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第八章 二年次
第178話 名持ちの魔物
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ロゼリアが犯人を指摘している頃、ペシエラとアイリスは魔物をどんどんと倒していた。そんな中、プラティナも負けじと二人がわざと討ち漏らした魔物を相手にしている。漏らした魔物は比較的弱い魔物だ。プラティナもなんとか戦えている。
「アイリス、プラティナ様の援護を頼みますわ」
「ペシエラ様は?」
「雑魚は一掃しますわ。……どうやら桁違いな魔物が紛れているようですから」
「畏まりました。どうかご無事で」
敵を倒しながら、ペシエラとアイリスは会話をする。そして、ある程度周りの魔物が片付いたところで、アイリスをプラティナの援護に回し、ペシエラは一気に魔力を解き放った。
「雑魚は消えなさい!」
扱える六属性の複合魔法を、広範囲に展開する。
「ギャアアアッ!!」
力の弱い魔物は、その魔法力に焼かれて次々と消し飛んでいく。素材や魔石がもったいないが、数が多すぎるので邪魔だから仕方がない。
(いや、魔石だけはちゃんと確保しますわよ?)
どうやら力の加減はしていたようで、弱い魔物はすべて魔石に変わってその場に落ちていった。
「……あと、三十体ほどですか」
ペシエラは残った魔物の群れを睨む。
それにしても、千体以上居たはずの魔物が数えられる程度までに減るとは、さすがはチート級の魔力の持ち主である。
「ほう、骨のある小娘が相手か。なかなかな実力者と見える」
残った魔物の一体が、驚いた事に言葉を喋った。喋る魔物など、なかなか居るものではない。
「驚きましたわね。まさか、知性を携えた魔物をこの目で見る事になるとは思いませんでしたわ」
ペシエラは、額に汗を浮かべながら驚きを隠そうとしなかった。ペシエラほどの腕の持ち主が汗を浮かべる。これがどれほどの事なのか、アイリスとプラティナは分かっていなかった。
実のところ、今の状況はペシエラが汗を浮かべるほど、危険な状態に陥っていたのだ。ペシエラの魔法に耐えた魔物だけが残り、その中に言葉を話せるほどの知能を備えた者が居る。つまり、魔物の精鋭が、統率を持って動ける事を示す。これほど危険な状況があるだろうか。
ペシエラが愛用のサーベルを握り締めると、喋る魔物が口を開いた。
「そこな娘どもは、また面白い能力を持っているな。くくくっ、実に興味深い」
人型をしているが、どう見ても牛の頭部。ミノタウロスの変異種と思われる魔物は、実に楽しそうに笑った。
「そうだな。小娘が我々に勝てたなら、そこの短剣を持った娘と契約してもよいぞ。そういった能力を持っているようだからな」
「えっ?!」
ミノタウロスは、アイリスを指差して確かに言った。どうやら神獣使いだという事に気が付いているようだ。
「そこまで見抜いているとは、……なかなかに侮れませんわね」
ペシエラが更に身構えると、ミノタウロスは不敵な笑みを浮かべる。
「くっくっくっ、俺をそこいらの魔物と同じに見てもらっては困る。まったく、どこの誰かは知らんが、俺をあの地獄から解き放ってくれた事を嬉しく思うぞ」
「地獄?」
「ふっ、気になるか。聞きたければ俺を倒す事だな!」
ミノタウロスはドヤ顔を決め、上半身を仰け反らせて武器を持たない左手でペシエラたちを挑発する。
しかし、そんな挑発で簡単に激昂するようなペシエラたちではない。とはいえ、アイリスでも残った魔物の相手は厳しいし、プラティナは論外の状態。実質、ペシエラしか戦力にならなさそうであった。
「主人よ、俺が力を貸そう」
困ったところだったが、どこからともなく声が響く。そして、突如として火柱が上がった。
「インフェルノ!」
「ふっ、蒼鱗魚のやつがうるさいのでな。主人の危機に馳せ参じたというわけよ」
現れたのは全身が炎の毛並みに覆われた神獣インフェルノのだった。
「なっ、神獣だと?!」
「ほう、誰かと思えば、名持ちの魔物か。久しいな、タウロ」
インフェルノは、ミノタウロスを指して名を呼んだ。
「名持ち……。だから、知能があるのですわね」
「そうだ。なにせ奴に名をつけたのは俺だからな」
「はっ?!」
ペシエラが納得していると、インフェルノが驚愕の事実をぶち込んできた。
「アイリス、プラティナ様の援護を頼みますわ」
「ペシエラ様は?」
「雑魚は一掃しますわ。……どうやら桁違いな魔物が紛れているようですから」
「畏まりました。どうかご無事で」
敵を倒しながら、ペシエラとアイリスは会話をする。そして、ある程度周りの魔物が片付いたところで、アイリスをプラティナの援護に回し、ペシエラは一気に魔力を解き放った。
「雑魚は消えなさい!」
扱える六属性の複合魔法を、広範囲に展開する。
「ギャアアアッ!!」
力の弱い魔物は、その魔法力に焼かれて次々と消し飛んでいく。素材や魔石がもったいないが、数が多すぎるので邪魔だから仕方がない。
(いや、魔石だけはちゃんと確保しますわよ?)
どうやら力の加減はしていたようで、弱い魔物はすべて魔石に変わってその場に落ちていった。
「……あと、三十体ほどですか」
ペシエラは残った魔物の群れを睨む。
それにしても、千体以上居たはずの魔物が数えられる程度までに減るとは、さすがはチート級の魔力の持ち主である。
「ほう、骨のある小娘が相手か。なかなかな実力者と見える」
残った魔物の一体が、驚いた事に言葉を喋った。喋る魔物など、なかなか居るものではない。
「驚きましたわね。まさか、知性を携えた魔物をこの目で見る事になるとは思いませんでしたわ」
ペシエラは、額に汗を浮かべながら驚きを隠そうとしなかった。ペシエラほどの腕の持ち主が汗を浮かべる。これがどれほどの事なのか、アイリスとプラティナは分かっていなかった。
実のところ、今の状況はペシエラが汗を浮かべるほど、危険な状態に陥っていたのだ。ペシエラの魔法に耐えた魔物だけが残り、その中に言葉を話せるほどの知能を備えた者が居る。つまり、魔物の精鋭が、統率を持って動ける事を示す。これほど危険な状況があるだろうか。
ペシエラが愛用のサーベルを握り締めると、喋る魔物が口を開いた。
「そこな娘どもは、また面白い能力を持っているな。くくくっ、実に興味深い」
人型をしているが、どう見ても牛の頭部。ミノタウロスの変異種と思われる魔物は、実に楽しそうに笑った。
「そうだな。小娘が我々に勝てたなら、そこの短剣を持った娘と契約してもよいぞ。そういった能力を持っているようだからな」
「えっ?!」
ミノタウロスは、アイリスを指差して確かに言った。どうやら神獣使いだという事に気が付いているようだ。
「そこまで見抜いているとは、……なかなかに侮れませんわね」
ペシエラが更に身構えると、ミノタウロスは不敵な笑みを浮かべる。
「くっくっくっ、俺をそこいらの魔物と同じに見てもらっては困る。まったく、どこの誰かは知らんが、俺をあの地獄から解き放ってくれた事を嬉しく思うぞ」
「地獄?」
「ふっ、気になるか。聞きたければ俺を倒す事だな!」
ミノタウロスはドヤ顔を決め、上半身を仰け反らせて武器を持たない左手でペシエラたちを挑発する。
しかし、そんな挑発で簡単に激昂するようなペシエラたちではない。とはいえ、アイリスでも残った魔物の相手は厳しいし、プラティナは論外の状態。実質、ペシエラしか戦力にならなさそうであった。
「主人よ、俺が力を貸そう」
困ったところだったが、どこからともなく声が響く。そして、突如として火柱が上がった。
「インフェルノ!」
「ふっ、蒼鱗魚のやつがうるさいのでな。主人の危機に馳せ参じたというわけよ」
現れたのは全身が炎の毛並みに覆われた神獣インフェルノのだった。
「なっ、神獣だと?!」
「ほう、誰かと思えば、名持ちの魔物か。久しいな、タウロ」
インフェルノは、ミノタウロスを指して名を呼んだ。
「名持ち……。だから、知能があるのですわね」
「そうだ。なにせ奴に名をつけたのは俺だからな」
「はっ?!」
ペシエラが納得していると、インフェルノが驚愕の事実をぶち込んできた。
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