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第137話 飛んで飛んで
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翌日、わっけーは学校を休んで浦見市警察署に出向いていた。
ちなみに、言い訳を押し付けられた栞が、ものすごく嫌な顔をしていたのは言うまでもない。しかし、今年齢を偽っているためにこれ以上嘘を吐くのをためらいつつも、調査のためだとして仕方なく引き受けたのだ。
「まぁパパ、わがまま言ってすまないのだ」
「恵子くん、正直学校をさぼるのは感心できないな」
「分かっているのだ。でも、こればかりは早い方がいいと思うから、こうやって来たのだ。りぃに聞いたら、レオンの動きが怪しいみたいだからな」
一応反省はしているような素振りを見せるわっけー。だが、おそらくレオンを捕まえるための時間はあまり残ってないと感じているのか、わっけーの態度には余裕がなくなりつつあった。
そのわっけーの焦りなようなものは、部屋を提供する水崎警部も感じているようで、咎めつつもこうやって警察署内を案内しているわけなのである。
「それにしても、何か重要な情報でも掴んだのかい? 私たち警察は暇じゃないのくらい知っているだろう?」
「もちろんなのだ。掴んだからこうやって来ているのだ。飛行機械も運んでもらって悪いのだ」
「ああ、あの大きな奴か。騒ぎにならないように私服連中を向かわせたからな、そこは感謝してほしいぞ」
「分かっているのだ」
そういう会話をしながら警察署の一室に到着する水崎警部とわっけー。
部屋に入ったわっけーは、プラグをコンセントに刺すと、持っていたノートパソコンを起動していた。
「ほー、あの機械をそれで操縦するっていうのか」
「そうなのだ。元々は操縦のための装置があったんだが、あたしが改造したのだ。子どものお金じゃ買えるものは知れているから、仕方ないのだ」
わっけーの手が、喋りながらも止まらない。あっという間にソフトを起動すると、画面には飛行機械のカメラの映像が映し出された。
「ほぉ、あの飛行機械にはカメラが仕込んであるのか」
水崎警部が画面を見ている。
「せっかくだ。この部屋の映写機につなげて大画面で見てみようか」
「いいのか?」
「捜査なんだろう? だったら少しでもはっきりと見えた方がいいからな」
水崎警部の声で、わっけーのノートパソコンと現在居る部屋である会議室のプロジェクターが接続される事になった。会議室の前方のスクリーンに、わっけーの飛行機械が撮影している景色が映し出されている。
「これはすごいのだ。このくらい大きければ、見逃す事は減るはずなのだ」
わっけーが興奮している。
「恵子くん、とりあえず、操作してもらっていいか?」
「任せろー」
わっけーはそう言ってびしっと敬礼をすると、早速パソコンとマウスで飛行機械を操作し始めた。
「ファンクションキーで複数あるカメラを切り替えられるのだ。ただし、ズームアップ、ズームアウトは画面に出ているカメラにしか適応されないから、カメラを切り替えてその都度操作する必要があるのだ」
「まったく、君は本当に13歳なのかね。普通の中学生はこんな事はできないぞ。真彩と勝だって平凡だからな」
「あっはっはー。わっけー様は天才なのだ」
呆れたように言っている水崎警部だが、わっけー自体はものすごく調子に乗っているようだ。だが、実績が伴っているから叱れもしない。本当に扱いづらい少女である。
それはともかくとして、わっけーが操作する飛行機械が浦見市の上空を順調に進んでいく。思ったよりもスピードが出ているので、10分もすればあっという間に例の廃工場の上空にたどり着いていた。
「これが高石くんから情報のあった廃工場か。確かにだいぶ寂れているな」
廃業から10年以上が経つ工場だ。朽ちていない方が不思議というものである。
「今日の本題はそっちではないのだ。さらに進んで森に入るのだ」
わっけーはそう言って、さらに機械を操作している。
上空を進んできた飛行機械は、ある一点でついにその動きを止める。
「うん、どうしたんだ?」
「……ここなのだ」
水崎警部の問い掛けに小さく呟くわっけー。すると、飛行機械を森の中に向けて降下させ始めた。
おそらく昨日見つけたポイントに到達したのだろう。飛行機械を操作するわっけーの額から汗が流れ落ちる。それだけわっけーはこの操作に集中しているのである。
真下に取り付けられたカメラに切り替わっているので、段々と森の地面が迫ってくる。なんとも迫力が凄い。
「服?」
画像に映し出された森の中の違和感に、水崎警部がいち早く気が付いた。
そう、森の中の地面に落ちている枝や葉っぱの隙間に、明らかに目立つ色のものが見えていたのだ。
「そうなのだ。服なのだ」
小さく呟くわっけー。その声は涙声になっていた。
だが、水崎警部たちから見れば、その服なんていうのはどこにでもありふれたものである。ただ、こんな森の中に埋まっているという点だけが違和感として映っていた。
「森の中で服が埋まっているというのはおかしいな。すぐにでも捜査員を出すとしようか」
水崎警部はてきぱきと指示を出す。その横でわっけーは、スクリーンを見ながらただただ涙を堪えていた。そして、耐え切れなくなったのか、すっと視線を下に向けてしまっていた。
ちなみに、言い訳を押し付けられた栞が、ものすごく嫌な顔をしていたのは言うまでもない。しかし、今年齢を偽っているためにこれ以上嘘を吐くのをためらいつつも、調査のためだとして仕方なく引き受けたのだ。
「まぁパパ、わがまま言ってすまないのだ」
「恵子くん、正直学校をさぼるのは感心できないな」
「分かっているのだ。でも、こればかりは早い方がいいと思うから、こうやって来たのだ。りぃに聞いたら、レオンの動きが怪しいみたいだからな」
一応反省はしているような素振りを見せるわっけー。だが、おそらくレオンを捕まえるための時間はあまり残ってないと感じているのか、わっけーの態度には余裕がなくなりつつあった。
そのわっけーの焦りなようなものは、部屋を提供する水崎警部も感じているようで、咎めつつもこうやって警察署内を案内しているわけなのである。
「それにしても、何か重要な情報でも掴んだのかい? 私たち警察は暇じゃないのくらい知っているだろう?」
「もちろんなのだ。掴んだからこうやって来ているのだ。飛行機械も運んでもらって悪いのだ」
「ああ、あの大きな奴か。騒ぎにならないように私服連中を向かわせたからな、そこは感謝してほしいぞ」
「分かっているのだ」
そういう会話をしながら警察署の一室に到着する水崎警部とわっけー。
部屋に入ったわっけーは、プラグをコンセントに刺すと、持っていたノートパソコンを起動していた。
「ほー、あの機械をそれで操縦するっていうのか」
「そうなのだ。元々は操縦のための装置があったんだが、あたしが改造したのだ。子どものお金じゃ買えるものは知れているから、仕方ないのだ」
わっけーの手が、喋りながらも止まらない。あっという間にソフトを起動すると、画面には飛行機械のカメラの映像が映し出された。
「ほぉ、あの飛行機械にはカメラが仕込んであるのか」
水崎警部が画面を見ている。
「せっかくだ。この部屋の映写機につなげて大画面で見てみようか」
「いいのか?」
「捜査なんだろう? だったら少しでもはっきりと見えた方がいいからな」
水崎警部の声で、わっけーのノートパソコンと現在居る部屋である会議室のプロジェクターが接続される事になった。会議室の前方のスクリーンに、わっけーの飛行機械が撮影している景色が映し出されている。
「これはすごいのだ。このくらい大きければ、見逃す事は減るはずなのだ」
わっけーが興奮している。
「恵子くん、とりあえず、操作してもらっていいか?」
「任せろー」
わっけーはそう言ってびしっと敬礼をすると、早速パソコンとマウスで飛行機械を操作し始めた。
「ファンクションキーで複数あるカメラを切り替えられるのだ。ただし、ズームアップ、ズームアウトは画面に出ているカメラにしか適応されないから、カメラを切り替えてその都度操作する必要があるのだ」
「まったく、君は本当に13歳なのかね。普通の中学生はこんな事はできないぞ。真彩と勝だって平凡だからな」
「あっはっはー。わっけー様は天才なのだ」
呆れたように言っている水崎警部だが、わっけー自体はものすごく調子に乗っているようだ。だが、実績が伴っているから叱れもしない。本当に扱いづらい少女である。
それはともかくとして、わっけーが操作する飛行機械が浦見市の上空を順調に進んでいく。思ったよりもスピードが出ているので、10分もすればあっという間に例の廃工場の上空にたどり着いていた。
「これが高石くんから情報のあった廃工場か。確かにだいぶ寂れているな」
廃業から10年以上が経つ工場だ。朽ちていない方が不思議というものである。
「今日の本題はそっちではないのだ。さらに進んで森に入るのだ」
わっけーはそう言って、さらに機械を操作している。
上空を進んできた飛行機械は、ある一点でついにその動きを止める。
「うん、どうしたんだ?」
「……ここなのだ」
水崎警部の問い掛けに小さく呟くわっけー。すると、飛行機械を森の中に向けて降下させ始めた。
おそらく昨日見つけたポイントに到達したのだろう。飛行機械を操作するわっけーの額から汗が流れ落ちる。それだけわっけーはこの操作に集中しているのである。
真下に取り付けられたカメラに切り替わっているので、段々と森の地面が迫ってくる。なんとも迫力が凄い。
「服?」
画像に映し出された森の中の違和感に、水崎警部がいち早く気が付いた。
そう、森の中の地面に落ちている枝や葉っぱの隙間に、明らかに目立つ色のものが見えていたのだ。
「そうなのだ。服なのだ」
小さく呟くわっけー。その声は涙声になっていた。
だが、水崎警部たちから見れば、その服なんていうのはどこにでもありふれたものである。ただ、こんな森の中に埋まっているという点だけが違和感として映っていた。
「森の中で服が埋まっているというのはおかしいな。すぐにでも捜査員を出すとしようか」
水崎警部はてきぱきと指示を出す。その横でわっけーは、スクリーンを見ながらただただ涙を堪えていた。そして、耐え切れなくなったのか、すっと視線を下に向けてしまっていた。
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