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第二章 ロゼリアとチェリシア
第17話 視察の終わり
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とりあえず、塩と魚でシェリアに活気が出てきた。国王陛下は、二名の魔法使いをシェリアに常駐させて、毎日交代で塩を作るように命じた。分量としては、一日に小さな木桶一杯分を精製し、一部は王都で買い上げるという事になった。こうして、コーラル子爵領は少し収入が増える事となった。
「砂糖はアクアマリン領へ行ければどうにかなるかも知れないけど、次の問題は酢かな。酢は植物を発酵させて作る物なの」
チェリシアの話によれば、米やりんごといった植物を使うらしい。
「米は分かりませんが、りんごならこっちで作られているわ」
「りんご! りんごがあるのね。お酒が作られているなら、応用で作れるわ」
ロゼリアがりんごに言及すると、チェリシアがすごく食いついた。
「でも、収穫時期からは外れているわ。保存が効くわけでもないし、今は無いわよ」
どうやら、りんごは旬ではないようだ。無いと言われて、チェリシアは落ち込んだ。
「でも、どうしてりんごを?」
「りんごからはお酒もお酢も作れるの。お酒を作って、そこから更に別の発酵をさせた物がお酢なのよ」
ロゼリアの疑問に、チェリシアが説明する。だったらと、ロゼリアはチェリシアに提案する。
「次のりんごの収穫期までに、魔法を使えるようになるのはどうかしら。この世界の常識からは外れちゃうけど、必要な能力よ?」
確かに、魔法の発露には最低でも十歳にならなければならない。だが、例外はある。目の前のロゼリアがいい例だ。となれば、異世界から転生してきた、今のチェリシアにも、魔法が早く発露する可能性があるという事である。
「でもまあ、あれこれ考えるのもいいですが、まずは環境を整える事を優先しましょう」
ロゼリアのこの言葉で、調味料の話はとりあえず終わる事となった。
「では、ロゼリア。殿下の事はお任せします。魚でしてみたい事があるので、試してきますね」
「ちょっと、チェリシア!」
話がお開きになると、チェリシアはさっさと部屋を出ていった。
一人部屋に残されたロゼリアは、
「仕方ないわね。婚約者候補にされたのに、殿下をこれ以上放っておくわけにもいきませんもの」
淑女らしからぬ大きなため息をつくと、シルヴァノ王子が居る部屋へと出向くのだった。
翌日は、いよいよ王都に戻る事になった。魚と塩でシェリアの街は賑わいが増しており、来た時とはその印象は大きく変わった。
この帰りには、チェリシアの妹のペシエラもついて行く事になった。お姉様と一緒がいいと駄々をこねたのだ。プラウスは残るように強く言ったのだが、ついには泣き出されてしまい、お手上げとなったのだった。
当のペシエラは、チェリシアの隣でにこにことしていた。ペシエラにとっては初めての領外への馬車旅なのだが、動き回る事もなく、外を見るような素振りも無かった。不思議なくらいに落ち着いて座っている。
(小さいなりに貴族らしく振る舞っているのかしら。ふふっ、可愛い妹だわ)
ちょこんと座るペシエラを見ながら、チェリシアは微笑ましく見ている。
可愛い妹を愛でながら、チェリシアたちはガタゴトと馬車に揺られて、王都への帰路を進んでいくのだった。
今回の塩作りの一環で、シェリアの街にはいろいろな恩恵がもたらされた。
塩作りに伴って得られる真水。
釣りによって得られる魚。
そして、帰る前日にチェリシアによって、新たに干物作りが行われるようになった。
シェリアの街は天候が良く、暖かく塩分を含んだ風が吹いてくる。その気候を利用して、釣った魚を天日干しにして、保存食となる干物を作るようにしたのだ。
家庭菜園をするまでに食にはこだわりのあったチェリシアの前世。その持てる知識をシェリアの街のために使ったのだった。
こうして、シェリアの街は、塩と魚の街として後々に大きく発展していく事となったのだった。
「砂糖はアクアマリン領へ行ければどうにかなるかも知れないけど、次の問題は酢かな。酢は植物を発酵させて作る物なの」
チェリシアの話によれば、米やりんごといった植物を使うらしい。
「米は分かりませんが、りんごならこっちで作られているわ」
「りんご! りんごがあるのね。お酒が作られているなら、応用で作れるわ」
ロゼリアがりんごに言及すると、チェリシアがすごく食いついた。
「でも、収穫時期からは外れているわ。保存が効くわけでもないし、今は無いわよ」
どうやら、りんごは旬ではないようだ。無いと言われて、チェリシアは落ち込んだ。
「でも、どうしてりんごを?」
「りんごからはお酒もお酢も作れるの。お酒を作って、そこから更に別の発酵をさせた物がお酢なのよ」
ロゼリアの疑問に、チェリシアが説明する。だったらと、ロゼリアはチェリシアに提案する。
「次のりんごの収穫期までに、魔法を使えるようになるのはどうかしら。この世界の常識からは外れちゃうけど、必要な能力よ?」
確かに、魔法の発露には最低でも十歳にならなければならない。だが、例外はある。目の前のロゼリアがいい例だ。となれば、異世界から転生してきた、今のチェリシアにも、魔法が早く発露する可能性があるという事である。
「でもまあ、あれこれ考えるのもいいですが、まずは環境を整える事を優先しましょう」
ロゼリアのこの言葉で、調味料の話はとりあえず終わる事となった。
「では、ロゼリア。殿下の事はお任せします。魚でしてみたい事があるので、試してきますね」
「ちょっと、チェリシア!」
話がお開きになると、チェリシアはさっさと部屋を出ていった。
一人部屋に残されたロゼリアは、
「仕方ないわね。婚約者候補にされたのに、殿下をこれ以上放っておくわけにもいきませんもの」
淑女らしからぬ大きなため息をつくと、シルヴァノ王子が居る部屋へと出向くのだった。
翌日は、いよいよ王都に戻る事になった。魚と塩でシェリアの街は賑わいが増しており、来た時とはその印象は大きく変わった。
この帰りには、チェリシアの妹のペシエラもついて行く事になった。お姉様と一緒がいいと駄々をこねたのだ。プラウスは残るように強く言ったのだが、ついには泣き出されてしまい、お手上げとなったのだった。
当のペシエラは、チェリシアの隣でにこにことしていた。ペシエラにとっては初めての領外への馬車旅なのだが、動き回る事もなく、外を見るような素振りも無かった。不思議なくらいに落ち着いて座っている。
(小さいなりに貴族らしく振る舞っているのかしら。ふふっ、可愛い妹だわ)
ちょこんと座るペシエラを見ながら、チェリシアは微笑ましく見ている。
可愛い妹を愛でながら、チェリシアたちはガタゴトと馬車に揺られて、王都への帰路を進んでいくのだった。
今回の塩作りの一環で、シェリアの街にはいろいろな恩恵がもたらされた。
塩作りに伴って得られる真水。
釣りによって得られる魚。
そして、帰る前日にチェリシアによって、新たに干物作りが行われるようになった。
シェリアの街は天候が良く、暖かく塩分を含んだ風が吹いてくる。その気候を利用して、釣った魚を天日干しにして、保存食となる干物を作るようにしたのだ。
家庭菜園をするまでに食にはこだわりのあったチェリシアの前世。その持てる知識をシェリアの街のために使ったのだった。
こうして、シェリアの街は、塩と魚の街として後々に大きく発展していく事となったのだった。
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