャンとお呼びください。」
「はーい!」
「さあ、チ~ちゃんの部屋を案内しよう!白雪殿も一緒に来て検分してくれ!」
「あい!」
「…僕の部屋…何だか嫌な予感…。」

これまで千尋の部屋はアースの監修の元、ピンク色が主体で可愛い感じの部屋ばかりだった…ここでも同じか、もっと派手に可愛い感じを予想して千尋はテクテク侯爵夫人について行った。
そして、大きなドアの前について開け放たれた部屋を見て千尋は喜んだ!

「ふわ~!ピンクじゃない!ブルーだ!!」
「ふふっ…気に入ってくれたか?」
「うん!」

広い室内は、王宮の千尋の部屋と同じ広さで調度品も無垢の木材で統一され素朴な感じで、壁紙も薄いブルーのストライプが入り所々に小さな白い花が入っている。
カーテンも壁紙より少し濃ゆいブルーの無地で統一されて可愛い感じもするが統一感のある部屋で千尋の好みに合わせてあった。

「ここはチ~ちゃんの家と同じ様に土足厳禁としている…靴はここで脱いで、足拭きはここに置いてあるから…」
「うん!」

ドアの横に小さな木のベンチが置いてあり、そこに足を拭く濡らしてあるタオルが置かれ、靴はベンチの中に仕舞う事が出来るようになっていた。
千尋は早速靴を脱いで、靴下も脱いで、足をタオルで拭いてからテケテケと部屋の中に入っていった!
フカフカ絨毯に声を上げながら笑顔で、あっちこっちを見て回る千尋を微笑みながら侯爵夫人も靴を脱いで部屋に入り、千尋に部屋の中を説明した。

「うむ…これは中々のモノじゃな…アース様に報告せねばなるまい…」

そう言って白雪はイベントリからビデオカメラを出して撮影を始めた。
一通り見て回った千尋は大きな暖炉の前に座りフカフカ絨毯の上をゴロゴロと転がってみたりと楽しんでから起き上がり侯爵夫人にお礼を言った。

「ありがとうございます!すっごく気持ちいい部屋だよ!」
「気に入ってくれたようで良かった!これからこの部屋もチ~ちゃんの帰る場所としてくれると嬉しい…」
「うん!…ありがと…ママ。」
「!!!!…ダーリン…ダーリン、ダーリン、ダーリン!!どうしてくれようか!?この可愛い生物!!」
「はははは…大きくなっても何処にも出さない方向でいいんじゃない?」
「だがなぁ~可愛い子には旅をさせねば成らぬというユリエ様の格言があるからな…まあ~いいか!後ろから付いて行けば…」

どう聞いてもストーカーの言葉にしか聞こえないんですけど…。

こうして千尋くんの初侯爵家訪問だったのですが、それだけで終わる筈もなく…今度は居間で千尋を待っている人がいると言われて案内されている途中で…。

「チ~ちゃん…実は会って欲しい人がいるのだ…本当は会わせたく無いのだが…本当~に会わせたく無いのだが…」
「同じ事2回言ってるよ…ママ?」
「く~~~っ!!やっぱり会わせるの止めよう!!」
「それは無いでしょう!マリアンヌ!」
「ユリウス…居たのか…」
「ええ…貴女の行動は熟知して居ますからね…」

居間へと続く回廊に佇んでいたのは、白い長い法衣に真っ直ぐ長い美しいプラチナブロンドとアイスブルーの瞳の麗人…。
その美しい人は千尋の前に跪くと深々と頭を下げて言った…。

「初めまして…今代の神の愛し子様…私は教国アイリッシュの教皇ユリウス・フォン・デラ・ライトヘルスと申します…どうぞ、お見知り置きを!」

神の代理人と言われる最強の癒し人…教国アイリッシュの最高権力者でもある麗人は頭をあげて千尋に、にっこり微笑んだ。



続く!
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