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第151話 月曜日の学校にて
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週が明けて月曜日になる。栞たちはいつも通りに学校へと登校する。
学校までは無事に到着できたので、レオンたちに動きはないようだった。
「おはようだぞ、しおりん」
「おはよう、栞ちゃん」
学校に到着すると、わっけーと理恵が挨拶をしてくる。
「おはよう、わっけー、理恵ちゃん」
とりあえずはこっちも影響なしの模様。その姿に栞は安心していた。
「おはよう、栞ちゃん。……どうしたの?」
真彩も現れるが、栞たちの様子を見て、不思議そうな顔をして見ている。どうやら真彩の目には、ちょっと変わった様子に見えたようだった。
栞たちはなるべく普段通りにしていたはずなのだが、こうやって勘付いてしまうあたり、さすがは警察官の娘といったところである。
「どうしたって、どこか変だった?」
栞はきょとんとして真彩に尋ね返す。栞の尋ね返しが意外だったのか、真彩はおろおろとし出してしまった。予想外の行動に戸惑う姿がおかしかったのか、栞とわっけーがついつい笑い出してしまった。
「もう、何よ二人とも!」
あまりに笑ってくるものだから、真彩は不機嫌そうに怒っている。
「はは、ごめんごめん」
「まぁ、そう怒るななのだ」
笑いながら真彩を宥めようとする栞とわっけー。だが、しばらくの間、真彩の不機嫌は治まらなかったのだった。
昼休み、栞たちは全員揃って新聞部の部室へと向かう。理恵に関しては置いていこうかとも考えたのだったが、さすがに一人仲間外れにするわけにはいかないし、ここまでの状況になった以上は知っておいてもらった方がいいだろうという判断になったのだった。なにせ理恵も被害者なのだから。
新聞部の部室に顔を出すと、いつも通り調部長と軽部副部長の姿があった。
「あら、みなさん。お揃いですのね」
調部長がにこやかに挨拶をしてくる。しかし、今回は理恵が加わっていた姿を見て、ちょっと表情を曇らせる調部長である。
「そうですか、彼女がレオン・アトゥールの娘ですか」
話を聞いた調部長が、理恵を見ながら話をしている。調部長から何かを感じ取っているのか、理恵は縮こまった状態で椅子に座っている。
「さて、それはさておき、何の話でしょうかね、高石さん」
調部長は栞に対して話を振ってくる。昼休みは短いので、栞は手短に話を済ませようと、頭の中で整理しながら調部長に話をし始める。
さすがに自分が別の方向からの対策を考えている最中に、そんな捕り物劇が繰り広げられているとは知らなかったために、調部長の驚きはすさまじいものだった。
だが、それと同時に頭を抱えてもいた。
一番の原因は、レオンを取り逃がした事だった。執念深いレオンなのだから、たとえ海外に行ったとしても執拗に報復を仕掛けてくる可能性だって考えられたのだ。そうなってしまえば、今までの比にならないくらいにその身に危険が及んでしまう。まったく望ましくない事態なのである。
考え込む調部長だったが、その空気を変えたのはわっけーだった。
「心配要らないぞ。あたしがそこまで間抜けな事をやらかすわけがないのだ」
やけに自信たっぷりである。
「どういう事なのですか?」
当然の事ながら、調部長はわっけーを問い質すように声を掛ける。
「おとといは確かに逃げられたのだけど、あたしはちゃんと対策を立てておいたのだ。逃げられる事も最初から考えておいたのだから、当然なのだ」
話が見えてこない。一体わっけーは何を言っているのだろうか。
「この場で見せられないのは残念だけど、警察の方では今も追跡していると思うのだ」
「追跡?」
わっけーの言葉に首を傾げる栞たち。
「そうなのだ。あの時、あたしがこっそりと発信機を仕掛けておいたのだ。突っ込んできたトラックと、りぃぱぱ、レオンの靴の2か所にな」
栞や調部長たちが驚いている。特に現場に居た栞は驚きがひとしおだ。いつの間にそんな事をしていたのか、まったく気が付かなかったのである。
「うそでしょ? いつの間にそんな事をしていたのよ」
「はっはっはっ。このわっけー様を甘く見るでないぞ」
両手を腰に当てて笑うわっけーである。自慢げだというのに、この時ばかりは驚きの感情しか出てこない面々である。
「レオンの顔に関しては全国の空港に出回ったと思うし、簡単に逃がしてなるものか、なのだ。わーっはっはっはっ!」
まったく、わっけーの執念はすさまじいものだった。
「わっけー、ごめんね。お父さんのせいで……」
「りぃは悪くないのだから、謝る必要はないぞ。りぃは親友だからな、あたしは許す」
「わっけー……」
わっけーの態度に、理恵はつい泣き出してしまう。ただただ嬉しいのである。
だが、いきなり理恵が泣き出した事にわっけーが取り乱していた。他人の感情に関しては、いまいち鈍いわっけーなのである。
「脇田さん、その発信機に関して、見せて頂く事はできますか?」
「もちろん大丈夫だぞ。放課後、家に来てくれたら見せるのだ」
「分かりました。軽部副部長、カルディに連絡を」
「分かったよ」
調部長に言われて、渋々従う軽部副部長。
こうして、放課後にわっけーの家を訪れる事になった新聞部の面々なのであった。
学校までは無事に到着できたので、レオンたちに動きはないようだった。
「おはようだぞ、しおりん」
「おはよう、栞ちゃん」
学校に到着すると、わっけーと理恵が挨拶をしてくる。
「おはよう、わっけー、理恵ちゃん」
とりあえずはこっちも影響なしの模様。その姿に栞は安心していた。
「おはよう、栞ちゃん。……どうしたの?」
真彩も現れるが、栞たちの様子を見て、不思議そうな顔をして見ている。どうやら真彩の目には、ちょっと変わった様子に見えたようだった。
栞たちはなるべく普段通りにしていたはずなのだが、こうやって勘付いてしまうあたり、さすがは警察官の娘といったところである。
「どうしたって、どこか変だった?」
栞はきょとんとして真彩に尋ね返す。栞の尋ね返しが意外だったのか、真彩はおろおろとし出してしまった。予想外の行動に戸惑う姿がおかしかったのか、栞とわっけーがついつい笑い出してしまった。
「もう、何よ二人とも!」
あまりに笑ってくるものだから、真彩は不機嫌そうに怒っている。
「はは、ごめんごめん」
「まぁ、そう怒るななのだ」
笑いながら真彩を宥めようとする栞とわっけー。だが、しばらくの間、真彩の不機嫌は治まらなかったのだった。
昼休み、栞たちは全員揃って新聞部の部室へと向かう。理恵に関しては置いていこうかとも考えたのだったが、さすがに一人仲間外れにするわけにはいかないし、ここまでの状況になった以上は知っておいてもらった方がいいだろうという判断になったのだった。なにせ理恵も被害者なのだから。
新聞部の部室に顔を出すと、いつも通り調部長と軽部副部長の姿があった。
「あら、みなさん。お揃いですのね」
調部長がにこやかに挨拶をしてくる。しかし、今回は理恵が加わっていた姿を見て、ちょっと表情を曇らせる調部長である。
「そうですか、彼女がレオン・アトゥールの娘ですか」
話を聞いた調部長が、理恵を見ながら話をしている。調部長から何かを感じ取っているのか、理恵は縮こまった状態で椅子に座っている。
「さて、それはさておき、何の話でしょうかね、高石さん」
調部長は栞に対して話を振ってくる。昼休みは短いので、栞は手短に話を済ませようと、頭の中で整理しながら調部長に話をし始める。
さすがに自分が別の方向からの対策を考えている最中に、そんな捕り物劇が繰り広げられているとは知らなかったために、調部長の驚きはすさまじいものだった。
だが、それと同時に頭を抱えてもいた。
一番の原因は、レオンを取り逃がした事だった。執念深いレオンなのだから、たとえ海外に行ったとしても執拗に報復を仕掛けてくる可能性だって考えられたのだ。そうなってしまえば、今までの比にならないくらいにその身に危険が及んでしまう。まったく望ましくない事態なのである。
考え込む調部長だったが、その空気を変えたのはわっけーだった。
「心配要らないぞ。あたしがそこまで間抜けな事をやらかすわけがないのだ」
やけに自信たっぷりである。
「どういう事なのですか?」
当然の事ながら、調部長はわっけーを問い質すように声を掛ける。
「おとといは確かに逃げられたのだけど、あたしはちゃんと対策を立てておいたのだ。逃げられる事も最初から考えておいたのだから、当然なのだ」
話が見えてこない。一体わっけーは何を言っているのだろうか。
「この場で見せられないのは残念だけど、警察の方では今も追跡していると思うのだ」
「追跡?」
わっけーの言葉に首を傾げる栞たち。
「そうなのだ。あの時、あたしがこっそりと発信機を仕掛けておいたのだ。突っ込んできたトラックと、りぃぱぱ、レオンの靴の2か所にな」
栞や調部長たちが驚いている。特に現場に居た栞は驚きがひとしおだ。いつの間にそんな事をしていたのか、まったく気が付かなかったのである。
「うそでしょ? いつの間にそんな事をしていたのよ」
「はっはっはっ。このわっけー様を甘く見るでないぞ」
両手を腰に当てて笑うわっけーである。自慢げだというのに、この時ばかりは驚きの感情しか出てこない面々である。
「レオンの顔に関しては全国の空港に出回ったと思うし、簡単に逃がしてなるものか、なのだ。わーっはっはっはっ!」
まったく、わっけーの執念はすさまじいものだった。
「わっけー、ごめんね。お父さんのせいで……」
「りぃは悪くないのだから、謝る必要はないぞ。りぃは親友だからな、あたしは許す」
「わっけー……」
わっけーの態度に、理恵はつい泣き出してしまう。ただただ嬉しいのである。
だが、いきなり理恵が泣き出した事にわっけーが取り乱していた。他人の感情に関しては、いまいち鈍いわっけーなのである。
「脇田さん、その発信機に関して、見せて頂く事はできますか?」
「もちろん大丈夫だぞ。放課後、家に来てくれたら見せるのだ」
「分かりました。軽部副部長、カルディに連絡を」
「分かったよ」
調部長に言われて、渋々従う軽部副部長。
こうして、放課後にわっけーの家を訪れる事になった新聞部の面々なのであった。
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