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第二章 ロゼリアとチェリシア
第11話 驚愕の展開
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会食の議題は、やはり塩の件だった。
どうやらマゼンダ侯爵がコーラル子爵と会った際に、国王陛下にも伝えていたようなのだ。
それも仕方のない事だろう。魔法使いを数人動かすとなれば、冒険者でもない限り国家の許可が必要だからだ。冒険者であったとしても、ギルドの承認が必要。どう転んでも国王陛下の耳に入れておく必要があったのだ。
その結果が今の状況である。もはや蛇に睨まれた蛙といった状態だ。
その沈黙を破ったのは、やはり国王陛下だった。
「塩の精製方法を詳しく聞かせてもらおうか」
鋭い眼光が飛ぶ。これには、まだ八歳であるロゼリアとチェリシアは縮こまるしかなかった。
そこで、これに答えたのはロゼリアの父、ヴァミリオ・マゼンダ侯爵だった。
「はい。方法自体は単純でございます。海水から岩塩と似た味の成分だけを魔法で分離するのです。冒険者の中には、泥水から飲み水を作り出す者も居るらしいので、その魔法の応用というわけでございます」
堂々と答える父の姿はかっこよかった。ロゼリアは、(さすがお父様)と尊敬の念を抱いた。
「そこで、領地の多くを海に面するコーラル子爵領がちょうどいいというわけでして、コーラル子爵にも声を掛けた次第でございます」
ヴァミリオははっきりと答えた。ただ、ロゼリアが望んだので発案者の名前は伏せて答えていた。
しかし、国王陛下も宰相も、どうもその魔法というものがイメージできないらしく、首を傾げている。これでは誰もまともにイメージできず、唯一まともにイメージできるのは、魔法が未覚醒の異世界からの転生者であるチェリシアだけ。このままでは、計画を実行に移せない。
そんな中、料理が運ばれてくる。普通は王族の食事は待たせないように先に並べてあるはずだが、今回は会談があるという事で、最中に運ばれてきたのだ。
並べられた食事はさすが王族用とあって、侯爵家よりも豪華だった。子爵家の二人に至っては沈黙している。無理もない話。コーラル子爵家は子爵位ながら貧乏なのだから。
だが、食事を目の前にしたロゼリアは、いきなりスープに手をかざす。
次の瞬間、その場に居た全員が驚いた表情を浮かべた。なぜなら……。
「水が、浮いてる?!」
そう、ロゼリアのスープから水分だけが抜けて宙に浮いているのだ。
「塩の精製方法とは、こういう事ですわ」
そうとだけ喋ったロゼリアは、浮かんだ水分をスープの皿に戻し、元のように混ぜ合わせた。
「ロゼリア……。お前、魔法を使えたのか?」
ヴァミリオが青ざめながらロゼリアに聞く。すると、
「ええ。夜にこっそり練習しましたわ」
ロゼリアはそう答えた。
夜中に練習したのは本当の話だ。ロゼリアは未来から死に戻りしてきたために、実は魔法が使える状態にあったのだ。記憶どころか能力まで持ち越しての逆行。ロゼリアは十九歳の時までに使えるようになっていた魔法を、全て扱えるのである。
「ば、馬鹿なっ! ロゼリア嬢はまだ八歳であろう。なぜ魔法が使える!」
声を荒げたのはマルーン公爵だった。しかし、国王陛下は逆に静かだった。騒がしくするマルーン公爵を尻目に、国王陛下は口を開く。
「なるほど。この塩の精製方法の話は、ロゼリア嬢とチェリシア嬢の二人が発端か」
この言葉に、ロゼリアとチェリシアの二人は明らかな動揺をする。国王陛下はその動きを見逃さなかった。
「……どうりで八歳の小娘を同席させるわけだ。やはり、この場にシルヴァノを連れてきたのは正解だったな」
「国王陛下、それはどういう?」
ヴァミリオが困惑した表情で国王陛下に尋ねる。
「ロゼリア・マゼンダ侯爵令嬢、チェリシア・コーラル子爵令嬢、二人をシルヴァノの婚約者候補とする」
……とんでもない王命が下った瞬間だった。
どうやらマゼンダ侯爵がコーラル子爵と会った際に、国王陛下にも伝えていたようなのだ。
それも仕方のない事だろう。魔法使いを数人動かすとなれば、冒険者でもない限り国家の許可が必要だからだ。冒険者であったとしても、ギルドの承認が必要。どう転んでも国王陛下の耳に入れておく必要があったのだ。
その結果が今の状況である。もはや蛇に睨まれた蛙といった状態だ。
その沈黙を破ったのは、やはり国王陛下だった。
「塩の精製方法を詳しく聞かせてもらおうか」
鋭い眼光が飛ぶ。これには、まだ八歳であるロゼリアとチェリシアは縮こまるしかなかった。
そこで、これに答えたのはロゼリアの父、ヴァミリオ・マゼンダ侯爵だった。
「はい。方法自体は単純でございます。海水から岩塩と似た味の成分だけを魔法で分離するのです。冒険者の中には、泥水から飲み水を作り出す者も居るらしいので、その魔法の応用というわけでございます」
堂々と答える父の姿はかっこよかった。ロゼリアは、(さすがお父様)と尊敬の念を抱いた。
「そこで、領地の多くを海に面するコーラル子爵領がちょうどいいというわけでして、コーラル子爵にも声を掛けた次第でございます」
ヴァミリオははっきりと答えた。ただ、ロゼリアが望んだので発案者の名前は伏せて答えていた。
しかし、国王陛下も宰相も、どうもその魔法というものがイメージできないらしく、首を傾げている。これでは誰もまともにイメージできず、唯一まともにイメージできるのは、魔法が未覚醒の異世界からの転生者であるチェリシアだけ。このままでは、計画を実行に移せない。
そんな中、料理が運ばれてくる。普通は王族の食事は待たせないように先に並べてあるはずだが、今回は会談があるという事で、最中に運ばれてきたのだ。
並べられた食事はさすが王族用とあって、侯爵家よりも豪華だった。子爵家の二人に至っては沈黙している。無理もない話。コーラル子爵家は子爵位ながら貧乏なのだから。
だが、食事を目の前にしたロゼリアは、いきなりスープに手をかざす。
次の瞬間、その場に居た全員が驚いた表情を浮かべた。なぜなら……。
「水が、浮いてる?!」
そう、ロゼリアのスープから水分だけが抜けて宙に浮いているのだ。
「塩の精製方法とは、こういう事ですわ」
そうとだけ喋ったロゼリアは、浮かんだ水分をスープの皿に戻し、元のように混ぜ合わせた。
「ロゼリア……。お前、魔法を使えたのか?」
ヴァミリオが青ざめながらロゼリアに聞く。すると、
「ええ。夜にこっそり練習しましたわ」
ロゼリアはそう答えた。
夜中に練習したのは本当の話だ。ロゼリアは未来から死に戻りしてきたために、実は魔法が使える状態にあったのだ。記憶どころか能力まで持ち越しての逆行。ロゼリアは十九歳の時までに使えるようになっていた魔法を、全て扱えるのである。
「ば、馬鹿なっ! ロゼリア嬢はまだ八歳であろう。なぜ魔法が使える!」
声を荒げたのはマルーン公爵だった。しかし、国王陛下は逆に静かだった。騒がしくするマルーン公爵を尻目に、国王陛下は口を開く。
「なるほど。この塩の精製方法の話は、ロゼリア嬢とチェリシア嬢の二人が発端か」
この言葉に、ロゼリアとチェリシアの二人は明らかな動揺をする。国王陛下はその動きを見逃さなかった。
「……どうりで八歳の小娘を同席させるわけだ。やはり、この場にシルヴァノを連れてきたのは正解だったな」
「国王陛下、それはどういう?」
ヴァミリオが困惑した表情で国王陛下に尋ねる。
「ロゼリア・マゼンダ侯爵令嬢、チェリシア・コーラル子爵令嬢、二人をシルヴァノの婚約者候補とする」
……とんでもない王命が下った瞬間だった。
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